Private Equityコンペティションを終えての振り返り

以前の投稿ではインパクトコンサルティングプロジェクトが取り上げられましたが、今回は私が1st Termに参加したPrivate Equity(以下PE)コンペについて書こうと思います。

 

LBSには数多くの学生主導イベントが存在します。大きく分ければ、ゲストスピーカー、トレック、コンペ(プロジェクト)、勉強会などに分かれます。コンペは複数種類のものが計年間20個程度行われ、ケース、PE、ヘルスケア、投資、ベンチャーキャピタル(VC)、スタートアップ、NPOなど様々な分野で行われます。例えば、ケースコンペではあるケーススタディをチームで分析し企業のストラテジーを立案するという内容、VCコンペではある企業がテーマとして与えられ、投資のTerm sheetを作成するという内容でした。

私は入学してすぐに、オランダのRotterdam School of Managementが主催し、LBS内ではPEクラブが主導するRSMコンペティションという大きめのPEコンペに参加しました。9月の頭に募集及び説明会があり、その後各自が仲間集めをします。周りの人たちに声をかけることからスタートです。私は英語も得意じゃないですが、こちらからポジティブにアクションを起こすと簡単に周囲と打ち解けられます。

声をかけると必ずバックグラウンドを聞かれます。各チームは多様なメンバーにしたいと思っており、私が入ったチームもM&A1人、コンサル1人、弁護士1人、PE1人、エクイティリサーチ1人という布陣になりました。国籍もバラバラです。チームを作った後はお題が与えられます。このコンペでは、あるアメリカのフードチェーンが対象企業として与えられ、そのバイアウト、バリューアップ、売却すべてのプロセスのストーリーを考え、最終的にプレゼンするという流れでした。5人メンバーで以下のような点を議論・分析しました。

(1) その会社が何をしているのか、
(2) その会社の競合は何をしているのか、
(3) バイアウトしたのちPEとしてどうバリューアップできるのか、
(4) 業績予想、
(5) LBOストラクチャーを組み、
(6) 売却手段(出口戦略)、
(7) ポテンシャルリスクは何か。

提出締切まで1週間半しか与えられた時間がなかったので、毎日4時くらいまでみんなで議論し、プレゼンを作りました。当初、議論は正直交錯しました。バリューアップの手段について議論し始める人もいましたし、プレゼンの見た目に大変こだわる人もいて、思うように議論が進みませんでした。また、フリーライダーを非常に嫌う性格のUK育ちのメンバーが他のあるメンバーに対してこの点をはっきり指摘して重い空気になることもありました。皆のやる気が停滞した時もありました。(日本人としては普通ですが)私が徹夜で業績予想を立てて翌日持っていったら、「ジャパンハクレイジー」的なことを言いながら他のチームメイトが自分のパートを急いでやり始める、なんてこともありました。議論や仕事の進め方が各々バラバラなので大変でした。

提出日当日にほぼ徹夜で完成させた15枚のプレゼンスライドを提出し、翌日の夜にはその結果が出ました。「ファイナリストに選ばれました。明日、プレゼンテーションを持ち時間30分でお願いします」とのこと。急だなおい。。。と思いつつも、そこからいきなりプレゼンの練習が始まります。英語が苦手であることには無関係に、役割を分担し、リハーサル。そしてダメ出しの嵐(みんなプレゼンが非常にうまいことに感激しました)。チーム全体で声のトーンや話すスピード、ワーディングに指摘を入れあい、なんとか翌日プレゼンを行いました。

結果として、優勝は逃しました(優勝するとアムステルダムのPEカンファレンスでプレゼンできる権利が与えられたのですが残念)。優勝したチームのプレゼンでは、バリューアップ戦略について具体的かつ緻密に述べられていて、法律面も含め戦略の現実的な遂行について深い議論がされていました。

さて、終わって振り返ると、全くよくわからない分野の物事にとりあえずガッツだけ持ってチャレンジしにいくと、大変色んなことを学べるんだなと、当たり前のことを再認識することができました。本当に多様な経歴の人たちがいるので、そういう人たちから学ばない理由はないな、と思いながら今は過ごしています。最初は「別にPEの勉強しに留学しに来たわけじゃないし。。。」と思ってこのコンペへの参加は見送ろうかとも思っていたのですが、「どうせリスクもないんだし、やってみればいいじゃん」という友人のコメントに従いとりあえずやってみたのが大正解でした。もともと無知だったLBOモデルなども、チームメイトが組んでるのを見る中で大変理解が深まりました。

