Student Ambassadorから見るLBS ― 第2回:LBSの3つの魅力
LBSの価値
第1回のコラムの最後に、LBSが提供する価値に関して言及しました。本コラムでは、具体的に掘り下げてご紹介します。
さて、受験生の方がLondon Business Schoolの特徴を調査し始めると、AdmissionsおよびAlumni、在校生の方々が共通して3つの特徴を挙げることが多いことに気づかれるかと思います。その3つの特徴とは、Diversity、Flexibility、Accessibilityです。3つの英単語を眺めて、わかったようなわからないような、何とももどかしい面持ちの方も一定数いらっしゃると思いますので、実際にキャンパス・ライフを過ごしてみて、これらの単語が具体的に意味することを一歩踏み込んでお話します。
Diversity

Diversityという単語は、何もLBSに限った話ではなく、欧州MBA校全般が強調している特徴です。この特徴は、US MBA校と対比する意味合いで欧州MBA校が積極的に引き合いに出している傾向があります。以下では、LBS含む欧州MBA校全般のDiversityの魅力と、LBSならではDiversityに込められた意味合いを私の解釈でご紹介します。
LBS含む欧州MBA校全般のDiversityの魅力
MBAにおけるDiversityの魅力とは、特定のマジョリティ派の価値観に引きずられることなく、世界中の異なる常識を学び、尊重し合う精神が養われることだと考えています。私はUS校に所属していないため、実態を把握しているわけではない旨、事前に断りを入れさせてください。その上で、受験時代にUS校のAlumniや在校生の方々に伺った話と、自身の業務上のGlobal Exposureの経験を重ね合わせて感じるのは、アメリカが正しいという前提から議論が始まるのか、世界には様々な価値観・文化があって、それらを尊重することに価値があるという前提から議論が始まるかの違いは、2年という期間で自分の価値観に与える影響は大きいと想像しています。私自身がDiversityに富んだLBSで得られた学びの例を、3つご紹介します。
1つ目は、Business Ethics (企業倫理)に関する授業において、ベネズエラ出身の戦略コンサルタントの生徒の発言が非常に印象に残っています。授業では、南米における教育事業が題材に扱われて、現地の収賄を含む腐敗状況に関して教授が言及する場面がありました。そこで、この生徒は、そもそもベネズエラにおいては収賄はビジネス上の有効な手段の一つとみなされており、そもそも倫理上の問題として捉えられていないと主張し、日本含む欧米諸国の常識と異なる世界観をクラスメイト全体に対して問いました。
2つ目は、上記授業の別の講義の回にて、AIの倫理的危険性を扱った際に、司法制度にAIを適用することの是非を議論しました。無意識のうちにバイアスがかかった学習データを用いた場合に、AIは果たして真の意味で公平な判断を下せるかという議論が展開され、アメリカ出身の黒人の方が、米国における陪審制度の現状の方が、よほどバイアスのかかった人選をしていると主張しました。映画等で見聞きしていたものの、司法制度に対する信頼度が日本と米国ではそもそも大きく異なることを実感しました。
最後に、先ほどベネズエラの例を出しましたが、私は業務上で南米のチームと関わる際に、南米(LATAM)諸国における国ごとの違いを深く意識しておりませんでした。しかし、同じ東アジアでも日本と韓国、中国が異なるように、南米諸国の国民性も当然ながら異なることをLBSに来てから学びました。例えばコロンビア人は日本人と同様にハイ・コンテキストなコミュニケーションをとる (すなわち、はっきりと物事を言わず空気を読む)国民性であることがわかり、自身の業務経験上もその通りだったので学びが深まりました。
以上のように、異なる価値観を認め合えるInclusiveな環境で、多角的に物事を考え、答えを追求されたい方は、Diversityに重きを置く学校との親和性が高いと思います。
LBSならではのDiversityとは
では、Diversityが高い欧州校の中でもLBSならではの魅力とは一体何なのか。数値面だけで言えば、International Studentの比率を調査することは可能です。LBSの場合は年によって若干変動しますが、90-92%程度と欧州校の中でもトップクラスの比率を誇ります。(詳細はMBAデータベースのPeetslistをご参照ください)
それに加えて、私は全く異なる視点のDiversityを挙げたいと思います。それは、LBSに集まるMBA以外の専攻の方々も含めたDiversityです。EMBAに始まり、Sloan、MiF等の方々とネットワーキングする機会に恵まれるのはLBSならでは特徴だと思います。実際にSloanの方々との合同懇親会も開かれましたし、Japan Clubでの活動を通して、上記3つの専攻の日本人のAlumni、在校生の方々と繋がることもできました。Electivesのいくつかの授業は、MBA外の方々と合同で受講するため、我々よりも経験豊富な方々とディスカッションする機会に恵まれるのは、大きな魅力ではないでしょうか。他校の場合は学校によってはMBAとそれ以外の専攻の方々のコミュニティが分かれているケースも伝え聞いています。
その意味でも、LBSというブランドの元に集まる多様な年齢層、キャリアバックグラウンドの方々とネットワーキングする機会を与えられること。これこそがLBSが提供する大きな価値の一つだと思います。
Flexibility

