GBE滞在記‐ミャンマー、イスラエル、インド編

GBE, 授業, MBAカリキュラム

みなさん、こんにちは。MBAコースの2年生のKです。
今回は、以前YSが紹介したGlobal Business Experience (GBE)のミャンマー、イスラエル、インド編をダイジェストでお送りしたいと思います。

ミャンマー編

LBSとしては、ミャンマーを今後急速に経済成長が進んでいく”Frontier market”と捉え、その全容をゲストスピーカーセッションを通じてマクロレベルで多角的に理解するとともに、現地の起業家の支援を通じて現地ビジネスをミクロレベルでも理解するという趣旨でGBEを企画していました。
さて、私がミャンマーGBEを選択した理由についてですが、せっかく市場について深く知ることが出来る機会なので、将来的にその市場で自分がビジネスをし得る国を選択したいと思い、ミャンマーを選びました。 

肝心のプログラムの中身ですが、大きくは2本立てでした。

①ゲストスピーカー
ほぼ毎日のようにゲストスピーカーが来て、起業、銀行、行政、文化等、幅広い分野の話を聞くことが出来ました。一番印象に残っているのは、ミャンマーと中国との結びつきについてでした。中国から見るとミャンマーはベンガル湾と接しており、ミャンマー経由で物資の輸送が可能となれば大きな輸送日数・コストの大幅な削減が可能となる為、物流面から非常に重要なパートナー国とみなされているようで、中国はミャンマーに対して相当な投資を行っているそうです。また文化的な側面では、韓流ドラマが流行しているそうで、”Koreanize”が進んでいました。
(あれ、日本は・・・???)

②コンサルティングワーク
1グループ5人で合計15程のチームがあり、各チーム1社のクライアント企業が割り当てられ、1週間かけて事業課題の特定と解決策の提案を行いました。私達のチームのクライアントは、高級塩やはちみつの製造を手掛けるベンチャー企業だったのですが、他にはゲストハウスの運営会社、オーガニック野菜農家、医薬品メーカー等、規模も成長ステージも様々でした。

クライアントの起業家がPE出身で自分の事業の課題について正確に理解しており、かつ事業の収益化も既に成功していた為、私達は他のチームがやるように課題の特定をしにいくというよりは、既に認識されている課題の中で、チームとして付加価値が出せる事に注力するというアプローチをとりました。そこで、2日間程かけて従業員へのヒアリングや店舗視察、競合調査を進めていき、在庫管理と成長戦略の欠如が優先的に対処すべき課題だとクライアントと合意したうえで、アウトプットとして在庫の予実管理が出来るエクセルツールのひな形と海外市場の優先順位付けを提供しました。時間も限られている中、クライアントに役に立つアプトプットを提案するのは難しかったですが、異なるバックグラウンドを持つチームメイトがそれぞれの強みを生かしてゴリゴリと作業を進める工程は非常に楽しかったです。また途中で、東南アジアの食品に関する規制に関するマニアックな調査を行う必要があったのですが、さすがDiversityを売りにしているLBSだけあって、同級生に問い合わせをすると、その分野に詳しい人が5分で見つかり、見事解決する事が出来ました。

また、GBE期間中にクライアント企業が新商品のローンチパーティーを偶然企画しており、幸運にもそのパーティーにお呼ばれして、おいしい料理とカップリングのワインを楽しめた事が、私にとってのハイライトです。 

GBEでミャンマーを訪れるまでは、ミャンマーに対し漠然としたイメージしか持っていなかったのですが、GBEを通してミャンマーについてある程度語れるレベルまで詳しくなる事ができ、私個人としては期待通りのプログラムでした。特にクライアントである起業家と毎日会って議論を重ね、ビジネス面でなくミャンマーという国について多くの話をする事が出来たことが個人的には学びが多く、非常に良い経験でした。

イスラエル編

イスラエルはご存知の通り、近年”Startup Nation”として世界中から注目を浴びており、世界の名だたるTech企業もイスラエル企業の動向に注目しています。一方でイスラエルは歴史的、民族的または地政学的にも簡単ではない状況に置かれていることも周知の事実です。イスラエルGBEでは、ともすれば相反するこの二つの側面に注目し、一体なぜイスラエルが上記のような困難を乗り越えてイノベーションのハブとして成功するに至ったかについて、Jerusalem及びTel Aviv両都市の多くのstartup関係者や歴史的施設等への訪問等を通じて、包括的に理解することを目的としています。正に当方もイスラエルの実像についてかねてから強い興味があったため、イスラエルGBEへの参加を決めました。

1. プログラム期間及び主なスケジュール
<全体>
2018年9月2日‐8日(長めの夏期インターンを希望する人はスケジュールに要注意です)
<詳細>
9月2日―Jerusalem現地集合及びReception(参加した同期MBA約40人、学校側のGBE担当者、教授等)
9月3日―旧市街地視察(宗教的背景を理解)、現地スタートアップ訪問(VC、Crowdfunding platform startup, tech startup)等
9月4日―Yad Vasham(ホロコースト追悼記念館)視察、Tel Avivへ移動、教授とのブリーフィング、超正統派ユダヤ系及びイスラム系イスラエル人とdiversity inclusionセッション
9月5日―現地Tech conference(DLD Innovation Festival)参加、現地スタートアップ訪問(AgTech startup、FoodTech startup, Accelerator, etc.)、Eatwithを利用して民家で夕食
9月6日―現地スタートアップ(Fintech startup、data processing/management系 startup、MedTech Startup、Robotics系startup、証券取引所等)訪問、教授とのブリーフィング
9月7日―ゲストスピーカー(現地ジャーナリスト)、課題作成、教授へのプレゼン
9月8日―現地解散

