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LondonCAP体験談

LondonCAPとは

MBAの授業は、講義+試験(メモ持ち込み可/不可)/課題(個人/グループ)のものが多いが、もっと実践的な科目もある。LondonCAP (London Core Application Practicum)はその一つであり、1年目終盤の2月から5月まで4~6人1チームで、企業/組織(クライアント)のビジネス課題を解決する。このプロジェクトを通して、クライアントが直面しているビジネス課題に対する問題解決、クライアントとのコミュニケーション、学生同士のチームワークといった力を向上することができる。選択科目であるLondonCAPを履修する学生の目的は様々で、それまでの必須科目で学んだ理論・知識を応用したい人、非コンサル業界出身でコンサルを経験してみたい人、キャリアチェンジ先の業界の職務経験が欲しい人、就活のためのコネクションを作りたい人等、様々である。

クライアントとそのコンサル内容は、学校事務局が事前に調整・一覧化(2024年は合計34件)しており、履修者の志望順位でクライアントと学生をマッチングする。マッチングは2段階となっており、まず4つの大カテゴリー(大企業、B2C、スタートアップ/非営利組織、テクノロジー/イノベーション)に志望順位をつけ、その後割り当てられたカテゴリー内から具体的なクライアントを選ぶ。第一希望でマッチングできる人が多いが、競争率の高い大企業カテゴリーを選択して、第二希望のカテゴリーになったり、カテゴリーは第一希望だがクライアントは第二希望になったという人もいる。ネームバリューがあって就活でも人気の企業は競争率が高いので、志望先は戦略的に考える必要がある。

コンサル内容・スケジュール

私はMBA前は大手メーカで経理をしており、LondonCAPでは正反対の経験をするために、マーケティング課題を抱えていたTechスタートアップを選択した。守秘義務の関係で製品についての具体的な説明は省略するが、スケジュール感は下記の通り。

なお、チーム内ミーティングは週次、クライアントとのミーティングは隔週で実施した。また、プロジェクトの方向性・問題について専門の教員に相談するセッションがキックオフミーティング前後、クライアントへのプレゼン前、その中間、の合計3回あった。

2月:クライアントとのキックオフミーティングにてプロジェクトスコープを決定/チーム内でスケジュール・インタビュー方針を作成しクライアントとも合意

3月~4月:調査実施、定期的に調査結果をクライアントに中間報告

5月:調査結果の分析、クライアントへのプレゼン

学び

1. プロジェクトの進め方、問題解決とは

クライアントとチームメイトが発表された後、コンサルティングプロジェクトの進め方について全体的な説明があった。それよると、プロジェクトのフェーズは下記4つに切り分けられる。

 ①問題の特定(課題確認、依頼の動機、目標の定義)

 ②分析プロセスの設定(役割分担と作業計画、データ収集)

 ③データの分析(データの解釈、ステークホルダーの見解、ネクストステップの設定)

 ④コミュニケーションと実行(チーム内意見の統合、成果の発表、実行計画の策定)

プロジェクトの効率・成果を上げるために問題の特定は重要である。特に、複数人のグループでクライアントと共にプロジェクトに取り組むときには、明確な方向性を共有することが不可欠になる。問題を特定する上で考慮すべき要素には下記6点がある。

 ①解決すべき問を一文で書くと?

 ②なぜ今この問題が生じているのか?

 ③どうなれば成功と言えるのか?

 ④プロジェクトスコープ内に含まれるもの、含まれないものは何か?

 ⑤意思決定者は誰か?

 ⑥制約、根底にある前提条件は何か?それらは変わらないのか?

