今週は多くのMBA生がほっと一息ついているはずです。というもの、今週は多くのMBA生が約3か月に亘って精力を傾けてきたLondon CAPの顧客向け最終プレゼンが終わったためです。当方もつい先日無事に終わり、(それなりに?)顧客に喜んでもらえたので、この機会に皆さんにLondon CAPの全体像をお伝えしたいと思います。LBSに入学を決めた方、並びにLBS受験を検討されている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

 

<London CAPとは>

(在校生も知らない人が多いかもしれませんが)London CAPは、”London Core Application Practicum”の略です。主にロンドンを拠点にしている顧客に対して、LBSのMBA生が3-5人程度のチームを組んで行う、コンサルティングプロジェクトを指します。我々MBA2019は2017年8月に入学し、それ以降、各種必修授業で様々なフレームワークや考え方を学んできましたが、London CAPでは実戦形式を通じて過去の学びを整理するとともに、その学びを如何に現実の問題解決に応用できるかを経験すること等を目的としています。とはいえ、London CAPは実は選択科目(Tailored Core)であり、希望者のみが履修することとなります。

コンサル対象となる顧客は各チームが独自に見つけてくるのではなく、事前にLBSの事務局が潜在的な顧客と調整をし、先方とプロジェクトの目的を確認し合った状態で開始します。その顧客数たるや、合計60案件以上。ここには営利企業のみならず、NPOや政府系組織等の非営利団体も含まれています。具体的な業界としてはFashion, Luxury, Retail, Travel, Leisure、Financial Services、Government and Third Sector、TMTなど、非常に幅広い業界が網羅されているため、学生側によってはかなりの確率で自分が興味のある業界とのやりとりが期待できます。今回対象となった60 超の具体的な組織名は守秘義務の関係で開示できないのですが、過去(London Business Experienceと呼ばれていた時代)にはAmazon、the Bank of England、Transport of London、the British Fashion Councilなどが顧客として本プロジェクトに参加しています。

London CAP履修への流れですが、前述の通りLondon CAPは選択授業のため、まずその他選択授業と同様に入札形式で本授業を落札する必要があります。その後無事に履修が確定すると、上述の業界に関する希望順位を選択します(この時点で、各業界内の具体的な組織名も確認可)。その後、業界が確定した上で、今度はその業界内で希望組織を選択し、最終的にコンサル対象組織が確定します。周りの学生を見ていると、希望業界についてはほとんどの人の第一希望が通っている印象を受けます。一方で業界内の個別組織については、第一希望はなかなか通っていない印象です。これは、やはり学生側は自分が見聞きしたことのある組織や急成長している組織を選択しがちで、それら組織に人気が集中することが主な理由かと思います。

 

<ロンドンのFintech企業に決定>

当方は全く以てファイナンス出身ではありませんが、ロンドンにいるとFintech企業の台頭を日々の生活でもひしひしと感じるため、そんな伸び盛りのFintechってどんなもんや?という単純な興味で、業界はFinancial Serviceを希望し、見事ロンドンを拠点にした創業7年目、社員80人程度、かつ急成長中のFintech企業のコンサルを行うことになりました。同社は現在イギリスでのみ活動している一方で、今後は海外進出を考えており、今回のコンサルプロジェクトで回答すべき質問は「どのマーケットへの進出が良いのか」、及び「そのマーケットに最適な商品は、既存商品の中のどれなのか」というものでした。

尚、London CAPでは所謂必修授業のStudy Groupとは別に、個別のチームが形成されます。これは学校側が組成するのですが、当方のグループは以下の構成でした:

1.フランス人・男性・エネルギー出身

2.インド人・男性・ファイナンス出身

3.ペルー人・女性・ファイナンス出身

4.ニュージーランド人・男性・ファイナンス出身

5.当方・男性・エネルギー出身

いずれのメンバーとも過去に一緒にプロジェクトを行ったことが無かったため、物事の進め方や考え方の違いを学ぶ良い経験になりました。

プロジェクトの大まかなスケジュールですが、2018年2月に対象組織とチームメンバー確定の連絡を学校側から受領し、同2月末に対象組織とのKick-off会議を実施。以降、顧客とは隔週で電話会議、かつ隔週で会議を行ってきた上で、5月半ばに顧客向け最終プレゼンを行う、という流れでした。他のLondon CAPチームの話を聞いてみると、当方のチームの顧客側とのやりとりの頻度は少し多めのようでしたが、密なやりとりのおかげで情報交換を円滑に行うことが出来たことに加えて、お互いの信頼関係みたいなものも醸成されたように感じています。

会議の際(電話会議含む)、顧客側からはプロジェクトマネージャーに加えて、必ずFounder兼COOが参加していました。この点は、プロジェクトを進めていく上で非常に効率的でした。というものCOOがいることで、プロジェクトを進める上で確認が必要な前提条件や先方の要望等を会議の場で即座に把握できるため、その後の動きを素早く展開することが出来ました。また不定期的にCo-founder兼CEOも会議に参加し、異なる視点からコメントや助言をくれたことも非常に有意義でした。

彼らとのやりとりを通じて感じたのは、小規模ならでは意思決定の早さに加えて、彼らの組織が非常にフラットな点です。仮にCEOまたはCOOが何か意見を言った場合でも、プロジェクトマネージャー(入社3年目)は意見が異なる場合は真っ向から反論します。そして、その際の説明や考え方が正しいと感じた場合は、CEO/COOは彼の意見を尊重し、結果的にその意見がコンサル案件を進める上での重要な前提条件になる、ということが度々ありました。

