受験体験記No.3 / 社費 / 外資製薬

MBA2022

基本情報

  • 出身業界:外資製薬
  • 職種:研究開発
  • 職歴:5.5年
  • 留学形態:社費
  • 海外経験・英語使用頻度:大学院卒業後、アメリカ生活1.5年。アメリカからの帰国後は読み書き毎日(学術論文などのformal writingを含む)、週数回のミーティング。
  • 合格校:LBS, Cambridge, Cornell (1-year), ESADE
  • GMAT:650 (V31, M49)
  • IELTS:7.5 (R8.5, L8.0, S6.5, W6.5)
  • 奨学金:無
  • LBSキャンパスビジット:無

 

Why MBA

私は生まれつきの病気があり、中学生のときに大きな手術を受け、普通の生活ができるようになりました。医療技術が自分の人生に与えた影響に感銘を受け、自分もこの分野で何百年も続くようなインパクトを生み出したいと思うようになりました。

私が現在、抗がん剤の研究開発に従事しているのは、これが理由です。例えば誰かの健康寿命を3年延伸できる医薬品を作り出したとします。患者さんの数が1万人いるのであれば、単純すぎる計算ではありますが、人類に3万年の新しい時間をもたらすことになります。この時間で、多くの人が生産的な活動をしたり、子供をもったりすることができます。「私がいるこの世界」と、「私が産まれなかったと仮定した並行世界」の間に、大きな違いが生まれます。このようにしてインパクトが将来に受け継がれ続けるような仕事を、自分の人生の仕事にしたいと考えています。

MBAを求めた一番の動機は、そのようなインパクトを与えるための準備をすることです。私は日本で博士号を取得し、基礎研究者としてアメリカでキャリアをスタートさせました。基礎研究とは、いわゆる研究室で細胞を培養して実験を行うような研究で、医薬品開発の最初のきっかけを生み出す、ロマンに溢れた仕事です。ところが、基礎研究の成果のほとんどが、医薬品という形では結実しません。私はこれを、主に基礎研究とその後の医薬品開発に携わる人々の価値観に大きな隔たりがあるからと理解しています。そして、この隔たりを乗り越えるために、多様な価値観を包み込むようなリーダーシップ、すなわちダイバーシティ・リーダーシップを持った人材が求められています。

現在の会社では、医薬品の研究開発を通して、多国籍なコラボレーションをリードするスキルを身につけてきました。価値観の異なる多様な専門家が集まったチームを率い、時にはメンバー間の対立を解消しながら、プロジェクトを成功に導いた経験は、医薬品開発の現場でのダイバーシティ・リーダーシップの重要性を私に確信させるものでした。MBAでは自分のこの能力を試し、磨き、さらに経営者の視点で物事を進める力を身につけたいと考えています。そして長期的には、創薬から市場での独占権喪失までの医薬品ライフサイクルに精通し、医薬品開発プロセスを持続可能な形で推進できるリーダーになりたいと考えています。

 

Why LBS

LBSの誰もが認める素晴らしさは、クラスの多様性です。この点については聞き飽きたという方も多いかと思いますが、どれだけ繰り返しても足りないほど素晴らしい環境がLBSにはあります。留学生が学生の9割以上を占めており、このコホートに参加するということは、全員がマイノリティとなることを意味し、各自がオリンピックの代表になるような感覚があります。これはLBSでしか得られない経験です。

1年次にはスタディグループという一蓮托生の6人チームが結成されます。グループワークが重視され、自分のオリジナリティを最大限に発揮することが求められます。自分のリーダーシップスタイルを理解し、コンフォートゾーンから意識的に出ていくことで、新しいリーダーシップスタイルを実験します。このような環境の中で、グローバル・トレックやケース・コンペに参加することで、自分のダイバーシティ・リーダーシップのスキルを試し、さらに磨くことができます。

また、ロンドンというロケーションを活かすことで、自分の求める専門分野、私の場合は基礎研究から臨床研究までを含めた医薬品開発に関連した活動にも、積極的に掘り下げて取り組むことが可能です。例えば、ヘルスケアクラブに参加し、ロンドンのバイオベンチャー企業を訪問することで、デジタルトランスフォーメーションがヘルスケアにどのような影響を与えるかについて理解を深められるでしょう。また、世界をリードする製薬企業から招いたゲストスピーカーと交流することで、彼らの経験や実践的な視点を吸収することができます。これは、ひとつの社会の中に留まっていてはできないことです。

