London Business School(LBS)での2年間を終えて
はじめに
Time flies… Heathrow空港で東京行きの飛行機を待ちながら、このコラムを書いています。LBSに留学してからの2年間、正しく”光陰矢のごとく”日々は過ぎていきました。 大学生の頃に漠然とMBAを夢見てから10年。今は2年間が終わってしまった事に呆然としています。 前回コラム https://www.lbsjapan.com/archives/3137 にて1年生から「LBSは他と何が違うの?」という点について、とても詳細にレポートされています。私も同じことを感じていました。 今回の卒業を機に「結局LBSの2年間はどうだったのか?」、寄稿する機会をもらいました。 本稿では卒業直後のこのタイミングだから伝えられる、 LBSの「手触り感のある」「ぶっちゃけ」情報をお届けできればと思います。 (*以下、私個人の意見ですのでご留意頂ければ幸いです) 昨年の説明会資料 http://d.kuku.lu/930cd56063 ではLBSの魅力を”Diversity”、”Flexibility”、”Amazing London”の三つの切り口で説明させてもらいました。今回はそこから2年生としての経験を踏まえ、”具体的なアクションベース”で、LBSでの生活について、可能な限りイメージを持ってもらえればと思います。特に受験生の皆さんには、エッセイのネタ出しにお役立ちできれば幸いです。 長文駄文ですが、卒業直後で気が高まっている為、何卒お許し下さい。目次
- バックグラウンドとWhy LBS
- MBA中の主な活動について
- 振り返り
- 想像以上だった点
- がっかりだった点
- 総括
- 受験生のメッセージ
1) バックグラウンドとWhy LBS
- 純ドメ。大学時代に語学研修、ボランティア等で英語圏に短期滞在したことはあるも、長期での海外滞在は今回が初めて。就職後も殆どが国内業務であり、実質「初海外」。(受験は本当に苦労しました。。。)
- 様々な業種の経営を見たい、海外で活躍したいと銀行に就職。7年間業務に勤しむが、成長曲線伸び悩み。グローバルなフィールドで活躍する為に必要なソフトスキル(コミュニケーションやネゴシエーションスキル)の不足を自覚していました。
- 加えてハードスキルについても、金融という視点を越えて、ビジネスの本質的な良し悪しを見極めることのできるノウハウ(マーケティング、戦略、経営のノウハウ)の研鑽が必須と考えていました。
- これらのGapを埋める具体的なイメージとして、
a) 授業内外問わずDiversityの中で多量のグループワークができる環境であること b)授業にある程度の余裕があり、インターン等課外活動に時間を割ける環境であること c)多数の課外活動の機会が得られる大都市であること d)グローバルトップレベルの人材が集まるスクールであること
以上の観点からLBSを志望しました。
2) MBA中の主な活動について
当初は少数のクラブにコミットして中心メンバーとして活動する事も考えましたが、むしろ一年目は「場慣れ」と「人脈の拡大」を目標とし、課外活動の数をこなす事に注力しました。キャリアの方向性が決まった二年目は、主にStart-up系の活動に顔出す事に専念しました。(i) 1年目
① 各種コンペティション:コンサルケース、Venture Capital、Social Impact Investing、Private Equity等
- 概要:
- コンサルクラブ、PE/VCクラブ等のLBSのクラブによって主催されるコンペティション。多くの場合は在ロンドンの企業が協賛して行われ、ATカーニー、Cinven等、名だたる企業が資金的・人的サポートをしています。
- チームを組成し参加。お題となるケース(経営改善提案であったり、投資提案であったり様々)が与えられて以降、通常1週間程度の期間が与えられ、プロポを作りプレゼン、優勝チームが決められます。
- 多くの場合複数のMBAでコンペが行われ、LBS内での選考後、本選がグローバルに実施されました。
- Take away:
- 最初のうちはチーム組成自体で苦戦しました。例えばInvestment系コンペでは、ファイナンス出身者(インベストメントバンカー及びVC/PE出身者 *当方の様なCommercial Bankingはこれに含まれず・・・)は重宝され、ドラフト制でどんどんチームが決まっていきます。
