MBA受験体験記 No. 12 / 社費 / 商社
基本情報
出身業界:総合商社
職種:事業投資・事業開発(主に資源案件)
職歴:9年
留学形態:社費
海外経験:出張・旅行程度 (研修生としてロンドンにて3か月勤務経験あり)
出願校:LBS、IESE、HEC Paris
合格校:LBS、HEC Paris
GMAT/GRE GMAT 620 (M: 48, V: 26) ←出願時
GRE 316 (M: 167, V: 149 ≒GMAT換算640) ←出願後アップデート
IELTS: 7.0 (L: 7.5, R: 7.5, S: 7.0, W: 6.0) ←出願時
7.5 (L: 9.0, R: 8.5, S: 6.0, W: 6.0) ←出願後アップデート
奨学金:無
LBSキャンパスビジット:有 (2017年)
Why MBA?
世界で活躍できる人材になりたい
日本の所謂大企業でそれなりの実績と経験を積んでいると思っていましたが、研修生としてロンドンにある日本人比率10%未満の事業会社に出向した際、全くと言っていいほどValueが提供できていないことを実感し、このままでは何となく会社の肩書に守られ日本国内で活躍していると勘違いしたまま気づいたら使えないおじさんになっているのではないかと強い危機感を抱きました。色んな人に必要とされる人材になりたい、自分が活躍できる場を広げたいという想いから海外MBAを目指すようになりました。
ビジネススキル向上
キャリアが進むに連れSocial Impactや環境価値と経済価値の両立といったテーマに関心を抱くようになり、実際職場でも産業の再エネ化やリサイクル事業のBDに取り組んだ結果、難易度の高い課題に対して物事を推進するそもそものスキルやビジネスパーソンとしての引き出しが必要と実感し、一度様々な分野を体系的に学ぶ必要があると考えました。
日本の組織カルチャーへの問題意識
少し大きな話になってしまいますが、失われた30年や日本オワコン説など日本の将来に対して割と悲しい声を多く聞く一方で、個人的には日本はポテンシャルは十分に持っており、成長を阻害している一番の要因は組織カルチャーにあるのではないかと仮説を持つようになりました。欧米のカルチャーが全て良くてそのまま輸入すればいいという話でもなく、自身の仮説に対してもう少し課題設定や対応策について検討したいと思い、海外で学ぶのがベストと考えました。
自分のキャリアについて改めて考える時間を得る
留学中の様々な経験を通じて刺激を受けながら、自分が一体何者になりたいのか、もう少し考える時間が欲しいと思ったのもひとつの要因です。これまで浪人や留年もせずストレートで来てしまったので、あまり生き急ぐ必要もないのではないか、一度腰を据えてゆっくり考えてみたいとの思いから留学はとてもいい機会と捉えていました。
Why LBS?
Diversity
将来自分がどこで働く機会があるかを考えた際に、色んな人種・国籍・バックグランドの人と何の抵抗感もなくコミュニケーションが取れるのはひとつの魅力と考え、欧州のビジネススクールのみ出願していました。これは実際に入学してみて感じることですが、LBSは国籍のみならず色んな観点でDiversityに富んでおり、どんな意見にも皆耳を傾け尊重し合うカルチャーがあり、馴染みやすいです。
Academic Contents
前述のSocial Impactや組織カルチャーといったテーマに対して学びを深めるのに最適な環境と考えました。Social Impactに関してはビジネスアイデアや仕組みづくりも重要な一方、Financeが果たす役割も大きいと感じ、Financeが充実しているLBSはとても魅力的でした。また、LBSはOrganisational Behaviourにも力を入れており有名な教授も擁する為、組織カルチャーの学びを深めるには最適の環境と考えました。
Location
欧州という少し広い観点でSustainabilityや環境への意識が最も高い地域であること、ロンドンという街自体が多様性を体現していることやFinance関連の人材が集結していること等から場所自体にも魅力を感じていました。
Brand
これは必ずしも地位名声が欲しいという文脈ではなく、自身の経験上あまり有名でない高校から国立大学に入学し、大企業に進んだ中で、自分の中身が変わらないのに自分の話を聞いてくれる人が増えていくのを実感しました。これはMBAでも同様であろうと考え、ランキングや知名度というのも率直に考慮する要素でした。
受験スケジュール
ご覧になって頂いてお分かりの通り、最後までスコアに苦しみ続け合格を貰う日まで本当に長くツラいプロセスでした。お恥ずかしいレベルですが、どなたかの参考になればと思いなるべく詳細に記載致します。
2017年
夏休みを利用してLBSキャンパスビジット。社費選考応募するも不合格。この時点ではIELTS 7.0(L:6.5,R:7.5,S:7.5,W:6.0)のみ取得。
2018年
ロンドンでの研修期間中にOxford、Cambridgeをキャンパスビジット。その後夏休みを利用しHBS、MIT、GSBも訪問。
2020年10月
コロナ禍で自分の時間が増え、MBA受験するならこのタイミングしかないと思いIELTSを再開。予想外に最低限のスコア7.0 (L:8.0,R:7.0,W:6.0,S:6.5)がすぐ取れた為、もう少しやればすぐ伸ばせると勝手に判断し一旦休憩。
