受験体験記No.9 / 官費 / 官僚
基本情報
・出身業界:官僚
・職種:金融規制・監督
・職歴:4年
・留学形態:官費
・海外経験:旅行程度、業務の1割が英語
・出願校:LBS、Cambridge、Oxford、Imperial、Warwick
・合格校:LBS、Cambridge、Oxford、Imperial、Warwick
・GMAT:700 (Math 50、Verbal 35)
・IELTS:OA7.5 (R9.0, L7.5, S7.0, W7.0)
・奨学金:無
・LBSキャンパスビジット:無
Why MBA
本音ベースでは、以下の3点がMBAを志す動機となりました。
①英語力向上:外資系金融機関のHeadquarterや海外規制当局と電話会議をする機会を幾度と経る中で、いかに自分の英語が仕事で使えるレベルに達していないかを実感し、グループワークなどの多いMBAという環境に身を置くことで、英語を話せる、使えるレベルに上げていきたいと感じたこと。
②ファイナンス知識の習得:法律バックグラウンドで、金融を体系的に学ぶ機会がなかった中で、一度腰を据えて学びたいと感じたこと。
③ビジネスに対する無知:金融機関に対し持続可能なビジネスモデルの構築を促すという立場にいながら、自身はビジネスを行ったことがない、という違和感・限界に対し、MBAは最も手っ取り早い手段であると感じたこと。
出願ベースでは、よりキャリアゴールに寄せる形で、金融機関のビジネスの持続可能性・リスクマネジメント能力の向上を促していく人材、そして長期的には国際金融規制の議論をリードしていく人材になるために、以下のスキル・経験を得る場として、MBAを志しました。
①金融リスクを特定・管理するためのファイナンス知識
②ビジネスモデルの持続可能性を検証する能力
③多様なステークホルダー間の議論をリードするリーダーシップ
Why LBS
上記のWhy MBAに照らした際に、以下の観点で当初からLBSを念頭に置いていました。
①ファイナンスに定評があり、選択科目の幅が広い(選択次第でMiFと同等のレベルを学ぶことが可能)
②ビジネスをハンズオンで学ぶ機会がある(London CAPやGBE等)
③世界トップクラスのダイバーシティ(国籍・職歴)
その他にも、2年制であるため、自身の今後のキャリアをじっくりと見つめなおし、必要と思う勉強や経験を積んでいく余裕があると考えたこと、せっかく海外に住むのであれば英語圏で生活してみたい、加えて金融都市と言われるロンドンを肌で感じてみたい、といった現実的な要素もありました。
受験スケジュール及び準備
19年9月 MBAを考え始める。ちょうど社内選考の募集がかかる。
19年10月 とりあえずIELTSを2回連続で受験してみる(どちらもOA7.0)。点数のぶれはあまりなく、RとLは7.5以上は安定して取れると確信する一方、SとWが6.0前後の実力であり、これらに絞って対策することが必要と認識。
19年12月 社内選考通過。
20年1月 本格的に準備を開始。Y.E.S.通塾開始(平均週2)。
20年2月 IELTSのWとS対策のため、バークレーハウス(IELTS専門コース)通塾開始(平均月2)。目標スコアをOA7.5 (R8.0, L8.0, S6.5, W6.5) に設定。
20年3~5月 気分転換でGMATのMathをやりつつ、ひたすらY.E.S.とバークレーハウスを続ける日々。
20年6月 IELTS3回目受験。OA7.0(R7.5, L8.0, S6.0, W6.5) 。
20年7月 IELTS4回目受験。出願スコア獲得。OA7.5(R9.0, L7.5, S7.0, W7.0) 。GMATにシフト。カウンセラー(Ed Lee)コンタクト開始。AGOSの夏祭りに参加。
20年8月 日本人在校生が主催する個別の学校説明会や学校主催の公式説明会に参加。在校生からも個別に話を聞く(11月頃まで不定期に)。LBSとCambridgeがターゲット校に。
20年9月 GMAT1回目受験。出願スコア(700) 獲得。以降はエッセイに集中。
20年12初 EdからLBSのエッセイについてだいたいOKとのコメント。他の学校のエッセイ等作成開始(1~2週で1校ペース)。2人目のカウンセラー(Lauren Unik)にもコンタクト。急遽Why MBAがそれっぽいとの理由でOxfordへの出願を勧められる。
21年1月 5校出願。
21年2月 LBSビデオエッセイ提出。Imperial、Warwickインタビュー。
21年3月 Cambridge、LBS、Oxfordの順にインタビュー。最後にLBSから合格通知を受領。悩んだものの最終的にLBSへの進学を決定。
使用教材、予備校、カウンセラー
IELTS
上述のとおり、RとLは特に対策不要と判断したため、WとSに絞って対策しました。TOEFLと異なり、IELTSの予備校はここ!というものがない印象を持ったのですが、以下の理由から、バークレーハウスに通うことにしました。
・教師のクオリティが高いこと(全員が毎年IELTSの受験を義務づけられており、OA8.0以上などの講師も多数在籍、IELTSの実際の試験官も在籍)
・ネイティブ講師とのマンツーマンレッスンが確保されていること
・自分で内容をカスタマイズできたこと(1回2時間のマンツーマンレッスンのほとんどをSpeakingのみに費やしていました)
・Writingの添削をしてくれること
・Speakingについて本番形式に近い練習ができること