- 情け容赦なく「声の大きい=押しの強い」ファイナンス出身者がどんどん「自分好みの」チームを組んでいきます。ご多聞に漏れず「スキルを謙遜する、声の小さい、押しが弱い」我々アジア人はあっという間に取り残されてしまいました。とても寂しい、悲しい、あー惨め。
- しかし、コンペの数をこなすうちに、顔も広がり段々とコツが掴めてきます。特に1年目後半、ジャパントレックでそれなりに日本人として評判が高まった(?)、PEコンペの頃には、自身でメンバーを募り、ある程度「勝つため」の理想的な布陣を構築することも可能に。
- 限られた時間の中でのチームアップやモチベーション向上等、マネジメント面でのソフトスキル向上に、自信と手応えを得られた様に思います。
- また、某PEやコンサル出身者から、各社で使われているパワポやモデリングテンプレートを(内緒で)もらい受けることができました。(最初は「企業秘密だから」と出し惜しみしますが、コンペ後半締め切りが迫るとになると皆必死。ドサクサに紛れてゲット。)
- コンペでは、内容について個別の授業がある訳ではないので、ハードスキルの点では、「いかにしてできるヤツから(こっそりと但し積極的に・・・)スキルを盗めるか」が、自身の成長に関わるような気がします。
② Impact Consulting
- 概要:
- ロンドンのNPO向けに、実際にLBS生がコンサルをするクラブ活動。期間3か月程度でMckinsey, Bain等のコンサル経験者が各プロジェクトのマネージャーを担当し、そこに非コンサル出身者数人が入る事で、チームを組み活動します。
- 依頼が来るNPOは大抵の場合、人が足りていないようです。そのため、支援内容としても「投資家向け説明用の事業計画作成」や、「財務モデリングの作成支援」等々、プロジェクト毎に特徴があります。
- 当方は在インド(ん?)の貧困地域における母親と子供向け教育・発育支援NPOプロジェクトにアサインされました。最終的には当該NPOの投資家向けアプローチ戦略の立案を支援。
- Take away:
- 他の多くのProfessionalクラブの活動は就活対策が多い中、本件は実在する企業に対し実際にコンサル活動をする「Hands-on」な活動で、手ごたえがありました。
- 依頼するNPO側はとにかく手が回ってないので、プロジェクトリーダーの力量次第で、活動の質が大きく変わります。その点、わがチームはインドとの時差もあり、先方の依頼事項変更に振り回されるケースも多く・・・正直「リーダーしっかりしてくれよ」と思う事もありました。
③ Japan Trekオーガナイズ
-
- 今やLBSの学生活動の中でも最も注目されていると言っても過言ではない、一大イベント。Class of MBA2017の代は、出身42か国、120人強の同級生を連れて、約1週間日本のフィールドトリップをアテンド。正直、一年目で最も負担が大きかった活動です。
- 複数の在校生がポストhttps://www.lbsjapan.com/archives/3091 https://www.lbsjapan.com/archives/2814 していますので詳細は割愛しますが、当方にとっても未だに最も思い出に残っている活動の一つです。自分が生まれ育った環境を世界各国から集まったクラスメイトに見てもらう事、感動してもらう事、そして感謝の言葉をもらうこと。文章にすると淡白ですが、何事にも変えられない体験です。
- またトレック自体の体験もさることながら、これを境に学生の間に顔が売れ、「日本人、オーガナイズ能力あるから、チーム組むとイイ事あるかも」と、授業・課外活動のチーム編成が格段に組みやすくなりました。
(ii) 2年目の活動
① LBS Hackathon
- 概要:
- LBS Entrepreneurship Club主催により行われる『実践型』のビジネスコンテスト。プログラミングスキルを持つ”ハッカー”と、MBA生及び卒業生を中心とする”ビジネスマン”、”Design guru”をチームメンバーとして、ビジネスアイデアが競われます。
- 2016年度は、Londonを起点に活動するベンチャーキャピタルBalderton Capitalを主要スポンサーとし、この他にロンドンのAccelerator, Angel Investor, 起業家の協力を受け、11月下旬の週末、2泊3日にて行われました。参加者はLBS生の他、LondonのTech系大学・専門学生や、Oxford・Cambridgeの学生も募り計100名規模で行われました。(詳細ご参照:http://www.hacklbs.com/blog--recap)
