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優勝 – BCG TURN LBS Case Competition 2022

3/30に開催された、Boston Consulting Group (BCG)およびLBS共同主催のCase Competitionにおいて、日本人4名で結成したチームが挑み、見事優勝しました。プロフェッショナリティの多様性(Diversity)を活かしたこの度の快挙を、以下ではStudent Ambassadorの小松さん (以下KK)との対談形式で振り返ります。

プロフェッショナル・バックグラウンド

TTさん:事業会社 経営企画
YTさん:ファイナンス
TKさん:官公庁
NKさん:戦略コンサルティング

コンペ概要

  • KK: 優勝おめでとうございます!素晴らしい快挙ですね!是非とも詳細伺いたいのですが、まずはコンペティションの概要を教えてください。
  • YT:はい、BCG TURN LBS case competition 2022というコンペティションにTeam KAIZENというチーム名で出場しました。コンペは名前の通り、Boston Consulting GroupロンドンオフィスのBCG TURNチーム(ターンアラウンド業務を専門的に行うチーム)とLBSの LBS Turnaround & Restructuring Clubが共同で開催しているコンペティションです。LBSの全プログラムから16チーム(4人/チーム)が参加しており、LBSのMBAだけではなく、EMBA, Sloan Fellowsなども含めた多様なチームが出場していました。審査では実際のターンアラウンドを想定して、対象企業の選定理由、プランの具体性、施策のクリエイティビティが重視されました。
  • KK:こうしたコンペはたくさんあるのでしょうか?
  • YT:ええ、学校やクラブ、企業主催のコンペでしたり、期間も今回のように1カ月以上のプロジェクトからお題が与えられてから1~2日で提案するコンペでしたり、機会もバラエティも豊富にある印象です。たとえば、私たちのチームメイトのTKさんは他のコンペティションにも掛け持ちで参加されて、LBS代表としてセミファイナルに進出されていました!
  • KK:今回のコンペの特徴はいかがだったでしょうか?
  • NK: コンペの数はたくさんありますが、ターンアラウンドや、コンサルと連携したコンペはあまり多くありません。実務的なアドバイスをもらえる点が特徴的なコンペだったと思います。

参加のきっかけ・動機・チーミング

  • KK:参加しようと思ったきっかけは?
  • TT: 参加を決めたのは一年目のTerm 2が終わるタイミングでした。戦略やマーケティング等の必修科目の履修が概ね終わり、これまで学んだ内容のアウトプット機会を探していました。また、私は派遣元の事業会社に戻る予定なのですが、例えば、業績が不調な事業部門の業績改善についてリアルな知見を得るために参加しました。
  • TK: 実際のコンサルタントの方からフィードバックをいただける貴重な機会であると思ったため、また、日本人同級生も職業的に多様なバックグラウンドを有している中で、一つのプロジェクトを共同で行ってみるというのも、単なる同級生という絆を超えた良い経験になると思ったためです。色々な国籍の同級生とグループ課題をする機会は様々ありますが、洞察力と議論の詰まり度合いという点では、日本人同級生にいつも感嘆しています。
  • KK:LBSというと多様性が売りの一つだと思いますが、あえて日本人だけでチームを組んだ理由はあるのでしょうか?
  • YT: LBSでは普段は非常に多様性に溢れたメンバーに囲まれているので、自分のように完全な純ジャパにとっては、英語を含めてある意味一定の負荷がかかった状態にあると思います。こうした経験を踏まえて、あえて日本人だけのチームを組成することによって、入学後の成長を実感することができる機会だと考えました。
  • TK:ロンドン在籍のコンサルタントに対して、日本人の視点で、日本企業の状況、改善策をプレゼンしたときにどのように評価されるのか、試してみたら面白いのではないか、というのもありました笑。
  • NK: 今回のメンバーは、いずれも長期海外滞在経験のないメンバーです。日々言語の壁を感じる中で、自分たちの実力がどれくらい通用するか、ネイティブに混じって試してみたいという思いがありました。ネイティブがチームに入ると、その人に頼ってしまうので、あえて日本人だけでチームを組んで、コンフォートゾーンを抜け出し、コンペに挑んでみたのです。
  • TT: 実際にプレゼンテーションの練習を重ねて本番に臨んだ結果、準備を踏まえた発表であれば日本人により構成されるチームであっても意見を伝えることが可能であることを実感しました。
  • KK:他のチームは、どのようなチーム構成だったのでしょう?
  • NK: MBAプログラムからの参加はもちろんのこと、EMBAをはじめとするシニアチーム、ドバイキャンパスからの参加もあり、非常に多様なチームが参加しており、激しい戦いでした。