また、チームワークも勉強になりました。どのチームにもモチベーションの濃淡はあります。私のチームも、あまりコミットしない人、モチベーションが大変高い故に他の人に無理やり頑張らせようとしている人、意見を必ず口に出す人、控えめにしているけど譲れないところは必ず声をあげる人、色々いました。モチベーションが停滞したときに、どうやったらみんなのやる気を引き上げられるんだろう、そう思った時もありました。その時は自分が無茶苦茶がんばることで皆をうまく刺激することができましたし、そういう経験をしたのは生まれて初めてでした。結果には満足できなかったものの、そういう勉強をできたのはいい経験でした。

反省点は、もう少し議論に対する時間の使い方をコントロールできればよかったなと思っています。課題を与えられるとやらなければならないことは膨大ですが、その中でどの部分が最も重要で時間をかけるべきなのかを考えるべきだったな、と。もっとバリューアップをどうやるのか、ユニークな具体策をもっと織り込むべきだったと反省しています。次に活かします。

さて長く書きましたが、この記事が学生イベントの一つであるコンペをイメージすることに役立てば幸いです。

 

学期中のインターンシップ

LBSの最大の特徴のひとつとして、プログラムの柔軟性があげられます。例えば、MBAでは卒業するまでの期間を15,18,21ヶ月の中から選択することができ、いろいろな生徒のニーズに対応できるような構成になっています。このフレキシビリティさを利用し、2年目の今期に授業を取らずにロンドンのTech Start-upでフルタイムのインターンシップをした経験を書かせていただきたいと思います。

 

プログラムの柔軟性

私はMBAに所属しており21ヶ月での卒業予定なので、2年目の学業に関しては比較的余裕のあるスケジュールになりました。そのため、似たような状況にある多くの学生は、各々自分の興味のある活動に勤しんでいます。私のように授業を一切とらず、ロンドンもしくは他国でフルタイムインターンに従事する人もいますし、授業を取りながら週に数日のパートタイムインターンや、もしくはクラブ活動に力を入れる人など様々です。クラブのプレジデントを2つ掛け持ちしているクラスメートは今学期ほとんどの時間をクラブでの活動(イベントの企画など)に費やしていました。また、中には毎週のように旅行で世界中を飛び回っている友人もいます(笑)。かといって、決して勉学を疎かにしているわけではなく、多くの授業では大量のAdditional readingが提供されますし、授業によっては実在の企業を顧客としたコンサルティングプロジェクトを行うものなどもあり、そのような授業を履修すれば相応の負荷、学びが期待できます。それ以外にも、LBSでは海外の多くのビジネススクールと提携しており、他国へ交換留学している生徒も多数います。この交換留学の機会の多さもLBSの魅力のひとつです。

このように、LBSではロンドンという立地も相まって、それぞれの学生が自分の興味に合わせて積極的かつ能動的に活動できるので、自分のやりたいことがある程度はっきりしている方にとっては最高の環境ではないでしょうか。

 

ロンドンのスタートアップ

ロンドンでは、ヨーロッパの中心なだけあり、数多くのスタートアップが生まれ、ひしめき合っています。特にテック業界はその中でも盛り上がっており、テクノロジー関連の仕事に従事する人の数は、金融業界で働く者の人の数を超えたとも言われています。LBS Career CentreのJob Boardでも、毎日のようにスタートアップの求人がアップされています(テックに限らず)。余談ですが、スタートアップの勢いに伴いVCの数も多く、そちら方面へ興味がある方にもロンドンは非常に魅力的な環境だと思います。実際、かなりの数の同級生がフルタイム、パートタイムを問わず、ロンドンのスタートアップ、VCでインターンをしています。

 

インターンシップ

私はAIビジネスに興味があり、今回、バイオメトリクス関連のAIを開発するスタートアップで、製品開発に携わりました。このスタートアップは先日シリーズAで$50mil強を調達した非常に勢いのある会社で、毎週のように新しい人材をリクルートしており、私が入社時には50名ほどだった社員も、インターンを終了する頃(12週後)には80名を超えていました。私自身はファイナンスの出身ですが、このようなこれまで経験しなかった業種、職種、環境に身を置けたことはMBA生活の中でも一番と言っていいほど大きな収穫であったように思います。