- Hackathonが通常のビジネスコンテストと異なる点は、「実際にMVP(Minimum Viable Product:プログラミングによって作成されたビジネスプロトタイプ)の実演が求められる」点が挙げられます。言い換えれば、「アイデアは良くても2日間で動作が形にできないビジネスは評価されない」といも言えます。
- なお、本Hackathonの卒業生からはLending Club,Crowd Bank,WorldRemit等、著名Start-upの創設関係者が多数輩出され。また昨年優勝のAsset Vault (https://assetvault.co/:アセットマネジメント向けセキュリティツール開発)も、MBA2017の学生により設立されたStart-up。2015年のHackathon優勝後にTech StarからSeed roundの調達を受けています。
- Take Away:
- アイデアの創出からロジックによるビジネスプラン化、そしてMVPによる具現化という一連のプロセスに関心を抱き参加しました。
- プレゼンでは、着目したマーケットの将来性については大きく見せる必要がある一方で、MVPで表現できるレベルにコア技術部分の"落とし込み"が必要となります。そのある種矛盾する二つの方向性についてバランス取るべく、2泊3日間チーム内で常に議論が絶えませんでした。
- 結果的には参加15チームでトップの評価を得て運よく”優勝”する事ができました。

② Fintechカンファレンス”Lend it”でのメディアボランティア
- 概要:
- 2016年10にロンドンで行われた、Fintechの中でもP2PもしくはDirect Lending企業に対象をフォーカスしたカンファレンス”Lend It”に、メディア広報ボランティアとして参加しました。http://www.lendit.com/europe/2016
- 本カンファレンスはNew York、London、Beijingにて年1回ずつ行われている、Fintech Lending系のカンファレンスとしては世界最大規模のもの。当日は25か国から900人を越える関係者(Fintech Start-up、銀行、投資家、メディア関係者等)が集まり、業界動向やNew Technologyに関する発表、ビジネスマッチングが行われました。
- Take Away:
- 想像以上のPenetration:勢いを感じました。リーマン以降、市中銀行が手を出せない「ミドルリスクミドルリターン」の企業/個人に融資を拡げることで、英国ではSME(中小企業向け)の融資のうち、実に20%が既にFintech企業からのLendingで賄われています。銀行APIが公開されている為か新規参入が激しく、大小さまざまなセグメントに分かれた多様な企業がプレゼンに来ていました。(Credit Scoringの外注を請け負う企業、スマホからワンタッチで融資申し込みができるインターフェイスを売っている企業・・・等)Traditionalな金融業界から来た身としては、「融資ってこんなにカジュアルになって良いのか・・・」とカルチャーショックを感じ続けました。
- 人材の豊富さ:Start-up全体に言えますが、実に色々なバックグラウンドの人材が同業種に流れ込んでいる印象。Key Note SpeakerのFunding CircleのSamir CEOも元々はBCG出身。HSBCのStrategy HeadもMckinseyからの転職。ヒアリングをかけたZopaのCredit Analystも元々はIT業界のデータエンジニア。金融「外」から、優秀な人材が流れ込んでいる印象。
- とあるCEOの「頭が凝り固まっているFinance出身者は要らない。それよりData ScientistとSystem Guruが欲しい」との言葉が印象的でした。
③ 大学発MedTech Start-upでのPart time intern
- 概要:
- ロンドンのImperial Collegeにて研究中の医療モニタリングデバイス”AcuPebble”の商業化を図る案件。呼吸器及び循環器のポータブルデバイスを通じ、”てんかん”、”睡眠時無呼吸症候群”等の各種疾患の発見・治療を簡易化させることが目的。これをLBS 卒業生のスペイン人実業家E氏がCEOとして事業化を推進しています。http://www.acupebble.com/
- 研究室側はコア技術の開発、特許は取得しているけれども商業化のノウハウが無し。E氏は過去に2つのStart-upを起業し売却。次にメディカル系のビジネスを目指していたが、コア技術無し。双方の思いが一致し、事業化を目指しています。