ネイティブ講師は、実際にIELTSのスピーキングの試験官もやっており、各科目の評価項目に沿って採点してくれたので、自分の目指すスコアがどの程度のクオリティなのかの感触をつかみつつ、自分の足りない分野を細分化できたところが良かったと思っています。例えば、スピーキングは①Fluency and Coherence、②Lexical Resource、③Grammar、④Pronunciationの4項目の平均で点数を算出しますが、毎回「①6、②6、③7、④7で全体は6.5だね」などと評価してくれたので、①と②を伸ばせばよい、そのためにはこれをしたらよいといった具体的なアドバイスをもらえました。私の場合は、語彙力の不足が諸悪の根源であると考えました。
具体的に何をしたかと言えば、まずライティングは公式問題集を解き、ネイティブ講師に添削してもらっていました。時間は特段計らずに、色々な表現をググりながら回答案を作成し、どのような文章構成・単語・熟語が7.0レベルなのかを理解しつつ、ネイティブ講師からの修正を吸収することで、水準の高い表現をインプットしていきました。
スピーキングについては、ネイティブ講師と模擬試験のような形で練習していました。具体的には、その場で質問を提示され、少し考える時間をもらった後、「録音しながら回答→(ひととおりPart1~3を終えたら)録音した自分の回答を再生→ネイティブ講師から気になった点で再生を止めるよう言われ、そこはどうしたらもうちょっとうまく言えるか?文法の間違いがあるが直せるか?等の指示を受けつつ、講師からナチュラルな表現を教えてもらう」といったやり方をしていました。その他、講師が実際の試験官なので、よく出るようなトピックを教えてもらい、当該トピックに関して聞かれ得る質問をググってはスクリプトを作成して語彙を増やす、といったことも自習としてやっていました。実際にそれらのトピックが出題されることはありませんでしたが、少なくともパート1については、増やした語彙のおかげで試験官の印象を良くすることができたと感じています。
GMAT
Math:マスアカで数学語彙を増やしつつ、仕上げにPrep(模擬試験)で練習。これをしっかりやれば50/51は取れるようになると思います。最初にOfficial Guideをやりましたが、正直なところ助走程度にしかならず、本番より簡単なので、少なくともこれだけで臨むのはリスキーだと思いました。
Verbal:SCは自習不可能と思われたので、Y.E.S.に通い、教材の予習・復習を徹底しました。Y.E.S.は、そもそも文法上こうなのだから回答はこれしかあり得ないといった論理的な解説をしてくれるため、SCの解答について一定の納得感が得られ、小手先のスキルを磨くよりも自分の性に合っているなと思ったことが決め手でした。結果として、文法力が鍛えられ、文章を読むときも書くときも、文章構造への理解が2段くらい深まった気がしますし、副産物としてIELTSのRやWの得点向上にも繋がったと思っています。CRとRCはOfficial Guideを2周ほどしました。
カウンセラー
①Ed Lee(江戸義塾)、②Lauren Unikの2名にお世話になりました。決め手は正直あまりなかったのですが、Edは最も有名なカウンセラーであり、周囲からもとりあえずEdで良いんじゃない?と言われたことで安易に決めてしまいました。しかし、個人的にはEdにはEdの良さがある一方で、後半の大事な時期にエッセイやCVに対してあまりコメントがなくなり、これで出して良いのか信じきれず、12月中旬というギリギリの段階で、Laurenに駆け込みました。これが結果的には英断だったと思います。インタビューの練習もLaurenにお願いしました。
他のカウンセラーについてはコンタクトすらしていないので分かりませんが、個人的には、EdとLaurenという組み合わせは、とても補完が取れていて、良かったと思っています。例えば、Edには情報量(過去問の蓄積、セミナー開催等)やレスポンスの早さ(基本的に絶対に24時間以内には返信が来る)といった長所がある一方、細かい校正まではしてくれない、といった側面がありました。他方で、Laurenは文法チェックも含めしっかりと文章を校正してくれる一方、丁寧さに比例してレスポンスが遅くなりがちという側面があるように感じました。皆さんもカウンセラーとの付き合い方は手探りしつつよく考えて頂ければと思います。
なお、カウンセラーを利用して私が感じたこととしては、カウンセラーは「正解をくれるわけではない」ということです。何を書きたいかはあくまで自分で考えるもので、カウンセラーは、書きたいものをよりうまく言う表現はないか、ロジックが通っているか、合格水準に達するほど考えが煮詰まっているか、内容に不足はないか、といった点を補う存在と捉えた方が良いということです。なので、カウンセラーからのsuggestionに振り回されすぎず、何をどこまで反映するかは自分で決めるという意識を持つことが重要です。
受験生へのメッセージ
MBA受験は人事へ留学希望を出してから約一年半に及ぶ長丁場の戦いでした。仕事をしながら準備するのは予想していたよりも大変で、途中何度もモチベーションの管理に苦しみました。一方で、受験の過程で本当に色々な方のお世話になりました。隣の課室にいただけで一緒に仕事をしたことがほとんどない先輩に、エッセイのレビューや推薦状を書いていただいたり、それまで会ったことも話したこともない志望校の在校生にZoom・メールでの質問攻め、他の在校生の紹介等様々な要望に快く応じていただいたりと、挙げればキリがありません。しかし、皆さん忙しい時間を惜しみなく自分に割いてくださり、そのおかげで無事に受験を乗り切ることができたと感じています。それはおそらく、いわゆるペイフォワードの精神で、過去にMBAに行かれた方々も自分と同じ道・苦労をたどってきたからなのだろうな、と思いました。受験生の皆さんの力になれることが私に少しでもあるのであれば、喜んで時間を割きたいと思いますし、遠慮なくご連絡いただければと思います。最後になりますが、少しでもより多くの方が希望の学校に合格できることを願っております。
一覧画面へー戻る