そもそも今回インターンをするにあたって、私は以下の2つを目的としていました。

  • そもそもAIとは何か、またそこに使われているテクノロジーはどのようなものかを可能な限り理解し、将来ビジネスに応用できるようになりたい。また、巷で溢れている、「AIに仕事が奪われる!」というような話がどこまでリアルなのか判断できるようになりたい。
  • 学生ではなく、社会人という文脈の中で、グローバルなリーダーシップを学び、身につける。LBSもダイバーシティな環境であることは間違いないが、学生活動と仕事では、ヒエラルキーの有無や個々人のモチベーションなどに違いがあると思った(どちらのほうが良いという話ではなく)。

1つめの目標に関しては、何となく概要を掴むことはできたかなと感じています。近年のAIブームの立役者は、deep learningと呼ばれる技術であり、またそれを支えるビッグデータの存在やコンピュータの進歩があげられます。deep learningに関しては日進月歩で研究が進んでおり、絶えず欧米の研究機関(有名大学やGoogleに代表されるテックジャイアント)が研究成果を発表しています。私が所属していたチームでは半数がPhDを取得しており、彼らがそのような論文を読み込み、製品に落とし込んでいく姿を間近にして、非常に知的好奇心を刺激されましたし、自分もその一端を担うことができ(末端中の末端ですが)勉強になりました。

一方、2つめの目的に関しては、まだまだ道半ば、むしろ2、3合目だなと思っています。今考えれば当然なのですが、初めての業界、職種でそもそものスキルが足りない中、いわゆる”リーダーシップ”を発揮をするのは非常に困難を極めました。そこで、まずは自らのやるべきこと完璧にこなしチームに貢献をすることを意識しながら、徐々に自分の仕事の領域を広げていく形で、貢献の幅を増やせるよう努力しました。一方で、今回私が所属していたチームのリーダー(プロダクトマネージャーに相当します)からは学ぶことが多くありました。まず驚いたのが、マネージャーが個々の業務に関して、かなり細かく精通し、かつスキルを有していたことです。私のチームは10人強で構成されており、同じチーム内とはいえ、その業務内容は多岐に渡り、それぞれが違った役割を受け持っています(アルゴリズムの開発、データエンジニアリング、テスト環境の構築、バックエンドなど)。そのそれぞれの業務に関して、マネージャーが課題発見、解決の道筋を立て、メンバーにコーチングしていた姿はとても印象的でした。実際、マネジメントする立場にありながらも、スキルの向上を怠らず、技術系のワークショップに参加したり、パートタイムでPhDの取得を目指しているようです。

また、個々人のパフォーマンスを最大化できるような環境づくりを怠らない姿勢など、マネジメントスキルも参考になることが多くありました。日ごろからチームメンバーとの会話を怠らないようにしているだけでなく、定期的にチームミーティングを開催し、個々人が詰まっているところはないか確認、もしあれば、適切な助けが得られるような組織運営には、スキルの不足している私も助けられました。また、プロジェクトメンバー内のひとりがご家族の不幸でチームを離れた時も、それによってボトルネックになる部分を即座に発見し、全体の締め切りを守れる範囲でプロジェクトの予定を柔軟に変更していた様子は、まさしくマネージャーとしてあるべき姿のように感じます。いわゆるマネジメントというと、どうしてもハードスキルは見過ごされがちですが、そのマネージャーはソフトスキルとハードスキルを両方とも高いレベルで発揮しており、自らが目指すべきロールモデルの一人となりました。

私は将来AI関連のプロダクトマネジメントに関わっていきたいと思い、このインターンにたどり着きましたが、その視点からも新しい発見がありました。ひとつには先にあげたようにマネジメントと言えど、技術に対する深い知識、理解が必要であること。そして、数多くの優秀なエンジニアと一緒に働き、その働き方を学べたことです。彼らは「ソフトウェアが世界を回している」という世界観を持ち、ワクワクを原動力に動いている人が多いように感じます。嫌な仕事をポジションパワーでさせることなどできませんし、もししようものならすぐに転職してしまいます。そのくらい彼らのような人材の需要は高く、だからこそ会社全体やマネージャーも働きやすい環境を作ることに注力しています。

 

