「多様性の中でのリーダーシップ」これが私の留学のテーマです。

その観点において入学後最初に力を入れた活動、Impact consultingでの2ヶ月の案件が終了しました。

Impact consultingはLBSの学生が地元のNPO等に対してプロボノコンサルを行う活動であり、コンサル出身の学生がマネージャを担当、コンサル未経験の学生がアナリストロールを担います。私はマネージャを務めました。

以下、私の備忘録という側面が強いため共有すべきか迷ったのですが、多様性・リーダーシップというワードは多くのアプリカントがLBSに対して感じる最大の魅力であり、本活動はLBSのもつ多様性の奥行きを大いに感じさせてくれる活動でしたので、入学後のイメージを持って頂けるかと思い詳細を共有させて頂くことにしました。

 

[テーマ]

多様性下におけるPeople leadershipどのように動機づけをしていくか

多様性下におけるClient leadershipどのように共感を醸成するか

 

多様性下におけるPeople leadership – どのように動機づけをしていくか

私のチームはプログラム・国籍ともに多様性に満ちており、まさにLBSの醍醐味と言われるチームでした。MBAから4名(インド/イギリス/スペイン/シンガポール)、MiM(Masters in Management。学卒向けのMBAのようなもの)から2名(アメリカ/ルーマニア)というチーム。

マネージャとして最大のチャレンジは、如何にチームのモチベーションを高め・維持するかという点でした。仕事ではなくボランティアであり、皆複数の活動を掛け持ちしているため、「面白くない」と思われたら即コミットメントレベルが低下します。(例年6名中半数が離脱というケースも珍しくないそう)

更に、フィードバックやコーチングでモチベーションを高めるのはマネージャの大きな役割ですが、育った環境によりフィードバックの受け取り方は全く異なるという難しさがあります。エリン・メイヤー著「異文化理解力」に詳しいですが、例えばイギリス人は言葉をダウングレードする(Kind ofや、a bit等を多用して表現を和らげる)ため、彼らが「少しこうした方が良い」といった場合、強い不満を持っている可能性があります。あるいはスペイン人はハイコンテキストで間接的なコミュニケーションをすると思われていますが、実際はネガティブ・フィードバックを多用します。これらの差異を理解せずにフィードバックを行うと認識の齟齬が生まれるばかりか無用なコンフリクトに繋がりかねません。

私のチームでは、案件開始時に出席率が低い二人のメンバーがおり、彼らのモチベーション維持には大変苦労しました。仕事ではないのでTo doをやるか否かは自分次第であり、如何にチームの内なる動機づけを行うかが鍵となります。私が当初失敗したのは、チームを2つのワークストリームに分けた結果、チームメンバーから活動の全体像が見えにくくなり、モチベーション低下に繋がったことです。この課題意識を持っていたのは北部インド出身の女性だったのですが、私は南部インドにいた経験から北部インドは比較的ダイレクトに意見を伝えてくれるというステレオタイプを持っていたのですが(南部インドのタミルではシャイかつコミュニティ意識が強く、入り込むまで本音を伝えてくれないが、北部は対照的だと聞いていた)、実際にはそんなことはなく、このフィードバックを共有してくれたのは信頼関係ができたプロジェクト後半になってからでした。結果としては、クライアントミーティングでCEOが強くInvolveされ、本気で議論してくれていることに彼女は感銘を受け、「このクライアントのための一助になりたい」という動機を持ってくれました。彼女はラスト3週間はまさにチームのエンジンとしてProactiveに提案・分析をやりきってくれました。

私が何より嬉しかったのはチームが徐々にモチベーションを高め、最後には個人的な相談を持ちかけてくれるようになるなど深い絆を持つことができたことでした。この経験を経て多様性環境でのPeople leadershipに関して小さな自信を感じることができましたが、もう一度はじめからやり直せるならば、One-on-oneやカジュアルセッティングでのパーソナリティ把握にもっと時間を割き、上記のような認識の齟齬を最小化できれば良かったと反省しています。

 

多様性下におけるClient leadership – どのように共感を醸成するか

「もしDay1に戻れるなら、もっとチームメンバーを巻き込めばよかった。本当に勉強になった」

最終日にクライアントCEOはそういってくれました。

クライアントは40年の歴史を持つチャリティ団体で、サステナビリティ・サイエンスに関する活動を行っています(科学者・プロフェッショナル対象のワークショップ主催・ジャーナル発行・政府への働きかけ等)。私のカウンターパートは40代半ばのイギリス人CEOでしたが、初回は露骨にHostileであり、彼に如何に共感を感じてもらうか、私達と働くことへの面白みを感じてもらうにはどうしたらよいか、が鍵となりました。特に、LBSに来るような学生は前職で大手企業相手に仕事をしてきたメンバーばかりであり、小規模なチャリティ団体という全く異なるクライアントの環境にどのように入り込むかは大きなチャレンジとなりました。

上記イシューについて私たちは非常に上手く乗り越えることができたのですが、それは相手の立場・困り事を想像し、当初のスコープから外れた仮説であってもポジションをとってぶつけに行ったことでした。最初のクラブ事務局から与えられたお題はデジタルマーケティングだったのですが、チャリティ団体で予算が限られることから、よりROIの高い他のマーケティング手法(ペルソナを主軸としたカスタマイズマーケティング)を提案したところ目の色が変わり、Collaborativeなパートナーとなって頂けました。

このクライアントは予算と人的リソースが非常にタイトであること、赤字環境でQuick turn-aroundが必要であること、という特徴があり、この状況を踏まえてCEOの立場を想像して柔軟に提案を変えたことが一つの成功要因でした。また、「たかが学生」のボランティア案件というのを感じさせない工夫、具体的にはチャートのクオリティから服装・話し方までの「見せ方」に気を配り信頼を得ることができました。第一印象で刺さらない相手に対してどのように関係を深めていくかというのが個人的な課題でしたので、このCEOとの関係を構築できたことは一つの自信となりました。

 

 

「多様性=良いこと」、それは多くの環境下で正しいことでありますが、一方で、多様なチームをリードする力、それなしでは多様性は直ぐに瓦解し得ます。私自身、目の前にいる「違う」あるいは「合わない」人間と仕事をするのはとても得意とはいえませんが、多様性下におけるリーダーシップのあり方を考えさせられ・試し・失敗もできるImpact consultingの活動は非常にLBSらしい活動であったと考えています。

(c) LBS Japan Club 2012▲ ページ先頭に戻る