今回の訪問でイスラエルが”Startup Nation”として成功している背景、及び中長期的な問題点の両側面を垣間見ることが出来た気がします。詳細はここでは割愛しますが、イスラエルGBEはこの国を理解する非常に魅力的な機会で、当方も満足度100%でしたので、興味のある方は遠慮なくご連絡ください。

インド編

中国に次ぐ世界人口第2位の国、インドは世界で最も裕福かつ影響力の大きい人々が住む国である一方で、特に地方部を中心に多くの貧困層の存在が社会問題化しているという、大きな”Contrast”を抱えた国として知られています。本GBEではそこに焦点を当て、昨年度までのムンバイ一都市のみの訪問から、今年度はウダイプルという地方都市とムンバイの2都市での開催という新たな試みで行われました。

プログラム内容は上述のミャンマー、イスラエルと基本的には同じ構成です。ゲストスピーカー、コンサルティングプロジェクト、様々な現地体験の機会といった切り口から、一つの国の課題を浮き上がらせ、学習・体験・理解していく仕組みになっています。

  • ゲストスピーカー

ほぼ毎日ゲストスピーカーを招きます。本GBEでは、世界的企業のCXOやコンサルティング会社を歴任し、教育分野へ転身したインドのビジネススクールのディーン、Fortune誌の“50 Most Powerful Women in Business”に選ばれた世界的投資銀行のインド支社長、インド経済の発展を過去数十年支え、政府アドバイザーも務める最大手商業銀行の会長などを招きました。インド経済・文化・政治から各人のパーソナルストーリーまで幅広いテーマでの講演・対話を行い、どれも示唆に富んでいました。

  • コンサルティングプロジェクト

貧困層の多い地方部の生活水準向上を目的としたNPOとプロジェクトを行いました。インドの大きな課題である男女格差も背景とし、当該NPOでは村に住む女性を“Social Entrepreneur”として任命し、彼女がサニタリー用品・キッチン器具などの生活用品を村内で販売し、コミッションを得るというビジネスモデルを採っています。私達のチームは、5歳・2歳児の二人の子どもを持つ女性Entrepreneurと協働しました。「より良い活動のため、Entrepreneur・NPO団体双方で何をすべきか?」という比較的シンプルなテーマではありますが、5日間という短い期間でどこまで意味ある提案が出せるかというところが一番のチャレンジと感じます。実際の活動としては、関係者へのヒアリング、チーム内での検討を行い、最終日に提案を行います。短い期間のため検証は十分にできませんが、それでも私のチームでは途中で予定していなかったインタビューをお願いし、提案策に意味がありそうか、実際に取組めそうかとのサウンディングを行うことで、なるべく実のある提案を行おうと工夫しました。基本的には各チームの自主性に任せられており、この辺りは各チームによって取組み度合いにばらつきがでる感じました。私のチームは協働したEntrepreneurを応援したいとうまくチームの方向付けができ、こうした非常に積極的な取組みができました。今振り返ると、多様性のあるチームをどううまくドライブしていくかというMBAの一つの大きなテーマの実践の機会がこのあたりにもあると感じます。

  • 現地訪問

コンサルティングプロジェクトを行っている間にも、文化・背景の理解が不可欠であることを強く実感しました。例えば、インドではゴミを道端に捨てることが普通であることなど衛生面における水準は高くありません。手洗いの習慣がないこともその一例で、それによって未だに地方部では多くの子どもが命を落とす原因にもなっており、手洗い習慣化が学校教育での一つの大きなテーマになっています。こうした文化・背景理解のため、現地の幼稚園・小学校や、3平方キロメートル内に100万人以上が住み、それ自体が一大経済圏を築いているムンバイのスラム都市ダラヴィなどを訪問する機会があります。また、ソーシャル面では、ストリートフードやバイクツアーなども開催されました。

以上がインドGBEの概要になります。私を含め、参加者は皆大いに刺激を受け、多くの学びがあったようです。個人的に最も印象の残ったのは、私たちが会ったEntrepreneurがとても生き生きと語っていた「この仕事をして一番良かったのは、自分が変わることができ、仕事がとても楽しいこと」という言葉でした。地方部では未だに女性の社会的立場が強くないこともあり、彼女はこの仕事を始める前はとても内向的で、ほとんどの時間を家事・育児で過ごしていたそうです。現在、日本の女性活躍についてのリンダ・グラットン教授との共同研究に、私も同級生何名かと関わっているのですが、くしくも発展途上のインド、しかもこの地方部で、解決策の一つの糸口を垣間見たように思います。

 


以上の通り、GBEは各国、非常に練り込まれ、多様性に非常に富んだ同級生と1週間どっぷりと現地を学び、見て、体験する、LBSを代表する非常に魅力的なプログラムの一つです。訪問国、個々人でまた異なる学びがありますので、現役生・アルムナイと話す機会の際にはその人の学びを聞いてみていただけると非常に面白いかと思います。