2020年12月
GMAT勉強開始。Mathは数学の英単語さえクリアできれば問題演習で事足りると考えた一方、SCは確実に独学では不可と判断しYESに通学。
2021年1-5月
社費選考と並行してGMAT対策継続。2月にAffinityにてRC戦略コース、3月にCR戦略コース受講。他方、社費がダメだった場合私費受験を積極検討しておらず、ややぬるめの勉強であった。
2021年6-7月
社費選考合格後、本腰を入れてGMAT対策。解き方は春までにある程度定着した為OGを中心とした問題演習中心。Prepの点数から650は最低限狙えると判断し7月末にGMAT初受験も560(Q45,V23)と撃沈。並行して、Agos夏祭り等MBA関連イベントにも参加。カウンセラーはLauren Unikさんと契約。
2021年8月
MathはPrepで50点を下回ることは略なかったが、本番1回目が45であったことから、Manhattan PrepのAdvanced Quantsを購入しMathの問題演習を強化。1st Roundで出願するにはそろそろスコアメイクが終わっていないとまずいという焦りが出始め、Prepの点数が630~670で推移していたにも関わらず2回目の本番受験。620(Q48,V26)と残念な結果に1st Round出願は断念。
2021年9月
GMAT対策に手詰まり感を感じ、G Prepにて個別レッスンを受講。自分では認識していなかった弱点を指摘され、その分野を重点的に対策。Prepの点数も650~700で比較的安定するようになり3回目の本番を受験するも600(Q48, V25)に下落し絶望。並行してCV作成、LBS公式イベント参加。
2021年10月
GMAT対策は泥沼状態になり、4回目の受験で更にスコアダウン580(Q48,V22)。一方、LBSのアドミから良かったら個別にキャッチアップしようと連絡あり、Zoomコールを実施。Alumniの方にも複数オンライン面談。Essayに着手。
2021年11月
スコア的にこのままでは出願できないという焦りからGREを略無勉でお試し受験。306(Q163,V143)と普通に撃沈。並行して出願書類ブラッシュアップ。
2021年12月
とりあえずGMATこんなに長く対策してきたし5回目のGMATに賭けよう、それでダメならGREにシフトしようと考え、GMAT5回目受験。Prepでは700中盤がコンスタントに出ていた為自信を持って臨んだが600(Q48,V25)と敢え無く撃沈。年末にGREを予約すると共にVerbalの点数が低いのを補う要素としてIELTSで挽回しようと考えIELTSをクリスマスイブ、クリスマスに受験。IELTSは7.0(L7.5,R7.5,W6.0,S7.0)。並行して推薦状依頼(頭出しは10月からしていた)。
2022年1月
このまま2nd Roundに突っ込むか、スコアアップを目指して3rd Roundに賭けるかかなり迷ったものの、スコアが上がらなかった際のリスクを鑑みLBSとIESEに2ndで出願。GRE対策継続し315(Q166,V149)を取得。GMAT換算630と略変わらないがアップデート。クリスマスに受けたIELTS 7.5(L9.0,R8.5,W6.0,S6.0)が遅れて出てきた為、こちらもアップデート。Interview対策にも着手。IESE Interview Invitation受領。
2022年2月
GRE対策を続けつつ、LBSからもInvitation受領しメインはInterview対策。Laurenさん、Nish氏と計10回程度Mock Interviewを実施。HEC Paris出願書類準備。中旬にIESE Interview実施。
2022年3月
HEC Paris出願。上旬にLBS Interview実施。GREはLBS合否判断(Interview実施期間)のタイミングギリギリを狙い3月中旬に受験し、316(Q167,V149)と微妙ではあるがアップデート。HEC Paris Interview Invitation受領、IESE不合格(Waitlist)通知受領。
2022年4月
IESEのWaitlist対策をしつつも、もうやれることはやったとの思いで結果を待つ。
4/6にLBSから電話で合格通知。翌日合格メール受領。4/8 HEC Parisからもメールで合格通知受領。
受験対策(予備校、カウンセラー、エッセイ、他)
【スコアメイク】
スコアの上げ方は他の方をご参照ください。少し一般的な観点で以下記載致します。
- 本番受験タイミング:GMATは仕組み的に運の要素もあるというのは間違ってはいないと思いますが、実力による部分が大きいのでPrepのスコアが目標をコンスタントに超えるようになってから受験するのが良いと思います。
- GMAT or GRE:人によって相性はあると思いますが感覚的にはGREの方が努力と結果の相関性が高いように感じました。そして、GMAT受け切ってからGREという決断は間違っていたように感じており、シフトするなら思い切って早くシフトする方がいいと思います。
- 単語の重要性:難しい単語を覚えなくても文脈で問題解けると思っていましたが、実際単語力はとても重要です。一部の単語は入学後も頻出なのでやって損はないと思います。