上記は基本的なことだが、改めて明確に答えようと思うと、なかなか難しい。

2. プロジェクトスコープ

MBA前の仕事では、プロジェクト外部の経理の立場からプロジェクトスコープを見ていたが、LondonCAPを通して、クライアントと相対するプロジェクトメンバーにとってのプロジェクトスコープを体感することができた。

当初クライアントと学校事務局で調整したプロジェクト内容は「顧客が抱えている課題の特定・分類(インタビュー調査)」、「それを踏まえての顧客セグメンテーション」、さらに「ターゲット顧客層の提案」だったが、キックオフミーティングでクライアントは追加で「市場進出戦略(新製品に対する支払意思額の調査等)」も依頼してきた。作業内容の大幅な追加はリソース的に不可能であり、かつプロジェクトスコープの交渉もプロジェクトの一部であると考え、追加作業はスコープ外であると指摘した。とは言え、プロジェクト推進時点でクライアントが本当に求めているものは市場進出戦略であることが理解できたため、リソースの5%を市場進出戦略に当てることで合意した。しかし、最終的にはリソースを追加して予定よりも詳細な市場進出戦略を提案することになった。

経理としては、(原価増を防止し利益を確保するために)事前に明確なプロジェクトスコープを設定しそれを守る/必要であれば改めてプロジェクトスコープを合意することを重視すべきと考えていたが、LondonCAPでは、クライアントからの期待・コンサルとしてクライアントへ最大の価値を提供しようとする姿勢・プロジェクトの流動性とのジレンマを実感した。MBA前に従事していた製品開発案件と今回のコンサルティング案件でプロジェクトスコープに許されるフレキシビリティは異なるとは言え、クライアントに価値を提供するプロジェクト運営者側の考え方を理解することができた。

3. チームメイトとの関係

チームメイト内訳は下記4人。基本は5人1チームなので、比較的小チームとなった。最初はリソース不足を心配していたが、少人数の方がスケジュール調整が容易で、各メンバーが責任感を持って役割分担ができた。私はチームリーダーとして、学校・クライアントとの渉外対応(スケジューリング、クライアントミーティング時のファシリテーション、学校への課題提出内容・期限のマネジメント等)も担当した。コンサル出身者がいたため、プロジェクトの推進は比較的スムーズだった。

意見が異なる場面もあったが、バックグラウンドの違いを理解するよいチャンスとなった。先に説明したプロジェクトスコープの捉え方や、インタビュー調査の方針、インタビュー分析の仕方、クライアントへの提案の仕方等、チームメンバーとの議論を通してコンサル的な考え方/仕事の仕方に気付くことができた。LondonCAPに限らず、グループワークの良い点は、それまでは知らなかったチームメイトの強みや、自分とは違う仕事の進め方・価値観等を学べることにある。

・日本人女性(私):メーカー経理

・日本人男性:戦略コンサル

・インド人男性:デジタルコンサル

・アメリカ人女性:財務戦略

※私のチームは男女比半々だったが、チームによっては日本人男性1人+アメリカ/インド人女性4人というケースもある。学生それぞれから提出された志望順位によってマッチングされるため、誰がチームメイトになるかはわからない(事前に友達と相談して同じ志望先を提出することは可能)し、ダイバーシティ/バランスは重視されないと思われる。熱量も人それぞれなので、チームメイトによってはチームワーク力が強く試されることになる。また、チームメイトだけでなく、クライアントとの相性などの要因もあり、LondonCAPの満足度は学生/チームによってかなりバラつきが大きい。

4. クライアント(Techスタートアップ)との関係

クライアントとのやり取りはExecutive Chair、CEO(エンジニア寄り)、Head of Partnershipsの3人と行い、ミーティングには主に前2者が出席した。起業家精神にあふれ、未だ誰も解決策を提供したことがない問題に対して、0から1を作り出そうとする姿勢にスタートアップらしさを感じた。

経理ではクライアントに会うことはないため、LondonCAPは私にとって初めてクライアントを持つ経験だった。文化・仕事の仕方の違いに戸惑うことはあったが、これまでの仕事との共通点が多かった。相手を知る、協調的なスタートを切る、できること・できないことを誠実に伝える、定期的に情報共有・方向性の確認をする。これらはクライアントのありなしに関わらず重要なことだと再認識した。

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