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受験体験記No.9 / 社費 / 証券

. 基本情報

  1. 職歴:証券会社(投資銀行部門)5年
  2. 留学形態:社費
  3. 英語・海外経験:計5か月程(海外研修、語学学校、サマースクール)
  4. 受験校:LBS + 米国校5校
  5. 合格校(Waitlist除く):LBS、Kellogg、Haas、Tuck
  6. GMAT(GRE)スコア:GMAT 740(V40、M50)
  7. TOEFL(IELTS)スコア:TOEFL 111(R30、L30、S24、W27)
  8. 奨学金:無
  9. LBSへのキャンパスビジットへの有無:有(9月末)

2. Why MBA?

元々MBAに関心はなかったのですが、職場の尊敬する上司から強くMBA取得を勧められたことをきっかけに、検討を始めました。 そして、2年間業務から離れることと、2年間リスクフリーな海外経験を得られることを照らし合わせ、長期的な視点で、今後グローバルで活躍するためにはMBA取得に時間を費やすほうがベターとの結論に至りました。 尚、エッセイ等に記載していたWhy MBA?は以下の通りです。以下は本音ではあるものの、海外経験を得たい、というモチベーションが圧倒的に大きかったことは否定できません。
  • 今まで触れてこなかった学問(Strategy、Marketing、Organizational Behavior等)の基礎を身に付けることにより、包括的なビジネス素養を獲得する
  • 学生やビジネスプロフェッショナルとの関わりにより様々な産業の知見を高める
  • グローバルな環境下におけるリーダーシップ、チームワークスキルを高める

3. Why LBS?

  • Diversity: 自分のように英語が不得手でも、強みを活かしてリーダーシップを発揮できる環境にあると在校生から聞いており、多国籍の中でのリーダーシップ、チームワークを学ぶ場所としてLBSは最適だと考えました。
  • Londonの地の利: 各産業が近接していることが様々な産業に触れたいとの自分の想いに合致しました。また、ヨーロッパを中心にイギリス国外へ簡単に旅行できることも魅力でした。
尚、LBSと米国トップ校(M7等)を比較してどちらを志望/進学先にするか悩まれる方々も多いと思います。どの学校も(きっと)素晴らしい学校だと思いますので、客観的な事実を把握したうえで個人の嗜好に合わせて学校を選べば良いと思うのですが、一般的に、「LBS(を含む欧州校)よりも米国トップ校の方が良い」という先入観がやや強いように感じます。そうした先入観に対する一つの意見(反論)を項目別に以下の通り記載しています。勿論私個人の嗜好によるものですので、ご参考程度にご覧ください。 ① 授業のレベル(米国校>LBSは本当か?) 1)客観的に各校にどのような違いがあるのか 2)自分がどのような授業を求めるのか という二点で判断しました。1)においては、LBSは非ネイティブの教授が多いそうです。私はネイティブ・非ネイティブの好みはありませんでしたので、意思決定に影響はありませんでした。また、他校のネガティブキャンペーンのために「XXは授業のレベルが低い」と言う方々もいましたが、(複数の学校のMBAを取得する方もそうそうおらず)客観性に欠けるため聞く耳を持ちませんでした。 2)の方が自分にとっては重要で、「レベルの低い授業にあたるかも知れない」、という主観的な減点法ではなく、「自分の嗜好にマッチした素晴らしい(と聞いている)授業がたくさんある」、という理由で学校の評価をしました。LBSはStrategy、Finance、Organizational Behaviorはじめ各分野に「この人から学びたい」と思える教授がおり、講義への大きな期待を持って入学を決めました。尚、学びの大きさを決める一番の要因は当人の授業に対する姿勢だということも追記しておきます(自戒)。 ② 英語力が向上する環境(米国校(ネイティブ多)>LBS(多国籍)は本当か?) 英語力に関するLBSの特徴として以下が挙げられます。 1) LBSはネイティブの学生は半数以下 2) LBSの非ネイティブの学生の殆どは入学時点でUS/UKで働けるだけの英語力がある、或いは既に働いていた(無いのは日本人他一部のアジア人くらいでしょうか) 3) 英語が不得手な日本人を受け入れ、丹念に話を聞いてくれる素敵な学生が沢山いる(但し全員とは言いません) 4) スタディグループで議論する機会が豊富にある 私の場合は、英語でのディスカッション能力を高めることが自分の英語力を高めるために最も必要なことだと感じておりました。故に、多国籍な学生が集まるLBSでは、私の下手くそな英語への許容度も高いだろうから、きっと発言の機会が多いだろう、ディスカッションにプロアクティブに参加できるだろう、その結果英語力も向上するだろうと考え、LBSを選択しました(尚、実際はそんな甘いものではなく英語には非常に苦労しています)。 ③ 学歴の優位性(米国校>LBSは本当か?) LBSとXXでどちらのほうが今後のキャリアに有利か、ということを考え、以下の結論に至りました。 1) 米国/欧州トップX校においてどの学校が優位ということはない 例えばとある日本人が大学卒業後にとある日本企業から内定をゲットできたのは、彼/彼女が東大卒だから(京大でも、一橋でも、慶應でも、早稲田でも、XXでもなく)とうことはないと思います(社長がXX卒でXX閥が強いスタートアップだから、等の特別な事情を除く)。LBSは殆どの企業のターゲットになっておりますし、入社後のパフォーマンスが本人次第であることは言うまでもありません。 2) アラムナイネットワークとのマッチが大切 LBSのアラムナイネットワークは数、質、広がり(国、業種)を考えても世界トップクラスだと考えます。卒業後にそのネットワークの一員になれることは、十分すぎるほど今後のキャリアの助けになると考えました。 ④ 日本人学生が多いことによる影響(LBSは日本人が多すぎるからXX、というのは本当か?) LBS MBA2020の日本人学生の数は19人です。他校と比較して日本人が多い部類に入ると思います。入学して3か月が経った現時点では、寧ろ日本人が多いことによる以下のメリットを大いに感じています。 1) 海外の学生からは得られない情報交換ができる(日本でのキャリア、日本人視点でのお勧め情報) 2) 日本人同級生を介して他の学生との繋がりが増す 3) 自分一人で難しくとも、他の日本人と共同でリーダーシップを発揮できる 一般に言われる日本人が多いことによるデメリットの一つは、日本人同士で群れてしまうことだと思います。しかし、どのように日本人同士で接するかは個人個人に任されておりますし(殆ど他の日本人と絡まないという選択肢もあると思います)、新たな環境下で成長をしたいという大きな熱意を胸にロンドンに来る方々ばかりなので、あまり気にする必要はないのではないかと考えます。

