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LBSクラブ活動のススメ -新クラブ設立・運営の経験を通じて-

はじめに

クラブ活動と聞くと、「ただの課外活動でしょ」と思われる方もいらっしゃるかと思います。正直、この記事を書いている私も、入学前からクラブ活動に対して何か強い期待を抱いていたわけではありませんでした。

しかし侮ることなかれ、卒業を間近に控え自身のMBAを振り返ると、私にとってクラブというプラットフォームは、多くの気づきとネットワークの宝庫で、LBS MBAでの経験・学びを語るうえで欠かすことができないものとなりました。

自身の経験を伝えるこの記事が、LBSを目指されている方、進学を悩まれている方、進学予定の方、皆さんにとって、少しでもLBSでのクラブ活動への期待や解像度が高まるような内容になれば幸いです。

まず私のクラブ経験を簡単にまとめると、LBS入学後、意気投合したクラスメイト3名と新たなクラブ(Geopolitics and Business Club)を設立し、2年間、同クラブの代表として活動をしてきました。4人で始めた小さな取組みでしたが、学生間ディスカッションや元英国エネルギー大臣等を招いたスピーカーイベント等を開催するにつれて徐々に仲間が増え、現在は約350名を抱えるLBS公認クラブに成長しました。2年目には、The Economist及びInstitute of Geoeconomics(日本のシンクタンク)をスポンサーに迎え、ウクライナ副首相をはじめ各分野のトップエキスパート約30名をスピーカーとして招いた200名規模の初の大型カンファレンスも実現することができました。

以下では、自身の経験をもとに、1.新クラブ設立の道のり、2.新クラブ設立・運営を通じて得られたもの、という2部構成でお伝えをしたいと思います。

1.新クラブ設立の道のり

冒頭触れたとおり、私は「新しいクラブを立ち上げたい!」というような野心を持ってLBSに入学したわけではありません。ただ、MBAを通じて、ゼロから何かを生み出す経験と自身のリーダーシップスタイルの確立ができたら、という想いは持っていました。そんな想いで取り組んだ自身の新クラブ設立の道のりは以下のとおりです。

初期構想からSociety昇格まで(2022年8月~12月)

【2022年8-9月】 オリエンテーション期間中の学校主催BBQにて、ドイツ・ミャンマー・台湾からのクラスメイトと、(同年のロシアによるウクライナ侵攻もあり)足許の国際情勢の議論で盛り上がり意気投合。異なるバックグラウンドの仲間との議論は特に刺激的だったのを今でも覚えています。その話の中で、「多様性が強みのLBSで、こういうテーマを議論して学び合える場があったら良いよね」というふとした流れから、「ちょっと集まって話してみる?」という学生らしい軽いきっかけから始まりました。

フットワークの軽さは見事なもので、早速4人集合し、各人の関心やクラブ創設へのモチベーションについて共有し合うと、その場でも様々なアイデアが生まれ、「自分達なら何かできそうだぞ」という一体感と高揚感から本腰モードに。そこから、LBS生徒会とのコミュニケーション、ミッションステートメントの推敲、クラブ創設のロードマップ作成、LBS教授陣へのピッチ等を開始。

設立メンバー4人での一枚

【2022年10-12月】 「始まりは、どんなものでも小さい」とのキケロの言葉を胸に(私だけか)、まずは20人程で最初のディスカッションイベントを開催。テーマは「ロシアのウクライナ侵攻と欧州エネルギー市場への影響」でした。世界中から来ている同級生との白熱した議論は勿論、ロシア・ウクライナからのクラスメイトも含めてこのトピックについて議論を行える場を創れたことに強い手ごたえを感じました。また、我々の想いに賛同して、一緒にやりたいといってくれる仲間も増え始めました。 

その翌月には、ディスカッションイベント第2弾を開催。半導体をめぐる米中対立をテーマに、前回から少し規模を拡大して、ファクトインプットセッションや手作りのシュミレーション(ケース)も実施。少しずつ学内での知名度の高まりを感じつつ、急に現れる横やりを何とかかわしながら生徒会承認に向けた準備に邁進。