医薬品開発に限らない話だと思いますが、外部環境が目まぐるしく変化するため、多様かつ未知の課題を限られた時間の中で解決していく能力が、現代のリーダーには求められています。柔軟なLBSのカリキュラムは、専門性を備えつつ、一方でその外側にも幅広い興味のアンテナを張り巡らし、自ら機会を獲得して学びを広げていく自立した人に最適な環境です。

 

受験スケジュール及び準備

2015-2018
  • 2015年夏頃:アメリカ留学時、MBA在学中の友人との出会いからMBAの魅力を知る。ハーバードビジネススクールの夏の短期MBAに応募することを考えるが、確たる ”Why MBA?” を構築していなかったため、具体的な行動には至らず。
  • 2016年秋頃:現在の会社に転職。MBA社費制度があることも意識した決断。
  • 2018年春頃:転職して1年半が経過し、MBAについて再度考え始める。片手間にネットの公開情報などを使って志望校の情報収集と絞り込みを始め、年齢層や学生の多様性といった特徴から、ヨーロッパMBAが自分の目的に適しているのではないかと感じる。
  • 2018年8月:社費選考に応募 社歴が短いため、望み薄なのでは?とためらいもあったが、「出して落ちても何も損はなく、むしろ自分という存在を選考委員に知ってもらうチャンス」と考え、3日で書類を用意し、応募。
  • 2018年9月:社費選考面接 特に対策はせず、自然体で臨む。
  • 2018年11月:社費選考に合格
  • 2018年11-12月:IELTS対策 公認問題集を1周し、7.5はクリアできそうだと感じたため、予備校や英会話などの対策はせず。
2019
  • 2019年1月:IELTS受験 Overall 7.5(出願スコア)。SpeakingとWritingが6.5と振るわず、一部の学校の暗黙の基準(Overall 7.5かつRLSW全てで7.0以上)を満たさないため、不安は残ったが、これまでの合格実績からこの内容でアプライ可能と判断し、IELTSを完了。
  • 2019年2-7月:GMAT対策とスクール情報収集、”Why MBA” の構築 GMATは濱口塾のウェブ教材のVerbalのコアな部分のみ1周し、公式のウェブテストでテスト形式に慣れる。Mathは公式ウェブテストのみ。スクールの情報は、社内の卒業生に話を聞いたり、イベントに参加して収集。
  • 2019年7月:GMAT受験(1回目) Overall 650(出願スコア)。公式ウェブテストで700点以上がコンスタントに出ていたにも関わらず、思わぬ結果に焦る。得意のMathで51が出ていないことも敗因。
  • 2019年8月:GMAT受験(2回目) Overall 630。濱口塾のウェブ教材をもう1周して臨んだものの、点数が下がる結果に。特にVerbalが振るわず。さらに投資して予備校に通うことも考えるが、仕事の負担もピークに達し始めたため、ここでGMATという試験と自分は相性が悪いと即断。650点のまま出願し、EssayやInterviewで自分の特異なバックグラウンドを活かす戦略に切り替える。
  • 2019年9-11月:Essay作成 ここまでの期間に “Why MBA” を考え続けて書き出していたため、比較的スムーズに進行。設問数の多いESADEのEssayを最初に作成することで、後が楽になるように工夫。
  • 2019年11月:R2出願(Cornell, ESADE)
  • 2019年12月:Essay作成を継続
2020
  • 2020年1月:R2出願(LBS)、R3出願(Cambridge)
  • 2020年1月:Interview対策 とにかく自分らしく喋ることを重視。変にかしこまったり、過剰に準備したりせず、本当に喋りたいことを自信をもって正しく表現する訓練を積む。
  • 2020年1-2月:Interview(Cornell, ESADE)
  • 2020年2月:Cornell, ESADE合格
  • 2020年3月:Interview(LBS, Cambridge)
  • 2020年3月:LBS, Cambridge合格 LBS進学を決める。

