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Student Ambassadorから見るLBS ― 第1回:LBSはFinance Schoolなのか

Finance Schoolとは

LBSの受験を検討される方は、LBSはFinance Schoolである、と一度は耳にするかと思います。そして、更に情報収集を進めると近年はFinance色は弱まっている、という話も耳にするかと思います。結局のところ、どちらが正解なのでしょうか。疑問に持たれている受験生の方も多くいらっしゃるかと思います。

Finance Schoolと総称する際に、3つの観点が混在している印象があります。1つ目は、pre-MBAのFinance業界出身者の比率。2つ目は、post-MBAのFinance業界就職率。3つ目は、Finance関連の授業の充実度*です。

*初年度のTerm1時点で執筆しておりますので、Electivesに関する所感を追って追記いたします。

以上の3点に分けて、実際にLBS生活を過ごしてみた所感をお伝えします。なお、皆さんはMBAデータベースのPeetslistというサービスはご存じでしょうか。

LBS Japan Alumniの方が立ち上げたサービスで、各MBA校の特徴を比較したポータルサイトです。こちらのデータを元に、以下議論を進めます。

先に結論を申し上げると、近年はFinance School色は相対的に弱まり、コンサルティングの色合いが相対的に強くなってきております。ただし、LBSの本当の魅力は、個々人が真に実現したい夢を実現するための環境と、自由な裁量、そして多様性を受け入れるinclusiveなコミュニティにあると考えています。

pre-MBAFinance業界出身者の比率

Finance Schoolと言われるからには、Finance業界出身者が多いイメージを持たれる方が一定数いらっしゃると思います。データ上は、コンサルティングとFinance/Accountingのバックグラウンドがそれぞれ30%弱ずつ在籍していることになります。

(Peetslistで詳細を確認されたい方はこちら

このデータは、実際にクラスを見渡してみた肌感覚とも一致します。LBSでは、初年度に5-6名で構成されるStudy Groupを組み、グループ課題に取り組みます。各Study Groupに1-2名ずつ、コンサルティング業界とFinance業界出身者が割当てられるよう、学校側も配慮しています。プレゼン資料はコンサルティング出身者が、バリュエーション・モデルはFinance出身者がチームをリードし、チーム全体の学びに貢献できるよう設計されています。Finance出身の方に伺った限りでは、LBSのFinance出身者のレベルは非常に高いようで、共に高め合う良い刺激になっているようです。

Finance/Accountingの26%という数字を多いと捉えるかは人次第ですが、数字だけを見れば、実はコンサルティング出身者が一番多い(28%)という結論になります。これも、実際の肌感覚と一致しており、特にMBB(McKinsey、BCG、Bain&Company)から社費で派遣されている海外の学生が多いのが印象的で、Big4ファーム (Accenture、Deloitte、PWC、KPMG)からの社費・私費生も多いです。

一方で、Google、Facebook、TikTok等、Tech業界出身者も見かけますし、他の事業会社やベンチャ企業、起業家、弁護士、医師等多様なバックグラウンドの方がLBSの教室に集まります。

結論としては、pre-MBAのバックグラウンドを見る限り、Finance Schoolと宣言するほどの圧倒的なマジョリティを形成しているわけではないことがわかるかと思います。

post-MBAFinance業界就職率

では、卒業後の就職先はどうでしょうか。ロンドンというと金融街という印象も強いため、Finance業界に就かれる方が多いと思われる方も一定数いるのではないでしょうか。

意外と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は卒業後の就職先で一番多い業界はコンサルティング業界(40%)です。次いでFinance(26%)、Tech(20%)、その他(14%)となります。各学年500名の学生がいることを考えると、200名以上がコンサルティング業界に進んでいるのが近年の動向です。

(Peetslistで詳細を確認されたい方はこちら

これも実態に即していると感じています。8月中旬から授業が開始すると同時にリクルーティングに向けた準備も始まるのですが、とりあえずコンサルも受けてみるという学生の数も加えると、多くの学生がコンサルティング業界にアプライしている傾向を感じます。一方で、Finance業界に関しては、従来はIBDが人気でしたが、近年はPEの人気が上回っている状況です。特に海外の学生に関しては、既にFinance業界出身だが、Londonにロケーションを変えて就職したいという方が多い印象を受けます。

以上より、post-MBAの就職先を見る限りは、Finance SchoolというよりもむしろConsulting Schoolという色合いの方が近年は強いことがわかるかと思います。

Finance関連の授業の充実度

それでは、アカデミックな目線で見た場合はどうでしょうか。私はFinance業界出身ではないのですが、Finance出身者の方に伺ったところ、Electives含めて非常にマニアックな領域まで広く、深く授業が展開されるため、Finance Schoolの呼び名にふさわしい学習環境が整っているとのことです。

教授陣の充実度も見て取ることができます。London Business SchoolにはProfessor(教授)、Associate Professor(准教授)、Assistant Professor(助教授)という大きく3段階のランクがあります。Term1から始まるコア(必修)科目を教える教授のランクは科目によって異なるのですが、Term1を終えてみて、Professor(教授)の授業の質は安定して高く、大変満足度が高いです。Associate/Assistant Professorの授業の質は人によるというのが正直なところです。(授業の質にばらつきが出るのはどのMBA校も同じかと思います)

Financeに関しては、コア科目から二人のProfessor(教授)が教鞭を振るっており、この点からも、LBSがFinanceに力を注いでいることを窺い知ることができます。また、Electives含めて著名な教授の方も多いです。

なお、非Finance出身から見える所感としては、コア科目であるFinance Iでゼロから学ぶのですが、教授陣が丁寧に授業を展開してくれ、かつ毎週復習用の宿題が課されるため、一つ一つしっかりと学べているという実感があります。更に、Study Groupや日本人コミュニティを通して、Finance出身者の方々がとても親切に質問に応じてくださることもあり、相乗効果で学びが深まっていると実感します。

以上より、アカデミックな観点では、Finance Schoolの名に相応しい環境が整っていると思います。

まとめ

以上をまとめると、バックグラウンドとしてはコンサルティングとFinance出身者が比較的多く、卒業後の就職先は、近年はコンサルティング業界の人気度が高い学校と言えます。一方で、アカデミックな観点ではFinance Schoolという名に相応しい充実した教授陣が教鞭を振るってくださいます。

それを踏まえて、コンサルティングやFinance出身者ではない、ないしは卒業後目指す業界が異なる方々にとって、LBSが提供する価値を考えてみます。私自身、ITバックグラウンドで、社費につき帰社を予定している身として日々感じるのは、上記データは結果論であるということです。コンサルティングとFinance業界の人間を数多く輩出することがLBSの価値ではありません。LBSが提供する真の価値は、LBSを特徴づけるDiversity、Flexibility、Accessibilityの3つの要素に凝縮されていると、強く実感します。この点に関しては、次回のコラムでご紹介できれば思います。

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