まとめ

上記の他にも、ここではすべて書ききれませんが多くのことを学ばせてもらいました。スタートアップならではのスピード感、フラットで議論しやすい文化や、個々人の成果が見えやすい組織構成、柔軟な労働環境など、どこかで聞いたことがあるような話でも、それを実際に経験できたことは今後のキャリアの糧になると思います。私自身はインターンシップという選択をしましたが、先にも述べた通り、自らの興味を追求できる環境がLBS、ロンドンには揃っています。この記事がLBS受験を考えているみなさんに、少しでもお役に立てば幸いです。


MBAと子育て〜MBAとライフイベントの両立に悩んでいる女性の方へ

8月中旬にプログラムが始まって早3ヶ月が経過し、Term1が終わろうとしています。今学期はFinanceやAccounting、Macro/Microeconomics などコア科目の授業のみでしたが、日々たくさんの課題に追われ、あっという間に過ぎてしまいました。

 

さて、今回私からは “LBSにおけるMBAと子育ての両立”についてお伝えしたいと思います。今まさにキャリアとプライベート(特に結婚や出産などのライフイベント)、どちらか選ばなくちゃいけないのか、と悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。ご自身の人生の選択肢や可能性を考える上で、少しでも参考になればと思い、私自身が今経験していることや感じていることをご紹介できればと思います。

 

まずは簡単に自己紹介を。私は社費派遣で留学をしていますが、入学する直前の6月に第一子を出産し、7月末に渡英しました。私自身は 育休なしで復職、主人が長期育児休暇を取得して家族でこちらに来ています。渡英時に生後2ヶ月だった娘はありがたいことに順調に成長し、現在6ヶ月になりました。

 

出産する前はミルクで育てようと思っていましたが、いざ生まれて来た我が子を胸に抱いた時に、できる限り自分で授乳したいという思いが強くなりました。ということで、授業と授乳をどう両立するか夫と相談しながらなんとかここまでやってきた、という感じです。ちなみに、校内には授乳スペースが用意されていますし、搾乳して冷蔵庫に保管しておく事もできます。学校は学生の個人的な事情を考慮して、様々なリクエストに比較的柔軟に対応してくれるので助かっています。

 

毎日会うクラスメイトも「子供は元気か?」といつも声をかけてくれ、時にはイベントにも一緒に参加しています。パートナーや子供を含めて“LBSコミュニティ”の一員として受け入れてくれるカルチャーがとても気に入っています。

 

さらに、同級生には子供を連れて留学にきている女性も何人かいて、私のクラス(ストリームと呼びます)にも私を含めて3人ママがいます。ナイジェリア出身の女性は、2人の子供がいて平日は家族と別居、週末に郊外の自宅に帰るという生活をしています。中国出身の女性は、お子さんをナーサリーに預けているそうです。2人とも授業だけでなく、クラブや自身のブランド立ち上げなど本当に精力的に活動しています。彼らのパートナーや家族にも会う機会がありましたが、お互いの人生を尊重して協力しあっている姿がとても印象的でした。

 

私自身、MBA受験を決意するまでに、キャリアとプライベートの両立に何度も悩み、受験を諦めようかと考えた事もありました。しかし、今身近でそれぞれのキャリアの実現に向けて努力している同級生を見て、キャリアかプライベート必ずしもどちらかを選ぶ必要はない、やるかやらないか自分次第であり、強い意志と覚悟があれば、やり方はいくらでもあるんだということを感じています。

 

ロンドンという土地柄、学校内外で日々たくさんの面白いスピーカーイベントやネットワーキングの機会がゴロゴロ転がっています。優先順位づけがとても難しいですが、自身のキャリアや人生を見つめ直す貴重な2年間、家族にとっても刺激ある毎日にしたいと考えています。

多様性下でのリーダーシップ

 

「多様性の中でのリーダーシップ」これが私の留学のテーマです。

その観点において入学後最初に力を入れた活動、Impact consultingでの2ヶ月の案件が終了しました。

Impact consultingはLBSの学生が地元のNPO等に対してプロボノコンサルを行う活動であり、コンサル出身の学生がマネージャを担当、コンサル未経験の学生がアナリストロールを担います。私はマネージャを務めました。

以下、私の備忘録という側面が強いため共有すべきか迷ったのですが、多様性・リーダーシップというワードは多くのアプリカントがLBSに対して感じる最大の魅力であり、本活動はLBSのもつ多様性の奥行きを大いに感じさせてくれる活動でしたので、入学後のイメージを持って頂けるかと思い詳細を共有させて頂くことにしました。