4. 受験スケジュール及び準備

  • 2016/09:TOEFL準備開始。アゴスへ通学開始。スコアは90-95点程
  • 2016/12:社費派遣内定。TOEFLスピーキング用にE4TGへ通学開始
  • 2017/02:TOEL104、一旦GMATに切り替えることを決断。アフィアンスへ通学開始
  • 2017/04:GMAT・SC用にY.E.S.へ通学開始
  • 2017/06:カウンセラー決定。自分のコアバリュー出しから始める。証券アナリスト一次試験受験(派遣先での事情による。やる気が出ず辛かったです)、
  • 2017/07:GMAT1回目・700。受験校6校が決定(志望校提出後、会社が割り振り)
  • 2017/09:GMAT2回目・740、GMAT受験終了。MatthewとTuckのインタビューに向けたトレーニングを開始。TOEFL106。受験校全6校へキャンパスビジット実施、Tuckは在校生との面接を実施
  • 2017/10:TOEFL再開。エッセイ・推薦状に着手
  • 2017/11:Tuck出願
  • 2017/12:TOEFL108。エッセイ・推薦状の追い込み。複数のカウンセラーとモックインタビュー実施
  • 2018/01:LBS含む5校に出願。LBS、Kelloggはビデオエッセイ提出。TOEFL111、差し替え依頼を出し、スコアメイク終了
  • 2018/02:Tuckスカイプ面接(英語力チェック)実施。Tuck合格通知。LBS、Kellogg、Haasの面接を実施
  • 2018/04:LBS、Kellogg、Haasから合格通知
  • 2018/05:合格先のパーティ参加等を経て、進学先をLBSに決定
スコアメイクについて: GMAT、TOEFLとも比較的スコアに恵まれたのは、「速読力」にあると考えています。アフィアンスの土佐先生の「英文を200 words/分読めればGMAT700は固い。そのためには洋書100万語分の読書をしなさい」というアドバイスを忠実に遂行したことが吉と出たように思います。2017/1時点での私の速読力は150-170 words/分でしたが、70万語程洋書を読んだところで200-220 words/分程度の速読力を獲得し、以降はリーディング関連のスコアが安定しました。 GPAについて: 私は低GPAに悩まされておりました。たまに「GPAが2.8だからやばい」などと聞くと、「冗談も休み休み、、」と感じていたような水準です。社費選考に応募する前に、ネットで低GPAの方の体験記を隈なく探しましたが、殆どの方のGPAが2点台後半で、私の水準に該当するのは1、2件ほど(確か「GPA1点台だけど欧州トップ校に受かった」といった記事だったと記憶しています)しかなく、日々不安を感じていました。また、複数の有名カウンセラーにコンタクトを取った際にも「君のGPAではトップ20の学校への合格が難しいのでカウンセリングを引き受けられない」と門前払いを受けました。そんな中で幸いにも複数の学校から合格をいただけたのは、スコアメイクとエッセイ・推薦状の作成に並々ならぬ力を注いだことにあると思います(勿論社費、IBバックグラウンド等が影響した可能性も否定できませんが)。低GPAで悩む同志の皆様は、是非GPA以外の要素で挽回すべく、頑張っていただきたく考えています。

