「天気悪いんでしょ??」&「ご飯マズいんだってね」

9ヶ月前に日本でロンドンへの赴任の挨拶周りをしていた時、たくさんの方からこの憐憫の言葉を頂きました。私もそうでしたが、「ロンドン=天気と食事が最悪」というのは、多くの日本人が思い描く強いイメージのご様子。

然し、実際に住んでみて思うのは、「それ、ちょっと誤解です!!」ということ。天気も食事も思っていたほど悪くないどころか、良いところもたくさん有ります。その理由を、『8つの事実』でご説明します。

 

まずは「天気」のお話。

 

事実①:「ロンドンの降水量は、東京よりもずっと少ない」

確かに雨の降る日は多いですが一日中降ることは稀で、ザッっと降っても直ぐに晴れたり、長く降るにせよ霧雨程度のことが多いです。日本と違って梅雨や台風が無く、夏場の集中豪雨も無い為、年間の降水量で見ると実は東京の3分の1程度しかありません。

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 (出典:気象庁(1981年 – 2010年)及びMet Office “Climate averages 1971-2000″データを元に筆者作成)

 

事実②:「真冬の気温は、東京とほぼ同じ」

ロンドンの緯度は北緯51度。札幌の北緯43度を大きく越えて、樺太中部と同じくらい北に位置します。然し、真冬でも気温が氷点下に下がることは少なく、最低気温は0~5度、最高気温は5度~10度程度。東京の冬と然程変わりません(但し、寒い期間がずっと続くので、コートが必要な期間は長いです)。

ヨーロッパの西岸には暖流の北大西洋海流が流れており、大西洋上の偏西風が常に海流上の暖気を運んでくれることから、ロンドンのように海に近い地方は然程寒くならないんだそうで、パリやベルリンなどの内陸部よりも温暖な冬が過ごせます。

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 (出典:同上)

 

事実③:「夏場は最高!!」

緯度が高いので、6月ともなると22時位まで明るく、テムズ川沿いのパブで太陽を浴びながら遅くまでビールを楽しんだり、仕事帰りにテニスやゴルフに興じる人も多いです。夏場は30度以上まで上がる日も有りますが、湿度は低く日本のような蒸し暑さは全く無いので、日蔭に入れば快適に過ごすことができます。

 

事実④:「でも、日照時間はやっぱり少ない。。。」

と、良いことばかりを書いてきましたが、やはりイマイチな点も有ります。その最たるものが「日照時間の少なさ」でしょう。統計によると、東京の年間日照時間は平均1,900時間程度なのに対し、ロンドンは1,500時間程度しかありません。

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 (出典:同上)

上のグラフの通り、特に11月から3月上旬にかけての日照量がヒドいです。12月ともなると8時~16時位までしか昼間がなく、太陽も「君、ヤル気ある??」と問い詰めたくなるほどにしか上がりません。

しかし、この暗い冬の見返りに上述の最高の夏が有るわけで、プラマイはゼロです(適当)。どうしても太陽が恋しくなったら、週末を利用して地中海沿いのリゾート地へ繰り出して心も体もリフレッシュできます。格安航空を使えば、片道2時間のフライトで往復100ポンド程度です。

 

続いて、もう一つの大きな誤解であるロンドンの「食事」について。

 

事実⑤:「イギリス料理だって、美味しいものも有る!!」

例えば、悪名高きフィッシュ&チップス。確かに、道端の露店なぞで買うとベタっとしたマズいものが出てきます。しかし、学校の近くに有るSeashellという店はいつも地元の人でにぎわっており、新鮮なタラを使用したアッサリとしたフィッシュ&チップスを味わうことができます。その他の料理も全て美味しく、私はこの店でイギリス料理に対するイメージが変わりました。

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事実⑥:「レストランのレベルは非常に高い!!」

世界中から人の集まるロンドンは、レストランの種類も非常に多様で、且つレベルも高いです。特に、歴史的な繋がりからインド料理の質は日本より圧倒的に高いですし、街の中心部には大きな中華街もあります。値段は張りますが美味しい和食屋も有りますし、日本ではなかなか味わえないレバノン料理や中央アジア料理なども満喫できます。

為替の影響もあって、ディナーともなると一人/5,000円~15,000円程度掛かってしまうのが痛いですが、質とバラエティに関してはロンドンのレストランは世界有数の水準だと思います。

 

事実⑦:「食材の質は高い!!」

ロンドンでは新鮮な食材が手頃な値段で手に入ります。日本と比べると、霜降り牛肉や魚のバラエティの点では物足りなく感じることも有りますが、貝類やチーズ、ワインなどは日本よりもずっと安くて良質の物が手に入りますし、野菜も種類が豊富で新鮮です。また、日本食材店も数多く有りますので、食材の確保の点で不自由を感じることはあまり有りません(但し、原材料に近いうちは良いのですが、少しでも人の手が入るともうダメで、パスタソースやソーセージなどですら不味くしてしまう食品メーカーには殺意を感じることはしばしば有ります)。

 

事実⑧:「でも、安くて美味い店は無い。。。」

では、イギリスの食事で何がマズイか??というと、日本のように「安くて美味い!」を実現しているレストランやコンビ二というものが全く有りません。

学校で売られている寿司のシャリは消しゴムの味しかしませんし、街中の不便なコンビニ(日本語が崩壊してますが。。。)のサンドウィッチは、一口食べただけで思わず笑ってしまうほどマズいです。

レストランは上述の通り美味しいところもたくさん有りますが、下調べせずに通りすがりの店に入るとハズレが多いのも事実なので、観光客の方々が英国料理にマズい印象を持つのは已むを得ないと思います。

 

以上を踏まえると、やはり日本人の舌に一番合うのは日本の食生活なんでしょうけれども、ロンドンでも「手間」か「お金」を掛けて自炊や美味しいレストラン探しに励めば、充分に満足の行く食生活が送れます。

 

最後に

一つ注釈を加えると、ロンドンとイギリスは違います。ロンドンはイギリスの中でも特に雨の少なく暖かい地方で、ウェールズやマンチェスター等はロンドンよりもずっと多くの雨が降ります。地方に行くと、美味しいレストランも減ってきますので、「イギリス=天気が悪くてメシが不味い」というのは、強ち間違いでは無いと思います。

然し、繰り返しになりますがロンドンの「天気」と「食事」は、それほど悪くありません。加えて、治安の良さや、英語圏であること、ミュージカルや博物館など文化面の充実、格安なヨーロッパ旅行や街並みの美しさなどを考えると、個人的には東京での生活よりも、今のロンドンでの暮らしの方がすっかり気に入っています。

最後は、使い古された引用では有りますが、イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンの名言を:「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与え得るもの全てがあるから」。この言葉、大いに賛成です。

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MBA2015 A.S.

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