FlexibilityはLBSを象徴する特徴であり、情報を収集されている方であれば、既にある程度情報をお持ちではないかと思います。
第一義的には、15、18、21か月という3つのカリキュラム・プランの中から各自が自由に選択することができるのが魅力です。卒業単位数を全て揃えたタイミングで自動的に卒業することになるため、入学時にどのタイミングで卒業するか決めておく必要はなく、入学後も自分の優先度と照らし合わせながら常に軌道修正できます。これは非常に大きな魅力だと思います。1-2年間という貴重な時間を投資するにあたり、MBAが始まれば新しい刺激を日々受け、自分の優先度、キャリアゴールも変わっていきます。想定よりも早く切り上げる必要が生じる方もいるでしょうし、逆により長く腰を据えて過ごしたいと思うようになる方もいらっしゃいます。どのようなニーズに対しても選択肢を残してくれるカリキュラムは、LBS固有の魅力です。
また、学習カリキュラムがフレキシブルな点も調べられた方は一定数いらっしゃるかと思います。Core(必修)科目がTerm1-2、Term2以降はTailored Core(選択必修)科目が始まり、Term3以降はElectives、インターン、Summer Entrepreneurship、GBE等、各自の関心に合わせて授業をカスタマイズ可能です。他のMBA校と比較してもかなり早いタイミングから自由度が増します。
最後に、このFlexibilityには、Academicsや就活以外に時間を割く余力が残されているという意味合いも含まれていると考えています。特にUS校の多くは、初年度はAcademicsの比重が非常に大きいと聞いています。当然ながら、LBSもAcademicsが忙しいのですが、他活動をかけ持つ程度の余力が残されている印象を受けます。Club活動やIn-semester Internship、Case competition等、自分の優先順位に合わせて活動の幅を広げられる裁量を多く与えられている学校、それがLBSだと思います。実際に、私はJapan Club ExCoおよびStudent Ambassadorとして活動しながら、10-11月はPrivate Equity Competitionにほぼ丸一か月時間を投資しました。ファイナンス経験のない自分にとって大きな挑戦でしたが、結果がついてきたこともあり、授業だけでは得られない経験と自信を養うことができました (詳細はこちらの記事を参照ください)。
新しいことにチャレンジしようと思えるだけの余力を与えてくれて、自分に裁量を与えてくれる。これが第二のLBSが提供する価値だと思います。
Accessibility

Accessibilityは初見では少し理解しにくい単語かもしれません。LBSの魅力は、Londonという街そのものが提供するOpportunityにあるということを意味します。パンデミックの功罪のうち、功の観点として、リモート化が進んだことは多くの方が実感しているかと思います。その点では、世界中のOpportunityにリモートでアクセスできる時代が来た以上、Accessibilityの魅力は相対的には低下したといえるかもしれません。
とはいえ、一方でパンデミックを通じて、人と人とがin-personで触れ合うことの重要性も強く実感されている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。やはり人というのは、直接対面で会った人々と、リモートで会った人とでは、受ける印象も異なりますし、心理的距離間も違うのではないでしょうか。そう考えると、Job Opportunityを考えた際に、世界有数の大都市であるロンドンのマーケットにすぐアクセスできるメリットは唯一無二だと思います。MBA2023生の日本人の中にもLondonでの就活を検討されている方が一定数いらっしゃいますが、Summerやin-semester internshipの機会が豊富にある点、対象企業の方々と会おうと思えば1時間以内で直接会いに行ける距離にロケーションがある点は強みだと思います。日本人ですとそこまで意識しない可能性がありますが、世界中から集まる方々の観点では、そもそも同じ職種でもロンドンの方が報酬面が良かったり、労働環境が恵まれていたりもするので、ロンドンでの就職を見据えた学生の方が非常に多くいらっしゃいます。その分、Competitiveなマーケットであるという点は意識しておく必要はあります。
そして、何よりも1-2年もの時間を投資するにあたって、当然ながらAcademicsや就活以外の楽しみも重要かと思います。エンターテイメントから文化遺産まで、全てが揃っていて、かつ移動手段も自動車がほぼ不要の利便性の高いロンドンは、おそらく1-2年程度では全てを知り尽くすことはできないくらい魅力で溢れています。OxfordやCambridgeにも電車で1時間強で足を運ぶこともでき、フランス含む大陸側へのアクセスも良好です。Term1の間に大陸側に遊びに行った日本人の方々も多くいらっしゃいます。楽しみたいと思った時に、ふらっと遊びに行ける気楽さは、大都市ならではのAccessibilityの高さ所以と言えると思います。
まとめ
以上、LBSの特徴3つを掘り下げてご紹介しました。共通していることは、LBSが提供する価値は、Opportunityであり、場の提供であるということです。10人いたら10人に右に進むことを強制もしないですし、左に行くことも強制しません。10人いたら10人異なる価値観があり、目標があり、人生がある。そのため、十人十色で各自の夢を実現するために必要なInclusiveかつDiversity、Flexibilityに富んだ学びの場とネットワーキングの機会を提供する場。そして、何かをやりたい、試したいと思った時に、それを可能にする時間的余力とリソースを提供する場。それがLBSです。
London Business Schoolを少しでもより身近に感じていただけたら幸いです。
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