5. 使用教材、予備校、カウンセラー

  • GMAT:アフィアンス、Y.E.S. / オフィシャルガイド、GMAT King、Prepクエスチョンパック
  • TOEFL:アゴス、LINGO、E4TG、アンディ田開さんの勉強会 / オフィシャルガイド、Hackers、TPO
  • エッセイカウンセラー:(本人希望で名前は伏せます)
  • インタビュー:Matthew Aldridge、Vince Ricci、Jessica King、Steve Green
  • 英語:ビズメイツ(スカイプ英会話)、ジングルズ(発音)

6. 入学後に感じたこと

① MBAは参加する/しないの意思決定の連続 アカデミック、クラブ、ソーシャル、リクルーティング等、毎日様々なイベントが開催されており、それらのイベントの案内メールを確認する作業だけでもかなりの時間を費やすほどです。勿論全ての行事に首を突っ込むことは不可能なので、取捨選択の機会が日々あります。故に、出来るならば、入学前にある程度活動の優先順位をつけておいて、入学後に日々修正を図ることをお勧めします。また、ソーシャルな活動に関しては、今まで国内でしか活動してこなかった自分には信じられないほどの頻度と熱気で活動が行われています。アカデミック・リクルーティングとの両立はどのように図るのか、自分のペース・嗜好を変えるのか・変えないのか、といった決断を迫られるため、入学前に心の準備をしておくことをお勧めします。 ② 英語力 = 言語能力×コミュニケーション能力 入学後に学生同士で交流する機会は山ほどあり、そこで感じるのは、上手く英語でコミュニケーション/ディスカッションできないのは、言語運用能力としての英語力だけではなく、ダイバースな環境下でのコミュニケーション能力が足りないからだ、ということです。そして、LBSでは特に後者のコミュニケーション能力を高めるには最適の環境であることを日々感じています。一方で、言語運用能力としての英語力は、日々外国人学生と交流するだけでは足らず、「お勉強」として毎日研鑽を積むことが必要だと感じています。

7. 受験生へのメッセージ

MBA受験において、不公平な状況というのは山ほどあると思います。社費/私費の違い、英語力、バックグラウンド、勉強時間が取れる/取れない等々、自分より恵まれている(ように思える)隣の人を見て羨ましくなることもあるのではないでしょうか。 そこで大切なことは、「自分で変えられることに対し、どれだけ沢山の力をどれだけ正しいアプローチで注げるか」ということだと思います。MBAへ行きたいというモチベーションを保ち続けること、獲得した情報をもとに最適な受験戦略を編み出すこと、この両輪が回ってこそ受験の成功があると考えています。 皆様のMBA受験において、私の体験記が少しでもお役に立てばこれほど嬉しいことはありません。皆様の成功を心よりお祈りしています。 一覧画面へー戻る