MBAに来ることの意義とは何か。

 

この問いは、出願準備の際、または無事入学した後でさえ、多くの受験生・学生が熱心に考える問いだと思う。

 

率直に言えば、そんなものはあってもなくても良い。

 

「MBAを取れば、投資銀行のような高給職にキャリアチェンジ出来て、人生バラ色」

「MBA卒の私は世界をまたにかけるExecutiveの卵の仲間入り」

「MBAで出来た友達・ネットワークを生かして、5年後には少し有名なベンチャー社長」

 

誤解を恐れずに言えば、そんな思いは、幻想に過ぎない。(はず)

 

確かに、結果的にそういう人がいるのは紛れもない事実だ。

 

けれど、数えてみれば、そういう人の方が少ない気もするし、別にMBAを取らなくてもそういう人はたくさんいる。

MBAに費やすお金と時間を鑑みれば、後者の事実は受験を決心する上で非常に大きな障壁となるに違いない。

 

じゃあ、なぜMBAを受験したのか?

 

答えは、自分のことをもっと知りたかったから、自分が知らないことをもっと知りたかったから。

 

人は日々、やれ目的だ・やれ手段だと理屈をこねくり回しては反省を繰り返す、不完全な生き物だ。

勿論、考え続けることが大事なのは否定しないし、自分自身も(ときどき)そうやって生きてきたことに嘘はない。

 

ただ、それでも、物事を決める際にヨクワカラナイコトが多いことの何たるか。

「評価軸はこれで良かったんだっけ?」

「優先順位はこうだっけ?」

「あれ、このことについてはまだ調べきれてないぞ」

なんて自問自答を延々と繰り返しては、疲れ切ってしまったり、間違ってしまったり。

 

工学の世界に遺伝的アルゴリズムという手法がある。プログラミングを使って最適解を探索するツールだ。

要は、与えられた環境において自分の行動を「遺伝子配列」(暗号文みたいなもの)のように記述し、その「配列」を記憶しながら、少しずつ変えながら、最適解という山の頂を目指す。最終的に、最も高い得点を得られた「配列」が問題に対する最適解として与えられる。

 

これは、生物学の進化論になぞらえて名付けられたものだが、プログラムにおける重要な設定として「突然変異」というものがある。

いわゆる、「白い蛙が見つかった」的な、あれ。

「なんかよくわかんないけど、こうしてみたら、意外とうまくいった」という、いい加減な一方、そのおかげでより良い答えに近づくきっかけになったりする。

 

「今までは、とにかく顔がかわいい女の子ばかり追ってきたけど、ちょっと性格重視に変えてみようかなって思ったりしてる。」とか宣言する大学生が周りにもいたんじゃなかろうか。

 

最適解なんてものがあれば、まだいい方。そもそも、そんなものがわかっていたら、いい歳になって英語で苦労するような人生を歩んでこなかったかもしれない。

私たちの多くは、目的もあやふやで、身の回りの情報も曖昧な中、なんだかんだと適応してここまで生きてきた中途半端な生き物だと思う。

 

私は、MBA留学という機会が何かしらの変異をもたらしてくれるものだという幻想を抱いて、いまロンドンにいる。

間違っているかもしれないけど、会社で働き続ける中では得られなかった気づきが、この2年間で生まれるかもしれない。

 

「MBAなんか行ったって、意味ないよ」

 

それはそうなのかもしれない。

 

けど、その人はその人であり、私は私である。

 

T. T.

 

PS アプリケーションのWhy MBA?では当然こんなこと書かなかったことは、あしからず。

(c) LBS Japan Club 2012▲ ページ先頭に戻る