具体的な活動内容・スケジュール

  • KK: チームを組成した後はどういったスケジュールでしたか?
  • TK/TT: 2/18に参加登録し、3月20日にプレゼンテーション資料を提出、3月30日に本番発表というスケジュールでした。参加登録の後、3月初旬にキックオフミーティングを実施しました。金融分野やコンサル、経営企画といったチームのバックグラウンドを考慮した上で、ホットトピックである地域金融機関をテーマとすることで合意しました。その後一週間かけて、本業赤字率などの切迫度合いと、支店数などコスト削減のターンアラウンドの余地を考慮して、ターゲットの地方銀行(福井銀行)を決定しました。
  • 試験勉強と並行しながら企業の財務分析や有価証券報告書の読み込みを行い、現状に陥った原因分析や改善余地の模索を行い、チーム全員のバックグラウンドを活かしながら議論を進めました。結果として、1. 支店統合によるコスト削減 2. DXによる省人化・省力化, 3.新事業によるトップライン向上という三本柱でプランをまとめました。
  • 提出当日の深夜まで、施策の財務的なインパクトの精査や、ストーリー・ロジックの確認を行いました。こうした日本人チームらしい勤勉さが、資料構成の高評価につながったと思います。
  • 戦略コンサルのバックグラウンドを持つNKさんが全体のスライドの整合性チェックとストーリー構築、および具体的なアクションプラン作成、金融庁出身のTKさんが地方銀行の実情を踏まえたうえでのマクロな経営環境分析を行いました。
  • TTさんが、大企業の経営企画で全社戦略の豊富な経験を有しており、新事業に関するプランまとめと大まかな全体の方針を取りまとめました。
  • YTさんが、金融機関のバックグラウンドを活かし、支店削減やDXによる詳細なコスト分析を実施しました。
  • NK: 決勝進出者の発表日に連絡が来なかったので、落選したと思って、凹んでいたのですが…遅れて決勝進出の連絡があり、喜びに打ち震えたのを覚えています。と同時に、3日後に控える決勝の準備に焦りを覚えましたね(笑)。

決戦前夜

TT:前日授業もある中、8時間程度、プレゼンの練習をしました。私の担当パートが、課題設定を含む導入部分だったので、要旨を明確に伝えられるよう繰り返し練習をしました。

TK:急な家庭の都合で当日参加が不可能になった私の分もカバーしていただき、TTさんには頭があがりません。

YT:英語のプレゼンの際に、暗記するか、暗記せずに臨むか、皆様の流儀があるとは思うのですが、私は暗記した方がやりやすいタイプだったので、TTさん同様にしっかり時間をかけて準備しました。

NK: 私も基本的には中身を覚えた上でプレゼンに臨むタイプだったので、前日のうちに時間をかけて、準備を行いました。このコンペに限らないのですが、ほとんどのコンペは、授業と並行して行われているので、予習復習・授業の出席に加え、家族やその他のプライベートに割く時間も考えると、短期間に集中して対応するのが重要だと感じました。

KK:プレゼンそのものの準備以外に配慮した部分はあるのですか?

TT:日本人としてできる限りの準備を重ねた上でも、ネイティブとの比較では、プレゼンテーション自体のクオリティではかなわないと考え、彼らと対等に戦うために、チームで集まり想定質問をブレインストーミングしました。プレゼンテーションでの結論を導いた根拠を明確に回答できるよう、準備を行いました。後程の話になりますが、この準備が、勝負の行方を決定づけたように思います。

