当プログラムは管理職経験を有するビジネスリーダーを対象とした1年間のプログラムです。エグゼクティブMBAなどのシニアなビジネスマンを対象としたプログラムはパートタイム(働きながら週末などの時間を学習に充てる)が大半ですが、当プログラムはフルタイムであり、ビジネスキャリアを一旦中断し、1年間を全て学習に充てる点が大変特徴的です。
もともとGMのCEOであったAlfred P. Sloanが、MIT経営大学院にミッドキャリアのリーダー育成のために設立したプログラムが始まりであり、その後ロンドンビジネススクール、スタンフォード経営大学院にも展開されました。ロンドンビジネススクールでは1968年に開始し50年の歴史を有します。
1学年の学生数は約70名で、2019年は26か国から選抜された69名の学生が学んでおり、大半が私費での参加です。年齢30代から50代まで幅広く(平均年齢42歳)、平均勤続年数は18年とシニアマネージャーやディレクター以上のポジションの経験者が多数です。EMBAの学生の平均勤続年数は約12年ですので、さらに一回り経験豊富なビジネスリーダーの集団となります。中にはMBAホルダーもおり、LBSのMBA卒業生もいます。
なお、日本からの生徒は2019年クラスで4名在籍しています。インダストリーのバックグラウンドとしてはFinance出身者が最も多く4分の1を占めますが、それ以外は製造業、エネルギー関連、IT関連、政府関連、コンサルティングなど多種多様であり、また起業経験者も数多くいます。
必修授業は10科目あり、Sloanの同級生全員が同じ教室で受講します。経済学、戦略論やマーケティングといった領域だけでなく、Sloanがシニアビジネスリーダーの集団であることを踏まえ、経営者としての企業統治を学ぶExecutive Leadershipや自らの半生を振り返るBiographyというユニークな科目もあります。 学生は14のグループに分けられ、必修授業内で実施される各種グループワークに対してチームで取り組んでいます。前述のような多彩なバックグラウンドで豊富なビジネス経験を持つクラスメイトたちですので、グループの議論に積極的に参加し、チームをリードすることは大きなチャレンジとなります。
選択科目はMBAなどの他プログラムの学生と一緒に履修するため、Sloan以外の学生と学ぶ良い機会にもなります。プログラムは通常のMBAと異なり1月開始となります。3つのTermに分かれており、必修授業のみのSpring Term(1月~3月)、必修および選択科目を受講するSummer Term(4月~6月)、選択科目のみのAutumn Term(9月~12月)となっており、Spring Termはクラスメイトとの交流や生活環境に慣れるのも含めてかなり忙しいです。
Global Business Assignmentという課外必修科目もあり、2019年はチームごとにサンフランシスコ、ブエノスアイレス、メキシコ・シティ、ドバイ、アテネ、北京などに赴いて現地の企業を訪問し、その国における競争力の源、風土・カルチャーや、イノベーションを起こす仕掛けを学びます。 キャリアデベロップメントに関しては、Sloanの生徒を対象にしたプログラムオフィス主導でのロンドンを中心とした企業への就職サポートプログラムが充実しています。大半の学生は当プログラムをステップとして転職や起業など次のキャリアを探しに来ているため、スケジュールに比較的余裕ができるコースの後半には、授業に加えて、就職活動やネットワーキングにも多くの時間を割いています。
学生主催による各種クラブ活動や起業を計画している人のための様々なイベントやプログラムがアクティブに企画され、Sloanのクラスメイトも積極的に参加しています。クラブ活動には多くの学生が自身のキャリア感、バックグラウンドに応じて参画しており、LBS卒業生にとってもクラブ活動等を通じたネットワークは卒業後のビジネスシーンにおける強みともなっています。またビジネススクールらしいのは起業のためのインキュベーター・プログラムや地元ベンチャー・キャピタルとのネットワーキング、そしてブロックチェーンなど次世代ビジネスを理解するためのプログラムが充実していることです。
(2019年情報)