- 分野別スコア:これは完全に言い訳ですが、ESRから見たVerbalの項目別最高スコアはSC: 40, CR: 33, RC: 32で、毎回2つが良くて1つ悪いというのの繰り返しでした。これも何も書かないよりはいいかと思い一部の出願書類には短く記載しました。
【カウンセラー】
わたくしはLaurenさんに本当に付きっきりでお世話になりました。スコアがない中でもいつも励ましてくださり、スコア以外の部分を完璧にしよう、と一緒にどうやったら自身の魅力を最大限伝えられるか考えてくれました。精神的につらい時も寄り添ってくださり、フレキシブルに対応頂いたのでとても感謝しています(コスパで考えると右に出るカウンセラーはいないと思います)。
自身は職務経験も割と長く、ストーリーの引き出しが割とあったこと、エッセイで書きたいことが大体決まっていたことから、ゼロベースのブレストというよりは如何に英語でパワフルに伝えるかという点で最適なカウンセラーさんを選びました。
※Laurenさんはご家庭の事情で2023年Intakeのクライアントは殆ど受け付けておりませんが、2024年Intake以降は復帰されると聞いております。
【エッセイ】
唯一特記事項があるとすれば、LBSのEssayはとてもシンプルで設問も少ないですが、Online Application Form内にかなり色んな質問があります。私はスコア以外を完璧にする必要があったので、ここもすべてWordで記載してEssayと同様時間をかけて推敲しました。
【インタビュー】
意見が分かれると思いますが個人的にはMockは回数を重ねるごとに新たな学びは少なくなっていくので、最初にテーマ(設問の種類)毎に何度かまとめて実施し、その後は自分で録音してみる等の自主練でコストが削減できるのではないかと思います。自身は最初にたくさんフィードバックを貰い、自主練して本番の少し前に改めてMockを実施するように組んでいました(計10回未満)。カウンセラーのLaurenさんに加え、NishさんにもMock Interviewをお願いしました。面接の設問等情報も重要なので、クライアントがたくさんいる方にMockをお願いするのが効率的かと思います。
受験生へのメッセージ
振り返るのも嫌になるくらい、とにかく長く苦しい受験生活でした。業務との両立、低スコアでの出願等、もうダメかも知れないと思う局面が何度もあり、合格を貰うその日まで不安と戦い、合格を貰ってからも歓喜というより心から安堵したというのが率直な感想でした。しかし、その過程で自分はこんなにつらい思いをして一体何になりたいのか、何を目指しているのか、真剣に考えさせられました。また、自分はもし挑戦すらしなかったら後で絶対後悔すると思い、何とか最後まで走り続けました。
以下はこれから受験される方の不安が少しでも和らげばと思い、いくつか記載させて頂きます。
- 何より体調管理・メンタルコンディション・生活リズム維持が第一
受験は長くつらいプロセスなので相当なハードワークが求められ、且つビジネススクールを目指す皆さんは各職場での信頼も厚く業務面でも期待される役割が大きいと思いますが、人間ずっと120%で走り続けることは不可能なので、時に息抜きも重要です。コンディションが悪化するとパフォーマンスも低下し結果が中々でない不安の中で悪循環に陥ってしまう為、何より食事や運動、適度な人とのコミュニケーション等自分の中でのリズムを維持しながら長期戦を戦っていくことが最重要であり一番意識して頂きたいです。
- 困ったら迷わず誰かに助けを求める
決してひとりで最後まで戦い抜く必要はないので、つらい時や悩みがある場合は躊躇わずに周囲に相談してください。LBS在校生・Alumniもそうですが私がお話伺ったMBAの方はどの学校の方もとても親身になって聞いてくださりましたし、必ず受け止めてくれると思いますので抱え込まずに周囲の人と話しながら前に進んでください。
- 最後まであきらめない
コロナ禍でスコアがインフレしていると言われる環境下、同級生を見渡しても恐らく最低スコアでの合格でした。「結局は社費だから受かったのではないか」という見方もあり得ますし、そこは答えがないのでそれ自体すべて否定することはできませんが、個人的な振り返りとして一番重要だったことは、最後まで諦めずに挑戦し続けたことだと思います。勿論自身のこれまでの経験やスコア以外の面での努力も一定程度評価されたので合格に繋がったとは思いますが、直前までスコアアップデートし続けたことなどLBSに入りたいという想いを最後まで表現するよう努力したことが最大の勝因と考えています。
また、一連の受験プロセスを乗り越えたことは、次の挑戦に向けた新たな自信にも繋がりました。努力が無駄になることは決してないので、苦しい局面が続いても諦めずに走り切ってください。
最後に、我々LBSの在校生は、どんなステータスであっても挑戦する皆さんを応援しています。我々在校生も今でこそ我が物顔しているかも知れませんが、受験時代先輩方にお世話になってここにきておりますので、皆さんも何かあれば些細なことでも構いませんのでJapan Clubにご連絡ください!
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