決戦当日

  • KK:当日の雰囲気について教えてください。
  • YT/KT/NK: 会場の雰囲気は、さすがにBCGのロンドンオフィスということもあってラグジュアリーな雰囲気でした。久々に入学式以来2度目のスーツを着たこともあり、身が引き締まる思いでしたね。 ドレスコードは特に指定はなかったのですが、ジャパニーズサラリーマンの戦闘服ということで、自然とスーツでの集合になりました!
    他のチームもフォーマルな服装で、BCG側もマネージングディレクター&パートナーを筆頭に、複数のプロジェクトリーダーが参加しており、緊張感がありました。
  • KK:実際のプレゼンについてお聞かせ願います。
  • YT: プレゼン・質疑対応は、緊張感を和らげるため、最初にプレゼンを終わらせたいと考えていたのですが、、、くじ運が悪く、最後(三番目)での発表になりました.... 待っている間も緊張が凄かったですね....
  • TT:引きが悪く申し訳ございません。
  • YT:最後に発表を行ったことで、他チームへのプレゼンや質疑内容を観察して、それを踏まえて対応できたので、結果的には幸運だったと思います! 他チームの発表も資料が細部まで作りこまれており、プレゼンも練度が高く、非常にレベルの高い争いでした。
    我々のプレゼンは、TT→YT→NKと進みましたが、導入部分のTTさんのプレゼンがポイントを絞り、かつ、共感を得られるもので、この時点で審査員(BCGのパートナー陣)の関心を十分に引き付けられたと思います。
  • KK:どういったことを心掛けて、プレゼンを行ったんでしょう?
  • TT:日本の地方銀行という多くの聴衆にとっては前提知識のない会社ということもあり、どうして選択したのか、どう日本社会はよくなるのかといった背景や、一般の問題点と福井銀行の特有の問題点を説明することで、次のプレゼンターが説明するであろう具体的な施策の意味が伝わりやすいようにように心がけました。
  • KK:質疑応答はどんなものだったんでしょう?しっかり準備を行ったとのことでしたが?
  • YT:一部は準備をしていた部分に関する質問が来たのですが、本当にターンアラウンドプランの核心に迫る質問の連続で、さすがBCGと心の底から思いました。また、ターンアラウンドのコアとなる財務部分に関しては、突っ込まれると厳しい部分の質問攻めに会い、脂汗をかきました。
  • TT:相手の質問もこちらのアサンプションを的確に見抜いたもので、思わずうなってしまうほどでしたが、その質問を財務に関する深い知見に基づいて即座に回答するYTさんも圧巻でした!
  • NK: 事前に想定問答を作成していたのが功を奏した印象です。これがなければ、答えられずに沈黙していた可能性も高かったです。
  • KK:結果はどうだったんでしょう?その結果はどうやってもたらされたのでしょう?そして、その結果を皆さんはどう評価してるんでしょうか?質問攻めですいません(笑)
  • NK: なんと優勝してしまいました!
  • YT:全体のスライド構成のロジカルさ、分かりやすさ、分析の深さが評価されたようです。各メンバーの持ち味を発揮し、それが十分に評価されての優勝ということで、非常に嬉しかったです!
  • TT:正直、まったく優勝できるとは予期していなかったので、私たちのチーム名が発表されたときには素直に驚きました。このチームは昨夏の入学以来、お互いを支え合ってきた仲なので、このチームで留学期間中に成果を残せたことが非常にうれしいです。お互いの専門性や分析力は日本人学生は、全く他に劣っていないということを改めて確信できました。
  • TK: 優勝の報せを受け取ったときは、正直驚きましたが、日本人のみのチームで、かつ地域金融機関というローカルなテーマで優勝を勝ち得たことは、準備に相応の時間と労力をかけただけあって、非常にうれしいなと思いました。

勝因と反省点

  • YT:ノンネイティブでも、しっかりと準備をすれば、プレゼンも質疑も対応ができるという自信を得られたことが最大の成果でした。
  • NK:資料の英語・プレゼン・質疑応答の英語力そのものでは、最下位であったことは明らかだと思います。しかし、コンテンツの中身(質疑応答の回答含む)が評価されて勝つことができました。
    言語の壁はあるものの、準備次第・努力次第で、英語をベースとした議論であっても、十分にネイティブと渡り合えるということを証明でき、大きな自信となりました。
    英語能力を磨くことは当然必要かつ重要なのですが、それ以外のスキルも同様またはそれ以上に重要であるという当たり前のことを再認識できたことが一番の収穫でした。
  • TT: 審査員からは的を絞った課題設定とその対策の具体性を高く評価する旨のコメントをいただきましたね。
  • YT:体調・体型維持は非常に重要です。久しぶりにスーツを着ようとしてしみじみ実感したのですが、プロフェッショナルらしい体型の維持に努めねばと感じました(笑)。

  • KK:MBAの世界では平均年齢が高めと言われる日本人ですが、純粋な英語力だけでなく、厚みのあるプロフェッショナル経験とスキルに裏付けされた中身こそが、グローバルで戦っていく上で大切だと改めて学ばされました。皆さん、素晴らしい快挙を達成され、本当におめでとうございます!そしてお疲れさまでした!

最後に

Team KAIZENの皆さん、改めて堂々の優勝を果たし本当におめでとうございます!!

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