5,6月のロンドンは本当に美しい。白鳥が泳ぐハムステッド・ヒースの池の周りで寝転ぶ人たちに混じっていると、自分のつまらない悩みなどどうでも良くなってしまうほどの美しさがあるし、小難しいテーマでも考えてみようかという気になる。MBAに在籍していて物凄く勉強になることは、「リーダーシップと人の成長」、とりわけ「刹那的な関係においてどのようにチーム・ダイナミズムを作り上げていくか」、ということ。

 

フレキシビリティを推すLBSには、グループワーク・クラブ・インターン等多様な機会が転がっている。一方でそれらの大半は給料が発生せず、かつ皆活動を掛け持ちしているので、誰もやる気を見せないチームになることもあれば、全員がプロアクティブに参加して信じられない熱量になることもある。仕事と違って義務も階層もないため、良いチームを作り・皆が成長する環境にするのは本当に難しい。

成功したもの・失敗したもの様々な案件を振り返って強く思うのは、全員の一挙手一投足が強く見られておりそれによって人のモチベーションは大きく変わるということ。例を挙げると…

・グループワークにおいて、クライアントに短期間でどのように価値を出せるか、という前向きな話で3人が盛り上がり議論開始。そこに遅刻してきた1人が「授業なんだから簡単に終わらせようぜ」と椅子をブラブラさせながら発言。皆沈黙。モメンタムは崩れ最後まで戻らなかった

・一人が提案した案件。最初は実現の難しさからみな消極的だったのだが、別の一人が「こんな風に捉えれば面白いんじゃないかな。さっそく調べてみる」と笑顔で話して以降、全員が前のめりで信じられないアウトプットが完成。そのまま優勝

・チームでの議論。リーダー格が忙しさにかまけ、顧客満足ではない尺度(自分たちの論理)を顧客に提案しようとしたたった一つの発言で、メンバーの心が完全に離れる

 

この一挙手一投足の重要さにおいて、特に自分がリーダー格で関わる場合、この顧客のため・地域のため、等プロジェクトの意義深さを共有できること、加えてその案件の「各メンバーにとっての意味合い」を語れることが肝要であると感じている。(あなたの志と間接的にこう繋がるよね、過去の経験と全く違うこのロールをやることでこう成長できるよね、等)そして前提として、言行一致・一貫性(誰に対しても同じように真剣・前述のビジョンと相反する発言をしない等)が必要であるのは論を俟たない。

 

次は、僕自身は何一つ出来ていないことであるので会社の先輩の受け売りになってしまうが、「自身がチームから憧れられる何かを持つ」ことの重要さである。それと相反するようだが、「自身も発展途上であることを強く自覚する」ということも必須であると感じさせられる。こちらも例を挙げると…

・僕が学生のメンティーに対し、経験値が違うからか、あるいは愛情からか、「こうしたほうがよい」を超えて「こうすべき」のようなトーンで提案をしすぎ、心が離れてしまい頼ってくれなくなった

・インターン先の社長・副社長。彼らのビジョンは常に未来を向いており、この人達と一緒に未来を作っていきたいと思わされる。それと同時に、若造の私に常に意見を求めてくれ、かつ「君と話すと大変学びになる、信頼しているぞ」という姿勢を前面に示してくれる

・クラブ活動においてあまり時間を使わない一人がクライアントミーティングに参加。そこで目にしたものは、CEOが持つビジョナリーな発想と現状に満足せずアドバイスを求める姿勢、それに呼応して必死にサポートを行うマネージャ。その後そのメンバーは人が変わったように成長・貢献

といったことがあった。

 

僕が大切にしている概念に、「数週間・数ヶ月で人は変わる」というものがある。誰しも、先輩にかけてもらった一言、あるいは周囲へのアドバイスで、自身や周囲が「人が変わったように」成長した姿を見た経験があると思う。一方で、「どのようにチームと接すれば周囲の成長の手助けとなれるのか」という「リーダーシップと人の成長」については、正解もなければ、日常の仕事で試す機会も限られる。その上でMBAは(ほぼ)ノーリスク環境下で、自分の様々なリーダーシップの型やチームダイナミクス作りを試すことができる(細かいグループワークを含めれば、年間20以上の異なるチームと協業可能)、ということが、個人的には座学や学位以上に貴重であると考えている。

 

もし読者のみなさまが、「閉じた環境なのでチーム作りやリーダーシップの考えが狭まる」あるいは「制度上、リーダーシップポジションまで時間がかかる」等の問題意識をお持ちであれば、MBAというのは良い選択肢の一つになると思いますし、その上で多様な活動に従事できるLBSを選択頂ければ本当に嬉しいです。

(c) LBS Japan Club 2012▲ ページ先頭に戻る