初回イベントの様子

Society昇格からClub昇格まで(2023年1月~12月)

【2023年1-6月】 各種活動実績が認められ、(Clubステータス前段階の)Societyステータスへと昇格。このタイミングから正式に、対外的にもLBS公認のGeopolitics and Business Societyという名前で活動が可能になりました。Society昇格の達成感や各メンバーの就活の本格化等により、一時期はメンバーのモチベーション維持に苦戦しながらも、殆ど毎月のペースでイベント(ディスカッションやスピーカーイベント等)を開催。

【2023年9-12月】 新学期を迎え、自称いま最も勢いのある新興クラブとして新入生を取り込み、新たにExecutive Committee(※)メンバー13名を迎えて2年目の活動を開始。元英国エネルギー大臣や日本の元内閣官房参与を含む大型スピーカーも呼べるようになり、活動の幅がさらに拡大。個人では、クラブ代表級のみがアプライできる「Leadership Incubator Program」にも参加し、他クラブの代表たちと共に、リーダーシップに関する講義やコーチングが開始。

(※)クラブ活動への関与は、クラブ主催イベントへの参加が主の“Club Member”と、イベント企画を含めたクラブ運営全般を担う“Executive Committee Member”(“ExCo Member”と呼ばれます)に分かれており、前者は誰でも加入が可能ですが、後者は選考プロセス等があります。

スピーカーイベントの様子

Club昇格から現在まで(2024年1月~2024年5月)

【2024年1-2月】 Societyとしての活動実績が認められ、遂にClubステータスに昇格。約1年半をかけ、色々苦悩もあった長い道のりでしたが、自身が始めた取組みをClub昇華まで粘り強くやり切ったことは、達成感と自信につながりました。この頃から、クラブの更なる発展の形として、フラッグシップイベントとしての初の大型アニュアルカンファレンスの企画・準備を開始。

【2024年3-5月】 カンファレンスCo-Chairとして、ExCo Member有志で構成されるカンファレンスチームを束ね、スポンサー及びスピーカーの確保や各方面へのマーケティング、当日ロジ等をひとつひとつ積み上げて、最後は無事に200人規模が参加する初のカンファレンスを実現。準備段階では、想定外のアクシデントに追われてヒヤヒヤする場面もありましたが、個人的にはそうした状況でも前向きに楽しみながらチームをリードすることがき、多くの発見があった貴重な経験でした。

同時並行で次期リーダーシップ選挙も実施し、1年間、一緒に汗をかいてくれた頼れる後輩(MBA2025)メンバーがクラブを引き継いでくれることが決まり、肩の荷が下りて安堵するとともに、迫りくる卒業タイミングとクラブを遠くから見守る立場になることに一抹の寂しさを感じ始めています。←今ココ

カンファレンスの様子
カンファレンスチームでの一枚

2.クラブ創設・運営を通じて得られたもの

長々とプロセスについて語ってしまいましたが、以下では、私自身として、クラブの創設・運営を通じて得られたものやクラブの活用方法として良かったものについて触れたいと思います。

  • 全体を俯瞰する組織トップの視座・視点

クラブ代表の場合、年間のクラブ活動における全責任を負うことになり、クラブ全体の方向性を考えながら、直接的なマネージの対象はExCo Memberとなります。自分が掲げる目標・理想に沿って全メンバーが有機的に動けるよう、中長期・短期の目標設定、組織デザイン(どのような機能軸でチームを分けてメンバーを配置するか)、予算管理、進捗管理、モチベーション維持、チームビルディング等、組織を動かすうえで必要な各要素について、全てゼロから(よく言えば自由に)、自ら考えて積み上げていくことが求められます。

私の場合、クラブExCo Memberが総勢30名ほどで、マネージする組織として自分史上最大の規模感、かつ殆ど全員が異なる国・地域からという多様性に恵まれた環境(日本人ゼロ)の中でのチャレンジでした。