さて肝心のコンサル内容自体ですが、当方としては業界慣習、商品知識が無いため、最初は数字を見ても感覚的に良し悪しを掴みにくかったのですが、ファイナンス出身の回りのメンバーにも助けられつつ業界全体像の把握に努め、数字間の相対的な関係を徐々に把握することで、最終的にはそれなりに纏めることが出来た、というのが正直な印象です。この門外漢としての出だしのハンディキャップはあったものの、頻繁に顧客とやりとりをすることで常に微修正を繰り返すことが出来たことが、最終的な顧客の(一定の)満足度にも繋がったのではないか、と思います。

また当方のチームの運が良かったと思う点として、顧客側も非常にLondon CAPに対して前向きたった、という点が挙げられます。具体的には、顧客側から積極的に必要な情報開示を行ってもらえたこと、中間・最終成果物の具体的なイメージを先方から事前に共有してもらえたことです。周りのチームの話を聞くと、守秘契約を結んでいるにも関わらず情報開示を渋る顧客や、顧客が要望するゴール自体が二転三転する顧客の話も聞いていましたが、我々としてはこの点は全く問題ありませんでした。

さらに、彼らから「いつでもオフィスに来てくれ、席はいつでも準備するので」との申し出をもらったり(さすがに時間がなくてオフィス常駐はできませんでしたが)、ある時は社員限定のTownhall会議に呼んでもらい、今後の会社全体の戦略や新規プロジェクトチームの立ち上げ等に関する情報が飛び交っている場にも立ち合わせてもらえました(「これ、絶対秘密ね。」との念押し付きで)。しかもその後はStartupらしく、その場でビールを飲みながら卓球をしつつ、本コンサル案件に関与していないその他社員とも交流することが出来ました。これらは我々が顧客のことをよく理解するための顧客側の配慮であり、実際に我々にとってもそのような機会となりました。

 

<London CAPを終えて>

上記がLondon CAPの全体像、及び当方が体験したLondon CAPの様子ですが、この経験及び周りのチームの意見等を踏まえてLondon CAPの良かった点、難しかった点が見えました。以下、簡単ですが、箇条書きで感じたことを共有したいと思います。

(良かった点)

‐(創業7年目の会社をStartupと呼ぶかという議論は別にして)Startupの仕事の進め方、スピード感、フラットな組織構成を体験出来ました。加えて、Fintech企業の着眼点や業界の見方を学ぶことが出来ました。当然広いFintech業界の中のわずか一社について理解しただけで業界を俯瞰することはできませんが、少なくとも大企業で社歴を積んできた当方としては、考えさせられる点が多かったように思います。

‐簡易版ではあるものの、コンサル案件における物事の進め方や顧客との連携具合等を体験することが出来ました(この点について、実はLondon CAPの学校内中間レビューという位置づけで担当教授及びBainのコンサルタントからも途中でアドバイスも貰えます)。特に各種情報収集ではなかなか包括的な情報を入手しにくいですが、一定の仮説を置いた上でその仮説を検証し、全体を前に進めるという良い訓練をする機会になりました。

‐新しい同級生との関係を構築できたことは、非常に有意義でした。特に顧客とのやりとりをいくつか問題に直面した際に一緒に悩んだチームメンバーとは、明らかにそれ以降打ち解けることが出来たように思います。これはMBAを通じての大きな目標でもあるため、少しずつ人脈が形成できるいる点は、単純に嬉しく思います。

(難しかった点)

‐学生側は当然顧客側からの報酬は無い前提で案件に従事しているので、チームとして対顧客にどの程度コミットすべきかの落としどころが難しい。当然顧客側は仕事の一部として真剣にやっているのでこちら側への期待値も高いのですが、学生からするとLondon CAP以外にも授業、クラブ、就職活動、試験勉強等を並行で行っているため。明確な解決策はないと思いますが、顧客との議論の中で適宜軌道修正するなりして、顧客の要求レベルを現実的な範囲に収めることが必要だと思います。

‐ 上記に似ていますが、チーム内でも忙しさ、London CAPに対する真剣度等は異なります。当方のチームでは、常に全力投球してくるメンバーもいれば、締切を守らず、その他メンバーが土壇場でフォローに回るということが何度か起こり、チーム内の不満が溜まったことがありました。個人の性格やその瞬間の忙しさ等もあってある程度仕方ない側面もあると思いますが、チーム内の温度感をもっと揃えることが出来れば、より満足感の高い経験になったと思います。

‐ 当方の顧客は問題ありませんでしたが、周りの話を聞くと、顧客の質にかなりムラがあり、例えば情報開示が不足していて案件を進められなかったり、学生側に十分な役割が与えられず、学生がやや手持無沙汰になったりするケースもあったようです。また学校側の事前の顧客側との握りが甘かったため、プロジェクトの目的設定から開始しないといけないチームもあり、貴重な時間を無駄に費やしたチームもいました。来年度のLBS事務局側の顧客スクリーニング向上及び事前の丁寧な確認作業を期待したいと思います。

 

今週、学校主催でロンドンにある瀟洒な会場で、London CAPの全体打ち上げパーティーが行われました。会場にはLBSの教授やLondon CAP事務局に加えて、(都合により参加できなかった顧客もいたものの)大多数の顧客、参加したMBA生、Bainコンサルタントなどが集まり、プログラムの成功を祝いました。その際、我々は当チームの顧客から「是非1-2週間以内にみんなで夕食に行こう。ありがとうね」と声を掛けてもらいました。最終成果物に対する顧客満足度は確認していませんが、少なくとも100%不満だったらこんなお誘いは無いと思うので、チーム全員でほっとしたのをはっきりと覚えています。

ここまで来たら、逆にロンドン有数の高級レストランを我々の方から逆指名しようと目論んでいるのは、言うまでもありません。

 

以上

(c) LBS Japan Club 2012▲ ページ先頭に戻る