 

[テーマ]

多様性下におけるPeople leadershipどのように動機づけをしていくか

多様性下におけるClient leadershipどのように共感を醸成するか

 

多様性下におけるPeople leadership – どのように動機づけをしていくか

私のチームはプログラム・国籍ともに多様性に満ちており、まさにLBSの醍醐味と言われるチームでした。MBAから4名(インド/イギリス/スペイン/シンガポール)、MiM(Masters in Management。学卒向けのMBAのようなもの)から2名(アメリカ/ルーマニア)というチーム。

マネージャとして最大のチャレンジは、如何にチームのモチベーションを高め・維持するかという点でした。仕事ではなくボランティアであり、皆複数の活動を掛け持ちしているため、「面白くない」と思われたら即コミットメントレベルが低下します。(例年6名中半数が離脱というケースも珍しくないそう)

更に、フィードバックやコーチングでモチベーションを高めるのはマネージャの大きな役割ですが、育った環境によりフィードバックの受け取り方は全く異なるという難しさがあります。エリン・メイヤー著「異文化理解力」に詳しいですが、例えばイギリス人は言葉をダウングレードする(Kind ofや、a bit等を多用して表現を和らげる)ため、彼らが「少しこうした方が良い」といった場合、強い不満を持っている可能性があります。あるいはスペイン人はハイコンテキストで間接的なコミュニケーションをすると思われていますが、実際はネガティブ・フィードバックを多用します。これらの差異を理解せずにフィードバックを行うと認識の齟齬が生まれるばかりか無用なコンフリクトに繋がりかねません。

私のチームでは、案件開始時に出席率が低い二人のメンバーがおり、彼らのモチベーション維持には大変苦労しました。仕事ではないのでTo doをやるか否かは自分次第であり、如何にチームの内なる動機づけを行うかが鍵となります。私が当初失敗したのは、チームを2つのワークストリームに分けた結果、チームメンバーから活動の全体像が見えにくくなり、モチベーション低下に繋がったことです。この課題意識を持っていたのは北部インド出身の女性だったのですが、私は南部インドにいた経験から北部インドは比較的ダイレクトに意見を伝えてくれるというステレオタイプを持っていたのですが(南部インドのタミルではシャイかつコミュニティ意識が強く、入り込むまで本音を伝えてくれないが、北部は対照的だと聞いていた)、実際にはそんなことはなく、このフィードバックを共有してくれたのは信頼関係ができたプロジェクト後半になってからでした。結果としては、クライアントミーティングでCEOが強くInvolveされ、本気で議論してくれていることに彼女は感銘を受け、「このクライアントのための一助になりたい」という動機を持ってくれました。彼女はラスト3週間はまさにチームのエンジンとしてProactiveに提案・分析をやりきってくれました。

私が何より嬉しかったのはチームが徐々にモチベーションを高め、最後には個人的な相談を持ちかけてくれるようになるなど深い絆を持つことができたことでした。この経験を経て多様性環境でのPeople leadershipに関して小さな自信を感じることができましたが、もう一度はじめからやり直せるならば、One-on-oneやカジュアルセッティングでのパーソナリティ把握にもっと時間を割き、上記のような認識の齟齬を最小化できれば良かったと反省しています。

 

多様性下におけるClient leadership – どのように共感を醸成するか

「もしDay1に戻れるなら、もっとチームメンバーを巻き込めばよかった。本当に勉強になった」

最終日にクライアントCEOはそういってくれました。

クライアントは40年の歴史を持つチャリティ団体で、サステナビリティ・サイエンスに関する活動を行っています(科学者・プロフェッショナル対象のワークショップ主催・ジャーナル発行・政府への働きかけ等)。私のカウンターパートは40代半ばのイギリス人CEOでしたが、初回は露骨にHostileであり、彼に如何に共感を感じてもらうか、私達と働くことへの面白みを感じてもらうにはどうしたらよいか、が鍵となりました。特に、LBSに来るような学生は前職で大手企業相手に仕事をしてきたメンバーばかりであり、小規模なチャリティ団体という全く異なるクライアントの環境にどのように入り込むかは大きなチャレンジとなりました。