- 足許は、次ステップのClinical Trial(複数の病院と提携して、実業化に向けたテストを実施)を前に、必要となる資金計GBP 3Mの調達を計画しており、イギリスのベンチャーキャピタルを中心に訪問、プレゼン実施しています。
- 当方は約半年間、プレゼン用の戦略策定、マーケット・競合分析、ファイナンシャルモデル作成、アプローチ先のVC選定などについて、Part-timeでサポートをしていました。
- Takeaway:
- E氏は既に複数の事業を立ち上げ、本件が3件目の起業となるSerial Entrepreneur(連続起業家)です。また過去にはIT Start-upおよび戦略コンサルでの勤務経験もあり、彼の論理的思考法、PDCA、立ち振る舞い、投資家/事業関係者へのアプローチ方法、コミュニケーション手法等を、間近で体感することで、大きなインスピレーションを受けました。
- 同時に、過去の経験では殆ど触れる事の無かった最先端の医療テクノロジー、イギリスの特殊な医療事情等、授業では学ぶ機会のなかった新しい分野に触れる事ができました。
- ちなみに、このPart-timeを得るまでも中々大変でした。LBSはロンドンにある為、ポータル上でほぼ毎日の様に新しい求人案件が出ますが、MBA以外にもMiM、MiFと多くの学生が在る上に、皆積極的に応募する為非常に競合します。倍率10倍、20倍は当たり前、かつ欧米人は非常にプレゼンが上手い。(実際にスキルが在るかは別として)当方もこの案件に落ち着くまで、10回は落ちました。
- ただでさえ英語にビハインドのある日本人としては、必然的に「あの手この手」が必要となります。最終的には、今まで出た各種コンペやImpact Consultingのピッチ資料をE氏にあれこれ送り付けて、何とかPart-timeの機会を手にすることが出来ました。そういう点でも、非常に身になる経験でした。
④ 各種トレック:
- 概要:
- 約70か国から出身者が集まるLBSでは、各国出身者をオーガナイザーとして様々なトレック(Professional、Regional共に)が行われます。
- 時間ができた2年目は、Octoberfest Trek, India Trek, Peru Trek等、複数のトレックに参加しました。
- Take Away:
- 「所詮、単なる旅行でしょ?」と思いがちですが、振り返るとこの期間が最も多くの学生と会話できたように思います。
- 普段の授業で会話する人は、クラスメイト等どうしてもメンバーが偏ります。加えて、授業中・休み時間くらいしか会話する時間がないので、その「人となり」や「文化」そして彼らの「人生」を知るには、あまりにも時間が足りません。
- 特にLBSの場合、基本的には授業が終わると課外活動・インターン等の為街中に「散る」ので、自身で能動的にアプローチしないと、中々顔が広がりません。
- この点で、トレックは非常に良い機会になりました。特に大型トレック(India, Peru等)になると、丸々1週間以上の時間を共にすることになります。
- また授業や就活時とは異なり、「話さなければいけない」決まったContextも無いので本当に色々な会話が出ます。自身の生い立ちから人生相談、国民性、国ごとの結婚観の違い等、普段のカリキュラムの中では中々知る事の出来ない情報を色々仕入れることが出来た様に思います。
3) 振り返り
(1) 想像以上だった点
① クラスメイト・同級生のクオリティ
(個人によって感想は違うと思いますが)私には想像以上でした。- まずグローバル経験。「海外で生活するの、今回が初めてです」は恐らく日本人がほとんど。(というより日本人でも少数派。)確かに約70か国から人材が集まっていますが、蓋を開けてみればその多くがUS/UK/AUS/シンガポール等の英語圏の大学卒、もしくは就業経験あり。また複数国籍(パスポート)持っている人が驚くほど多いです。
- そうなると3,4か国語話せるのは当たり前、自然「ブラジル出身だけど米国とフランスでDual Degree取った後、ドイツでエンジニアして、マネジメントを学びにLBS来てみた。あ、ちなみに4世代前がイタリアからの移民だから(イタリア)パスポートもあって、ヨーロッパどこでも働けるの♪」・・・という超ド級のハイブリッド人材が現れます。私には全くもって未知の人材でした。
- Academicな意味でも差を感じました。彼らの学歴尊重カルチャーは尋常じゃなく、例えばLBS入学前にマスター2つ修了は普通、PhDホルダーも相当数います。中にはMBAが2つ目(なぜ・・・?)という学生も。
