【授業レビュー】欧州MBAのDiversityにどっぷり浸かって(Negotiation & Bargaining)

授業, MBAカリキュラム

こんにちは、LBS MBA2021のTSとMNと申します!

私達はMBA1年目の終わりとなる先学期(Term3)に、選択科目のElectiveで「Negotiation & Bargaining」という授業を履修しました。残念ながらコロナの影響で全てバーチャル環境での授業であったにも関わらず、1年目の授業を通して最も熱く、楽しく、学びの多い授業であったと心から感じたので、授業で感じた熱量そのままに、授業内容を紹介させていただければと思います。 

履修のきっかけ


元々仕事では対外折衝の機会が多くなく、知識面でもネゴシエーションに明るくなかったのですが、仕事だけでなく日常のあらゆる場面で活きてくるスキルだと感じていたので、MBAの授業で一から理論や定石を学びたいと思っていました。
また、仕事ではリスクがあるので普段と違うネゴシエーションスタイルを”試す”ということが中々難しいのですが、MBAの授業であれば失敗を恐れずに試行錯誤して自分のネゴシエーションスタイルの幅を広げつつ、同級生からも学ぶことが出来ると思い履修を決めました。


職種柄、日常的に社内外のステークホルダーとの交渉を行うことが多かったことに加えて、MBA後は一層海外関連の部門で働くことが想定されることから、グローバルレベルの交渉について学びを深めたいと思っていました。また、営業経験はあるものの、学問としてネゴシエーションについて体系的に学んだことはなかったので、実践的な知識やスキルの習得を期待して、当該授業を履修しました。

授業概要

まず前提として全ての授業でネゴシエーションのロールプレイングがあるため、事前に配布された自分の役割専用の資料を読み込んで、各々でどのような交渉戦略をとるかの計画立てをします。
私達の取った授業では、以下の3部構成になっていました。(カッコ内は目安時間)

  • ロールプレイング (1h):教授がランダムに割り当てた交渉相手と1on1もしくはグループ対グループで交渉を行います。先述の通りバーチャル環境下での授業であったため、当初は学びが浅くなるのではないかという懸念もあったのですが、ZoomのBreakout roomで邪魔も雑音も入らず集中した環境でロールプレイングを行うことが出来ました。
  • 交渉結果のDebriefing (30mins) :ロールプレイングが終わると、休憩を挟んで交渉結果のDebriefingの時間が設けられました。何を考えて行動し、その結果どうなったのかをアウトプットするために自分の交渉を内省すると共に、他グループの交渉結果がどうだったのか、偏った結果や交渉決裂となったグループではどのようなことが起きていたのかを知ることが出来ます。
  • 講義 (45mins) :最後のパートでは、各回の交渉に関連した理論やテクニック、気を付けるべき点などを講義形式で学習します。自分がとった戦略が理論的にも効果的なものであった/むしろ逆効果であったという様なことをつい1時間前の実体験と照らし合わせながら確認することで、単に理論を学習するよりも深く納得し(時に悔しさから悶絶し)ながら理解することが出来ました。

通常は全10回の授業で構成されていますが、今期はコロナにより急遽オンライン形式での授業となったため、変則的に全9回での授業となりました。以下に全9回の授業の全体像を掲載しておりますが、始めは単一の価格交渉でbuyerとsellerの1対1に分かれて交渉するというシンプルな交渉からスタートし、条件が多岐に渡る交渉、グループ間交渉、交渉における倫理観、トラブル解決、同一メンバーで3ラウンドに分かれての労使交渉等々、あらゆる交渉形態・場面のロールプレイングに取り組みました。

LBSדNegotiation & Bargaining” のメリット

①欧州MBAのDiversityを最も体感できる場
一番のメリットはやはり、実践的な授業の中で世界中から来た同級生達から様々な交渉スタイルを学び、Negotiationの経験を積むことが出来るということです。自分の交渉スタイルの幅を広げられるだけでなく、自分にあった交渉スタイルはどの様なものか、また自分の得意/不得意な交渉相手のタイプ(論理的に攻めてくる人は誘導しやすいが、論拠などなく感情に訴えかけてくるタイプの人は説得しづらいなど)といったことも知ることが出来ました。
また、ある授業でA/BさんペアがDebriefingをしていた時、Aさんは「Bさんが終始高圧的な態度であったため高い要求を投げても到底合意できないと思い、あまりアグレッシブに交渉出来なかった。」と内省したのに対して、Bさんは「普段何気ない話をしていてもなぜ怒っているのかと頻繁に聞かれるが、僕の国ではこのテンションが当たり前。全くアグレッシブな交渉をしていた気はなかった。」と言っていたのが印象的でした。もちろん個々人で交渉スタイルは千差万別ですが、国ごとのoverallの傾向や交渉時に大切にする価値観なども知ることが出来、とても興味深かったです。
LBSがNegotiationの分野で特別有名ということではありませんが、”多様なバックグラウンドの人が集まるLBS” × “Negotiation & Bargaining” からの学びは非常に大きいと思います。

