6月に入り、いよいよTerm 3も終わってしまった。6月末までの隔週の選択科目を取ったので個人的には授業が少しだけ続いているが、みんな夏に向かってそれぞれ世界に散らばり、MBA1年目は完全に終わったという雰囲気である。LBSには交換留学に行く学生も多く、必修科目が一緒だったクラスも解散するため、中にはMBA自体が終わったという人もいるくらいだ。
15ヶ月コースで卒業の僕は、いよいよあと夏と1学期しか残っていないことになる。1年住んでいれば、もっと英語が日本語のように聞こえてくるように想像したが今に至るまで全然そんなことないし、何か劇的に成長したのか、何か特別なスキルを身に着けたのかと問われると「いや、残念ながら全然」と正直に答えざるを得ない。MBAはハードスキルだけを取得するにはまったく表面的すぎるし、ソフトスキルが向上した自覚もないので、何か成長したかを信じるのみである。他の業界について、ケースやクラスメートとの会話を通じて理解を深める契機になったかもしれないが、それはいわば学生時代にやった就活のようなもので、実際に企業の中に入らなければ本質は絶対分からない気がする。幸運で夏にロンドンでインターンをすることができそうなので、もやもやしたこれらの疑問に対する答えを何らか探さなければならないと、残りの時間を考えて少し焦る気持ちも芽生えてきた。

それはさておき、簡単にTerm 3に受講したコースについてご紹介したい。

①Marketing Strategy
こちらをご参照

②Global Business Environment
合計8回のマクロ経済学の必修授業。GDPとその成長要因、貿易、インフレ、財政政策、金融政策、為替のメカニズムについて講義形式で学習するもの。内容は、技術的な詳細というよりは、マネジメントとして最低限必要なそれぞれの論点の基礎を学習するというもの。

③Business, Government and Society
合計8回の企業倫理に関する授業。ケースを扱いつつ、毎回の授業後半では「競争は是か」「賄賂は必要悪か」「透明性はaccountabilityを確保するか」などのトピックについてグループでデベートするもの。
個人的に印象的だったのが、米国の製薬会社のケースで、効果は高いが副作用の症例がごく少数出たドル箱の新薬の販売を停止したCEOにスポットライトをあてたもの。これらの問題というのは白か黒かではなく、グレーのことについて決断をする必要があるが、学んだのは自分の確固たる価値観が大事だということ。それは正直さ、率直さなど人によって違った価値観で表されるのであろうが、自分の日頃の生活を通じてゆるがない何かを育てていかないといけない気がした。そんなことを思いつつ、全体のコースとしてはtake awayが大変抽象的であり、マネジメントとなるようなことがあれば将来ふとした出来事で特定のケースを思い出すことはあるかもしれないが、周囲の評判も「で?」というものが多かった気がするし、自分も8回もやる必要があったのかとやや思う。

④Discovering Entrepreneurial Opportunities
毎週起業に係る実例(ケース)を学習しつつ、最後はstudy groupで実際に一つのビジネス案をプレゼンにして、投資家に説明するという授業。ケースは、アニメ会社、ボードゲーム会社、コーポレートVCなど多岐に亘る業界を扱い、成功するビジネスアイデアを見つけるエッセンスを養う。ケースは面白いものが多く、ベンチャーが成功する要素について考えさせられる。

⑤Negotiation & Bargaining(選択科目)
MBAで一般的なネゴの授業。毎週違った題材(主に価格交渉)が事前に与えられ、与えられたネゴ相手と交渉し、合意を目指すもの。その後、レクチャーが為されるが、自分が履修した教授(某米ビジネススクールからの客員教授であった)はあまり理論の説明がうまくなく、同級生とのネゴそのものの経験の方が役立った。
やってて思ったのは、外国人はやはり最初はふっかけてくるし、かなり積極的に交渉してくるが、辛抱強く反論していると彼等は合意が大事な文化があるのか、最後は自分の思い通りの合意を獲得できたりすることを学んだ。しかし、そのためにはかなり自分(aspiration price)を強く持つ必要があり、押されるケースも多々あった。また、自分を含めた日本人の多くが実践している相手からのオファー待ち、持ち帰って検討の交渉スタイルは、「負けない」交渉をするのに有効ではあるのかもしれないが、欧米人から見ると正直frustratingと考えられていることもクラスの中で学んだ。

⑥Mergers, MBO’s, and Other Corporate Reorganizations(選択科目)
GEのM&Aチーム、プライベートエクイティ、投資銀行を渡り歩いた現役のベテラン銀行家が、パートタイムでLBSに来てM&Aやバイアウトの実務で留意すべき点を紹介するコース。学習内容は、他のコースで学ぶ企業のvaluationには触れず、過去の有名なM&Aのケース、金融業界における現在進行のトピック、M&Aでプロが陥りやすい過ちなどを扱い、M&Aのイントロの授業として位置付けられる。
先生が業界で豊富な経験を持つため、一つの論点を説明する度に複数の実例が紹介され、本に書けないような実際の裏話(ジャック・ウェルチとの議論など)も聞けるため、今まで受けた授業の中で、一番話としては実務感たっぷりで面白い。一方、教科書的なファイナンス理論の話からは程遠く、M&Aに対する人間の心理学に近い面もある。ネゴの講義との教訓を踏まえるに、選択科目は誰が教えるかも大事であるということだろう。

在校生ブログ「ロンドンビジネススクール(LBS)MBA留学記-国際金融修行中」より転載

(c) LBS Japan Club 2012▲ ページ先頭に戻る