そうした環境に身を置いて過ごした2年間、MBAの講義で学んだ内容やエッセンスを実際に試してみて実践で機能するもの/使いこなせないものを肌感覚で知ることができたことも有益でしたが、何よりも、組織トップの視座・視点を少しでも感じられたことは大変貴重な経験でした。自分より上には誰もおらず、全てを決める立場にあることの自由度と責任、さらにその中で感じる孤独と支えてくれるメンバーへの感謝等、これまで想像も及ばなかった組織トップが抱える心の機微の実感は、自身のアクションや今後のキャリアを考えるうえで大変重要な気づきとなりました。

  • 学内・学外ネットワークの広がり

LBSは、多様なプログラムと多くの生徒数を抱える学校ですが、日々の授業や課題をこなしながらネットワークを広げるのは簡単なことではありません。そんな中、クラブ活動は、学内外の両面でのネットワークを広げるうえで大変役立つプラットフォームでした。

【学内】 学内の交友関係は、年齢層の近さや会う頻度から、どうしても同学年・同プログラムの友人に固まりがちです。そうした中で、クラブを通じたつながりは、学年やプログラムを超えたネットワークだけでなく、関係をより深めるうえでも非常に効果的でした。特にExCo Memberとは、一緒にイベントを企画するプロセスの中で、飲み会では分からない相手の良さに気づくこともしばしばですし、自分の良さを知ってもらう機会にもなります。同じ分野への興味や関心を持つ仲間の幅を広げ、深い関係を築くことで、学生生活だけで終わらない長期的な関係につながります。

【学外】 クラブが企画するスピーカーイベントやカンファレンスを通じて、ロンドンのビジネスパーソンやLBSアルムナイとのつながりも広がりました。クラブのExCo Memberであれば、自分がつながりを持ちたいと思った人に対して「クラブ主催のイベントのスピーカーになってほしい」というアプローチも可能となるので、継続的なコミュニケーションと生きたネットワークを作るうえでも有用です。会社の肩書を一旦外して、学生ゆえの無敵感を持って臨めば、思ってもみないようなネットワークを作れたりもします。

  • 自分の再発見

私の場合、ある程度の社会人経験を積んでからの留学ということもあり、MBAを通じて、仕事で凝り固まっていたマインドセットを一旦リセットして、「自分にとってエネルギーが湧く場面やテーマは何だろう」ということを見つめ直したいと思っていました。今回のクラブ創設は、学生という立場だからこそできたチャレンジだったと思いますし、この経験を通じて、自分自身が思っていた以上に、ゼロから新しいものを創ることに対して喜びを感じれるタイプだということに気づくことができました。

また、組織のリーダーという立場を通じて、自身の強みや弱み、感情の起伏と向き合うこともできました。自分自身が、どういうときに充実感を得られるのか、仲間への感謝の想いが高まるのか、不安になるのか、フラストレーションがたまるのか等、これまで気付かなかった自分の一面と出会う場面も多くありました。今後のキャリアを通じて、こうした側面をどう生かしていくのか、改善していくのか、受け入れて向き合っていくのかを考えるきっかけになったと思います。

さいごに

ここまで辿り着いた方、長文を読んでいただきありがとうございました。MBAに限らず、留学に求めるものや期待するものは十人十色だと思いますが、どんな方にとっても、新たな友人との出会いは留学の醍醐味のひとつだと思います。

LBSにおけるクラブ活動は、あくまでボランタリーな集まりであって、誰かに強制されたりするものではありません。ですが、完全な自由意志での集まりであるからこそ、少し覗いてみると、そのトピックに強い興味・関心を持つ様々な仲間と出会うことができます。もともと詳しい分野であれば勿論ですが、興味はあったけど専門性とまでは言えないな、というトピックに飛び込んでみるのもひとつの手です。どういったネットワークを広げて、充実した留学生活にするかは、自分次第です。

この記事が、読んでくださった皆さんにとって、少しでも有意義なものになれば幸いです。

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