上記イシューについて私たちは非常に上手く乗り越えることができたのですが、それは相手の立場・困り事を想像し、当初のスコープから外れた仮説であってもポジションをとってぶつけに行ったことでした。最初のクラブ事務局から与えられたお題はデジタルマーケティングだったのですが、チャリティ団体で予算が限られることから、よりROIの高い他のマーケティング手法(ペルソナを主軸としたカスタマイズマーケティング)を提案したところ目の色が変わり、Collaborativeなパートナーとなって頂けました。

このクライアントは予算と人的リソースが非常にタイトであること、赤字環境でQuick turn-aroundが必要であること、という特徴があり、この状況を踏まえてCEOの立場を想像して柔軟に提案を変えたことが一つの成功要因でした。また、「たかが学生」のボランティア案件というのを感じさせない工夫、具体的にはチャートのクオリティから服装・話し方までの「見せ方」に気を配り信頼を得ることができました。第一印象で刺さらない相手に対してどのように関係を深めていくかというのが個人的な課題でしたので、このCEOとの関係を構築できたことは一つの自信となりました。

 

 

「多様性=良いこと」、それは多くの環境下で正しいことでありますが、一方で、多様なチームをリードする力、それなしでは多様性は直ぐに瓦解し得ます。私自身、目の前にいる「違う」あるいは「合わない」人間と仕事をするのはとても得意とはいえませんが、多様性下におけるリーダーシップのあり方を考えさせられ・試し・失敗もできるImpact consultingの活動は非常にLBSらしい活動であったと考えています。

LBSで得た気づき

MiFFT2017の山内絢人です。MiFFTを今夏に卒業し、この10月からイギリス・ケンブリッジ大学のロースクールでコーポレートローを勉強しています。

この度、私の母校である長野県立飯田高校の同窓会報に寄稿させていただきました。
海外にいる同校OBが、海外で得た気づき・知見を共有するというコーナーの記事ですが、私自身がLBSでの1年間の生活を振り返る非常に良い機会ととなりました。

私がロンドン/LBSで得た気づきとして、

・社会全体の話として、今年夏までロンドンにいて感じた、あらゆる人間を「ロンドン市民(Londoner)」として受け入れ、マイノリティーを包摂する多様性に開かれた社会・コミュニティづくりの大切さについてと、

・社会のトレンドとして、今後のテクノロジーの加速度的発展により、個々人が位置する物理的な場所はさほど重要でなくなり、それぞれが属する(バーチャルも含めた)コミュニティーにユニークな、ソフトな価値にこそ人が集まるということと、

・最後に、わが地元の南信州について、これまで都市圏とのアクセスが悪かったこともあって、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)を蓄積させてきており、コミュニティとしての魅力・ソフトな価値は十分に備えているため、引き続き世界に目を向ける開かれた地域であるべき、

といった趣旨のことを述べさせていただきました。(記事前文は画像ご参照)

上記3点目については、今年3月に、LBSの学生128人に飯田市での農泊を実際に体験してもらい、地元の人々と交流を楽しんでもらう企画を実施する中で感じた私の気づきでもあります。(LBS Japan Trek 2017 の記事はこちら:http://www.lbsjapan.com/archives/3091

農泊体験では、言語でのコミュニケーションこそ十分に取れなかったのかもしれませんが(そしてそれは今後のインバウンド拡大の課題でもあるというフィードバックも得られ非常に有意義でしたが)、相手を大いに歓待し受け入れるという今回の飯田の農家の方々の姿勢には、多くのLBSの外国人学生にも非常に喜んでもらえました。私は、こういった、飯田の人々自身が気づいていない潜在的なソフトな価値こそが、今後の体験・交流型インバウンド拡大に向けての鍵になると思いますし、今後の地域コミュニティ作りの肝になると思っています。

何より、こうした諸々の気づきは、昨年度、LBS Japan Trek 2017に企画側として携わらせていただき、入学当初から約半年間の準備を経て、さまざまな仕掛けを試み、最終的に多くの関係者を巻き込みながら、LBS Japan Trek 2017を皆で盛り上げていく中で得られたものです。非常に貴重な経験をさせてくれたLBS Japan Trek 2017及びLBSには本当に感謝しています。

引き続き、地元南信州を盛り上げたい一個人として、色々な形で飯田市との協業を続けさせていただければと思っておりますし、LBSの日本人Alumniとしても、母校LBSと日本とのつなぎ役の一人として、微力ながらも貢献を続けさせていただければと思っています。MiFFT2017 山内絢人飯田高校同窓会報

(c) LBS Japan Club 2012▲ ページ先頭に戻る