②授業・課題設計が秀逸
LBSでは全ての授業で履修後にその授業の評価を付ける仕組みがあるのですが、Negotiationの授業はどの教授が担当しても総じて評価が高くなる傾向があります。これはもちろん講義だけでなく、同級生からの学びが大きい経験型の授業であるというところもあると思いますが、教授によって授業の質が落ちることのない授業・課題設計になっていることが、高い評価を得続けている要因の一つだと感じました。
最終課題ではこれまでの全てのロールプレイングを振り返って、「最善を尽くせた交渉/失敗した交渉/最も学びの多かった交渉/授業で学んだことを将来どの様にして生かしていくか」を分析してレポートにまとめるのですが、前掲の全体像を見て、限られた時間の中でいかにあらゆる場面や交渉形態のロールプレイングを経験させてくれていたかを実感しました。
また、各回のロールプレイングで失敗したと思っても、それだけで評価されることはありません。Debriefingの時にきちんと自分で内省できる時間が用意されており、ロールプレイングの事前準備や事後分析にどれだけ力を入れることが出来たかで評価がなされます。アクティビティだけをやってなんとなく満足させて終わりではなく、徹底的に内省させてくれる仕組み作りが秀逸でした。

③真剣勝負から生まれる絆
Negotiation & Bargainingは人気授業ゆえに、皆が熱意を持って準備してきて、ロールプレイングは真剣勝負、一種の戦いの様なものになります。制限時間いっぱい、時にはお互いのパイを広げるために協力し合い、時にはそのパイの多くを得るために駆け引きをし合って白熱した戦いが繰り広げられるのですが、お互いに正々堂々と力を出し尽くした者同士、戦いが終わると例え初対面の同級生であっても一気に距離が近付いた感覚になります。
また、同じクラスの生徒でSocial rep(イベント企画担当)を担当する様な、常に明るくニコニコした同級生がいるのですが、同じグループでグループ間交渉を行った際には、一切譲らない姿勢を交渉相手に印象付けてこちらに有利な条件での合意を次々と勝ち取って行き、こんなアグレッシブな一面もあったのかと驚き・感心することもありました。仲の良いクラスメイトというだけでは普段見ることのない、彼らのプロフェッショナルな一面も知ることが出来るかもしれません。

履修を終えて

教授からのメッセージでNegotiation is a science, not dirty tricks or power moves”という言葉が一番心に残っています。
実はこの言葉を教授は初回と最後の授業で生徒に伝えており、初回に聞いた際には正直あまり心に響かなかったのですが(苦笑)、9回に渡るロールプレイングに徹底的に事前準備をし、試行錯誤・失敗を繰り返し、教授や同級生から様々な知識を学んだ結果、最終回に再び聞いた際には心から納得しながらこの言葉を受け入れることが出来ました。また、これまでの人生で自分が相対した交渉の場で、いかに事前準備が甘い状態で交渉に臨んでいたかを痛感しました。
日本人は押しが弱く、交渉が不得手という一般的なイメージがあるかもしれません。しかし履修を終えてみて、日本人の融和的な気質に加えて、交渉において肝となる事前準備に取り組む際の綿密さ・丁寧さ・ロジカルな面などは交渉にとても活きてくるのではないかと思います。Negotiationの基礎的な知識を身に付け、グローバルに多種多様な交渉スタイルに触れてそれらの行動要因を理解しさえすれば、むしろ日本人が得意とすることが出来る領域なのではないでしょうか。
MBAの真の価値は知識や資格の取得ではなく経験であるとよく言われますが、LBSの素晴らしい教授陣・考え抜かれた授業構成・Diversity豊かな環境(同級生達)によって、その最たるものが織り成されていると感じた授業でした。また、どのMBA校の授業ラインナップにも含まれるNegotiationの授業ではありますが、Diversity豊かな環境が相まってLBSらしさが如実に出ていた授業でした。
最後まで読んでくださりありがとうございます。今回ご紹介させていただいた内容が、今後の皆様のMBA受験校選びや授業履修時の参考になりましたら幸いです!