- 恐らく他の国はLBSに入るのにもっと競争が激しく(いや、日本でも相当大変でしたが・・・)、間違いなく各国の上位数%が来ているイメージ。それも巷で言われるコンサル/投資銀行偏重ではなく、起業家・コーポレート等幅広く集まっています。
② Flexibility:
- こんなに課外活動を拡げられるのはLBSだけではないでしょうか。昨年、米国MBA各校の学生と情報交換をする機会がありましたが、ここまで時間を割けるMBAは、他には無かったように思います。(米国MBAの方が基本的に授業による時間の制約が大きい)
- 一方、自由な時間が多い分、課外活動を活用していかに自分のキャリア・興味分野に関わる活動ができるかが肝だとも言えます。言い換えると授業面でのTime-Pressureが少ない分、自分でハンドリングできないと学びが得られない、厳しい面もあります。極端な話、授業後に毎日家に引きこもってYoutube見ていても、卒業自体は(恐らく・・・)可能です。
- クラスメイトの殆どは、何かしらのPart-time、場合によってはFull-timeのインターンをしているイメージです。社費派遣が多い日本人でさえ、その半分以上が何かしらのStart-upの活動をしています。中にはグループメイトと共に在学中に起業している日本人もいます。
③ Start-up他 “London”コミュニティ”
- 前述”Flexibility”を最大限に活かす事が出来るのは、やはりLBSがLondonの中心地にある点が非常に大きいと思います。バス・電車で20分移動すれば、世界的金融中心地の”City”へのアクセスが可能、また多くのStart-upがひしめくOld Streetへも同程度の時間でリーチが可能。結果として学期期間中にPart-timeでインターンしている学生も多いです。
- またUnofficialなイベントとしても、近時はMeetup、Eventbrite等各種ツールを用いて学外活動への参加が可能です。Finance、Fintech, Venture Capital, Start-up系のイベントは、ほぼ毎日のようにLondonのどこかで開催されており、例えば授業後に起業家のPitchイベントを見学に行くことも可能です。
(2) がっかりした点
① キャンパス
- LBSにはMBA以外のプログラムも多く、学生数が毎年増え続けているので正直手狭でした。立地が抜群、かつ他のMBAとは異なりUndergradの学部が併設されていない為、これは已む得ない点はあります。
- 受験生のみなさんはご安心を!!歩いて5分の場所に、ステキな新校舎がもうすぐ竣工予定です。これで相当改善されるはずです。(当初は我々在学中にオープンすると聞いていたのですが・・・涙)
② 授業は”ピンキリ”
- MBAを志したものとして、誰もが通る道と思いますが、当方も岩瀬大輔さんの「ハーバード留学記」を読んで受験していたので、全部の授業が泣けるのかと。が、そんなことは無く、授業によって当たり外れはあり。(「ハーバードとLBSは違う!」と言われたらスミマセン。。。)「おぉ、これは!!」と思うものもあれば「時間と金返せ!」と言いたくなるものもありました。
- LBSの学生は教授に対して本当に辛辣、容赦がありません。教授もファーストネームで呼ばれる世界。一回授業出席してみて、「身にならない授業」と判断されれば次回以降、出席者が激減します。
- 授業は分野(Finance, Strategy/Entrepreneurship, Marketing, Organizational Behavior etc)と授業形式(ケースディスカッション主体、hands-on主体、レクチャー形式 等)共に幅広いので、効果的に情報を収集して「地雷」を踏まないようにカスタマイズが可能です。
③ “Diversity”が過ぎることの弊害
- 学生のDiversity(92%が英国外からの留学、全70か国から学生が集まる)に加え、教授もこれまた然り。英国出身の教授は意外に少なく、イタリア、インド訛りの英語で授業が行われることも多数。
- こうなってくると、もはやどこの国に来たのか分からなくなります。印象的だったのは昨年のBrexit。国の行く末を促す根本的な社会問題だが、そもそもロンドン長期在住の、投票権ある学生の方が少ないので、驚くほど話題に上がりませんでした。
- そもそも、ロンドン自体が世界的にも最も”Diverse”な街の一つです。一説に、市民の半数が”非”British人。在住10年以上の登録上だけ”British”な移民も多いので、実数はそれ以上と思われます。