 

補足情報
  • キャンパスビジットはせず、InterviewはESADE(@東京)を除き全てSkypeで実施。
  • セミナーは、夏に恵比寿で開催されたQS World MBA Tourのみ現地参加。ほか、ウェブ開催のセミナーは可能な限り参加。
  • Cornellは、2年制ではなく、1年制のAccelerated MBAに応募。これは博士号などのadvanced degreeを持った人向けのコースで、学生の年齢層が上がり、要求されるテストスコアが下がる。デジタルテクノロジーに強いカリキュラムで、該当する方は一考の価値あり。

 

使用教材、予備校、カウンセラー

  • IELTS:独学 「IELTS公認問題集」旺文社
  • GMAT:濱口塾のオンライン教材、GMAT公式のウェブ教材
  • Essay:濱口塾
  • Interview:濱口塾(Matthew Aldridge)
  • 心のバイブル:「GMAT 650点と共に生きた男」by E.H Takami, LBS MBA2017(タイトルでGoogle検索すると出てきます)

 

入学後に感じたこと

クラスメイト

MBAに来る人々は本来そういうものかもしれませんが、COVID-19の影響で社会の常識が変わっていくこの状況下でMBAを取りに来ている人たちなので、みんな冒険心が強く、困難な状況を笑って乗り越える気概があって気持ちが良いです。

ハイブリッド授業

2020年10月現在、レクチャールームから授業に参加している学生を ”Roomie”, Zoomで参加している学生を ”Zoomie” と呼び、ハイブリッドで授業が行われています。レクチャールームには広角のカメラや大きなモニターが複数台用意され、ZoomieからもRoomieの様子がわかるようになっており、また、Zoomieの顔は正面のスクリーンに映し出されているのでRoomieからもZoomieの雰囲気がわかります。

ハイブリッド授業のメリット

  • 発言することの心理的なハードルが下がっている。
  • 教授によってはチャット機能を好んで活用しており、勢いよく発言するほどでもないことを書き込んでおくと、教授が拾ってそこを起点に議論が展開したりする。
  • グループを作って議論するセッションは、Zoomのブレイクアウト機能を用いるため、毎回ランダムな相手と組むことができる(去年までは固定席だったので、同じ人と組む場合が多かったとのこと)。
  • ハイブリッド環境で効果的に議論を行うスキルは、post-COVIDの常識になると想像される。MBAの濃い議論を通じて、その訓練ができる。

ハイブリッド授業のデメリット

  • 回線が細いなどの理由でカメラを切ったままの学生がごく少数おり、人によってはエンゲージメントが下がったように感じることがある。
  • 発言することの心理的なハードルが下がった一方、「発言しないこと」の心理的なハードルも下がっているかもしれない。よって、LBSの特色でもある「自ら行動する者に機会が与えられる」という点が強化されている。

 

ハイブリッド授業のシステムは固定されたものではありません。“Student Experience Hybrid Working Group” というグループが結成され、学生や教授陣からのフィードバックを活かして、より良い形式の授業を常に模索し、改善されています。こうした活動が、post-COVIDのコミュニケーションの新しいスタンダードを形作っていくと期待されます。

 

受験生へのメッセージ

今は辛くても、「たいしたことではなかったな」と笑って思い返す日が必ず来ます。まずは後悔のないように日々努力してください。また一方で、どんな結果であろうと、喜んで受け入れて、その結果と共に生きる覚悟も必要だと思います。どのようなMBAであっても、それは自分の人生を一歩下がって見つめ直す、とても贅沢な時間であり、誰もが手に入れられるものではありません。ですからどんな選択も、後から自分にとっての正解に変えていくことができるはずです。

あとは健康に気を付けて、家族を大事にしてください。

LBSの在校生はTwitterをやっている方が多いので、情報収集にとても有用です。私は合格後に気づいたので、受験生の皆様は、ぜひ早めに活用されることをお勧めします。

私もTwitterをやっておりますので張り付けておきます。LBSのこと、ロンドンのことをつぶやいています。個別に質問をしていただいても構いません。いつでもご連絡ください。積極的なあなたを、LBSは待っています。