- サマーインターンの一環にて1週間ほど米国で研修しましたが、何となくLBSのグループワークの仕方に違いを感じました。LBSでの2年間で、確かにDiversityの中での経験は積めましたが、逆にDiversityがそれほどでもない他の国に行った際に、同じように自信を持って対応できるのか。(そういう点でも、米国への交換留学は良い経験になるのかもしれません)
④ “Attractive London”過ぎることの弊害
- 必修クラスを終えた1年目の終盤、および2年目になると、クラスメイトもその多くがパートタイムで仕事をするようになります。すると皆、効率性を重視し、学校に来ても、短期集中で一気にタスクを片付け、自分の活動の為に街に散って行くようになります。
- 感想として、当初イメージしていたような、「放課後食堂に行くと、クラスメイトがたむろしていて、世間話をして、夜になったから飯を食べに行く」・・・といった機会は、思ったより少なかったです。良くも悪くも。
4) 総括 Reflection
- 本当にTransforming な時間でした。それは決してビジネス/キャリアの話だけではなく、改めて”人生とは何なのか?”、その中で”なんで働くんだっけ?”を考えさせられる時間でした。
- 留学前の新卒から7年間、今まで会社の中からしか見えなかった世界が、様々な出会い・経験を通じて広がる事。そしてロンドンというフィールドが様々な人種・カルチャーを交えて、尋常じゃなく広い事。
- 今まで日本でごくごく普通に思っていた「”新卒で就職”⇒一つの企業に勤め上げ⇒定年」、の3段階モデルが世界的には普通じゃないんだ、と気が付いた時。国籍関係なく、”あ、この人のように生きたいな”という、人生のロールモデルを見い出した事。結果として、留学当初の計画からは大幅に違ったキャリアを歩むことに。
- この刺激的な地を後にし、一旦は東京に戻りますが、TransformingはAlumniになってからも続くはず。世界中に散らばる45,000人のAlumniの一人として、今後どのように社会に貢献できるか、”豊かな”人生を歩んでいけるか。常にチャレンジし続けたいと考えています。
5) 受験生へのメッセージ
長らく夢に見ていたMBAが終わってしまい、今は茫然としています。 受験生のとき、自分は非常に出来の悪い学生でした。 3年以上かけて準備したはずなのに、スコアメイクが終わらず。 出願後もGMATを受け続ける日々。予備校の先生からは「なぜ点数が上がらないのか分からない」と、 あきらめにも聞こえるアドバイス(?)をもらう。 出願期限が迫る為、意を決してエッセイを優先し出願後にリスコアする戦略に。 でもエッセイを書きながら「こんなスコアで見てもらえるんだろうか」と不安になる日々。 「あんなに長い事行きたかったのに・・・あんなに努力したのに・・・」 自分の不甲斐なさに、ただただ悔しくて何度も涙が出ました。 MBAに行かなかった自分にはきっと違う2年間があるし、他のMBAも分からないけど。 今あの頃の自分に言えることは、 「LBSに行って2年間を過ごして、一片の後悔も無い」ということ。 当時はたくさん情報を収集して、精一杯背伸びして、想像してエッセイを書いたけど。 それを遥かに越える出会いと、挑戦できるフィールドが広がっていること。 だから、最後に受験生の皆さんに伝えたいのは・・・ どうか自分と、その未来を信じて最後まであきらめないでください。 絶対に今の苦しさに見合うだけの・・・いえ、その何倍もおつりがくるほどの、 素敵な2年間が待っています。 そして、”いいな”と思った学校には必ず出願してください。 満足いくスコアが出来てなくても、たまにミラクルが起きます。 私自身そうでしたし、そういった人を何人も見てきました。 出願しない限りは、勝負しない限りは、その思い描く未来に1%も可能性はありません。 日本人のグローバルなプレゼンス低下が叫ばれる中、 私費、社費問わず多くの方が海外MBAに挑戦してくれれば良いなと思いますし、 Alumniとして全力で応援できればと考えています。 最後になりましたが、今週末7月29日(土)に在校生及び卒業生によるLBSの説明会が行われます。 当方も参加予定です。ぜひ皆さんに、生の声をお伝えできればと思います。 登録がまだの方は今すぐ以下のリンクへGo!! https://lbsintokyo2017.eventbrite.co.uk たくさんの皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。 MBA2017 K.N.